自動車関連税どうなる? 「税制大綱」発表で生活に影響は? 自工会からは「ブレないことが大切」のコメントも!
くるまのニュース / 2022年12月22日 15時30分
与党は「令和5年度税制改正大綱(税制大綱)」が発表され、多くのユーザーの注目が集まっていますが、自動車関連税制についてはどのような内容が盛り込まれたのでしょうか。
■「税制大綱」から見える、今後の自動車税制
2022年12月16日、与党である自民党と公明党による「令和5年度税制改正大綱(税制大綱)」が発表されました。
今後の税制改正のたたき台となるものだけに、多くのユーザーの注目が集まっていますが、自動車関連税制についてはどのような内容が盛り込まれたのでしょうか。
「税制大綱」とは、与党の税制調査会が中心となって取りまとめられるもので、翌年度およびそれ以降の税制を決定する上でのたたき台となるものです。
この「税制大綱」が閣議決定されると、国税は財務省が、地方税は総務省が具体的な改正法案を作成します。
そして、それらの改正法案が国会へと提出され、閣議決定された上で、実際に施行されるというプロセスとなっています。
今回発表された「税制大綱」はあくまで閣議決定がおこわれる前のものに過ぎませんが、その内容を見ると今後の税制がどのように改正されるのかをうかがい知ることができます。
「税制大綱」のなかで、自動車関連税制については「100 年に一度ともいわれる大変革に直面している」と前置きしたうえで、以下のように述べられています。
「2050 年のカーボンニュートラルの達成に向けて、多様な選択肢の下、将来の合成燃料の内燃機関への活用も見据え、電動車(電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車及びハイブリッド自動車)の普及と競争力強化に引き続き取り組むべきである」
このように、今回の「税制大綱」では、現在世界的な潮流となっているカーボンニュートラルおよび電動化に対して、強く意識した内容となっていることがわかります。
具体的には、自動車重量税におけるエコカー減税については、現行の制度を2023年12月末まで維持することが盛り込まれました。
これは、半導体不足などによって新車の納期が遅延していることに配慮したものとされています。
また、自動車税や軽自動車税の環境性能割については、燃費性能に応じた税率区分を2年ごとに見直す予定となっていましたが、半導体不足などによる新車の長納期化に配慮し、こちらも2023年12月末まで現行税率を維持する内容となっています。
さらに、自動車税と軽自動車税のグリーン化特例については、その期限を当初の2023年度末から2026年度末へと延長される見込みです。
ただし、電動車をより普及させるという観点から、2024年1月以降はエコカー減税の基準となる燃費基準を段階的に引き上げるという方針も打ち出されました。
たとえば、ガソリン車やハイブリッド車の場合、現在の基準では、2030年度燃費基準の60%以上達成でエコカー減税の対象となっていますが、2024年には70%以上、2025年には80%以上へと引き上げられる予定です。
2025年の基準はガソリン車での達成が事実上難しく、2025年以降はガソリン車から電動車への乗り換えがさらに加速することが予想されることから、今回の「税制大綱」では、より電動化へのシフトが鮮明になったといえます。
■「税制大綱」に対して自工会や自販連のコメントは?
今回発表された「税制大綱」に対して、各業界団体のトップがさまざまなコメントを寄せています。
日本自動車工業会の豊田章男会長は、次のように述べています。
「2050年カーボンニュートラルの実現に向け、中長期的な視点に立って、市場の活性化やモビリティ産業として経済的/社会的広がりを踏まえて検討するよう言及されたことで、いよいよ本年が自動車税制を日本の競争力再構築に繋げていく骨太議論のスタートの年となり、歓迎いたします。
また、エコカー減税や環境性能割が2023年末まで据え置きとされたことは、現下の納車遅れによるお客様へのご迷惑回避の必要性をご理解いただいたものであり、関係者の皆さま方のご配慮、ご尽力に改めて感謝申し上げます」
自家用乗用車ユーザーの税負担額(13年間)[日本自動車工業会調べ]
また、日本自動車販売協会連合会の金子直幹会長は次のようなコメントを発表しています。
「今回の令和5年度税制改正大綱においては、エコカー減税等が3年延長され、かつ2023年12月末まで現行の税率区分が据え置かれる等、半導体不足等により自動車の納期が長期化する中、ユーザーに対する一定の配慮がなされたものと考えております」
このように、今回の「税制大綱」については、メーカーおよび販売店の業界団体それぞれのトップから好意的なコメントが発表されるなど、その内容については一定の評価がなされているようです。
その一方で、豊田章男会長からは「関係者の皆さまとしっかり腰を据えて、中長期目線でブレずに、骨太の議論を進めていきたい」、金子直幹会長からは「諸外国と比べて過重な車体課税の軽減等が実現するよう強く求めます」といったコメントも寄せられるなど、自動車関連税制についてはさらなる議論の余地があることも指摘されています。
※ ※ ※
なお、今回は「走行距離課税」についての内容は盛り込まれませんでした。
ただし、電動化が進めば進むほど、ガソリン車全盛時代に基礎が築かれた既存の税制では公平な課税ができない可能性は高く、将来的に「走行距離課税」が本格的に検討される可能性もありえます。
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