もはや懐かしい! 「ミラーが遠い」!? 窓も手動!? バブル期後に“消滅”した装備品3選
くるまのニュース / 2023年1月9日 6時30分
1986年から続いたバブル景気の頃は、高級車やスポーツカーはもちろん、ファミリーカーや、コンパクトカーも1970年代末頃のクルマと比較してより一層装備が豪華になり、進化していきました。その代わりに要らなくなった装備は、現代ではすっかり見られなくなりました。今回はそんなバブル期に消滅した装備たちを紹介します。
■懐かしい! 今は少なくなったクルマの装備3選
1986年から続いたバブル景気の頃は、高級車やスポーツカーはもちろん、ファミリーカーや、コンパクトカーもそれまでの時代のクルマと比較して、より一層贅沢になりました。
その贅沢がいつのまにか普通になり、現代のクルマには基本的な装備になり便利になった反面、その代わりに消滅していった装備もあります。
人によっては懐かしく、そして人によっては「初めて見る」と新鮮に感じる、そんな現代のクルマには少なくなった装備品を紹介します。
■ドアガラスレギュレータハンドル
現在では、「パワーウィンドウ」という名前をわざわざ聞く機会すらなくなっているほど、自動で窓が昇降するパワーウィンドウが当然の装備になっています。
パワーウィンドウの普及により減少したのが、手動開閉式ドアガラスのレギュレーターハンドルです。
レギュレーターハンドルはドアガラスを開けるときに操作する棒状の部品であり、各ドアの内側に装着されています。
ドアガラスを開けるときにはこのハンドルをクルマの進行方向に向かってくるくる回転させ、閉めるときには後ろの方向に向かって回転させます。
手動式なので、モーターやスイッチ、配線などの装置が不要です。
もちろん、イグニッションスイッチを切っていてもドアガラスを開閉可能。
そのため、エンジンを停止させた後や、万一の事故や水害の場合にもドアガラスを開閉出来るほか、故障する部品も少なくて済むことが特徴です。
しかし、運転席から他の席のドアガラスをリモートで操作出来ないことや、助手席や後席に座らせた子供が勝手にドアガラスを開けることを防げないなど、不都合なところもありました。
また、パワーウィンドウが本格的に普及する直前の時期には、後付けのパワーウィンドウキットもありました。
■フェンダーミラー
フェンダーミラーとは、ボンネット両側のフロントフェンダーに、まるでキノコのように装着されたミラー。現代のドアミラーと同様の役目で、ドライバーが自車の斜め後方を確認するための装備です。
現在ではタクシー車両でしか見られなくなってしまいましたが、日本ではドアミラーは1980年代前半まで禁止されており、全てのクルマがフェンダーミラーでした。
ドアミラー認可後、各車はマイナーチェンジやフルモデルチェンジを機にドアミラー化を進めたため、フェンダーミラーはバブル期を境にほとんどの新車には装着されなくなっていきました。
フェンダーミラーもドアミラーも一長一短あり、当時はいろいろ議論になりました。
フェンダーミラーは、ドアミラーと比較すると写る像が小さくなってしまう反面、ドライバーが斜め後方を確認する際に首を振る角度が小さくて済む利点があります。
さらにドアミラー車では、実質的な車幅が広くなってしまう問題もありました。
そんなことから、ドアミラー認可当初は自動車雑誌やテレビのワイドショーなどで、「どちらのミラーが理想的であるか」について真剣な激論が交わされたそうです。
ミラーが変化する期間の措置として、ドアミラー認可後もメーカーはフェンダーミラーをオプション設定しました。
一方で、ドアミラー認可後には既存のフェンダーミラー車に装着する「後付けドアミラーとフェンダーの穴埋めカバーキット」も、アフターパーツとして発売されて大ヒットしました。
余談ですが、ドライバーから遠い位置にあるフェンダーミラーでは鏡面角度を切り替える電動調整式のリモコンが普及しましたが、当初のドアミラーでは室内側に出ているスティックを操作し、鏡面角度を変えるものも多数ありました。
しかし、リモコンに慣れたユーザーには面倒に映ったのか、室内に近いドアミラー車もすぐにリモコン化されてしまいました。
また、当初はドアミラー本体がものにぶつかった際にドアミラーが倒れ、その後ばねの力で自動復旧するタイプが主流でしたが、その後可倒式が主流となって現在に至ります。
そんな数々の変遷や激論があったドアミラーも、現在では、一部の先進的な車両では鏡に代わり、カメラと後方モニターを組み合わせたものが採用されており、今後これらに置き換えられていくかもしれません。
■多連メーター
新型でも伝統的な多連メーターを装備する日産「フェアレディZ」
腕時計にも、必要性は別として温度計や気圧計を備えたものがありますが、指針と文字盤が多く並んでいる姿は、メカ好きの心をくすぐるのかもしれません。
そのためか、1970年代のクルマは「コックピット風」というドライバー側に傾斜したインストルメントパネルと多数の丸形メーターが並んだ、いわゆる「多連メーター」がステータスでした。
メーターの種類には、スピードメーターや、タコメーター、水温計、燃料計、油圧計、電圧計、電流計、外気温度計、エンジンバキューム計、時計などさまざまなものがあります。
メーターの数が多ければ多いほどクルマの状態などを詳細に確認できますが、ドライバーによっては指針が示す意味が分からず、ついていればかっこいい、くらいの感覚もあったかもしれません。
ただし、こうなったのは上級グレードが中心で、下級グレードではタコメーターの位置に大きな時計を備えたり、カバーでふさいでいたりするなど、少々さびしい印象になっていました。
1980年代になると、多連メーターよりもシンプルな造形が好まれるようになり、メーターは4種類程度のものが組み合わされて一つのケースに入った、コンビネーション式が主流になりました。
また、コンピューター時代の到来ということで、未来感を演出するためのデジタル表示メーターも登場しました。
そして、電圧計や電流計、エンジンバキューム計など、実際には頻繁に見る必要がないものは装着されていったのです。
現在では、メーターの液晶ディスプレイ化が進行中。液晶ディスプレイは、多連メーターのように同時にすべての情報を表示することはできませんが、表示を切り替えることのできるものが多く、以前よりも多くのさまざまな情報を確認できます。
※ ※ ※
旧いクルマをのぞいてみると、現代には無い装備をたくさん見ることができます。
時代の移り変わりによって、なくなってしまった装備を見るのもひとつの学びになるかもしれません。
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