2023年新車の「初売り」は安くない!? 長納期問題で「新春初売りセール」はどうなる? 国内8販売店の状況は
くるまのニュース / 2022年12月31日 20時10分
毎年、お正月は新車の値引きや各種キャンペーンが開催される「初売りセール」が販売店でおこなわれていますが、新車の超納期化が問題となっている2023年の新春は開催されるのでしょうか。
■2023年お正月は新車「初売りセール」できるのか
2022年も残りわずかとなりましたが、クルマに限らず例年お正月になると「初売りセール」などと、商品の割引やキャンペーンなどを開催するのが恒例となっています。
新車販売店でも正月早々の初売りとして、新車の値引きなどが企画されていますが、近年では新車の長納期化が問題となっています。例年のような初売りセールは2023年の新春も企画・開催できるのでしょうか。
今回は2022年12月初頭に東京都内のトヨタ、日産、ホンダ、マツダ、三菱、スバル、スズキ、ダイハツの国産車ディーラー計8店舗で直接話を伺いました。
まず、トヨタの販売店スタッフに初売りセールについてたずねたところ、次のような反応でした。
「新春の初売りセール自体は開催予定です。しかし、新車が安くなるかといわれるとそうではなく、どちらかというと展示車や在庫車販売がメインとなりそうです。
半導体不足により納車が長期化している問題で、値引きが思うようにできないのが理由のひとつです」
販売店としては、納期が読めない新車の値引き行為がさまざまなリスクを持つため、初売りセール自体を開催しても、買い得感のある新車を用意することは難しいようです。これについて、取材した日産やホンダの販売店スタッフも同様の回答でした。
一方で、販売店が唯一できる策としては「在庫車」や「展示車」の販売です。
とはいえ展示車や在庫車はその数が限られています。販売店は常に即納のためのクルマを集め続けている状況であり、セールのためにわざわざ在庫車を用意するほどの余裕もないわけです。
そのため、新車および展示車や在庫車の値引き以外のアプローチで初売りセールを企画する販売店もあるようです。
三菱の販売店スタッフは2023年の新春セールについて、「初売りは例年よりも開催を早め、12月から新春セール価格と同じ内容で在庫車を提供する予定です」と話してくれました。
さらに、スバルの販売店スタッフも同様に「カタログギフトのプレゼントや下取り車の査定アップを検討中です」と説明します。
各販売店は、販売促進で毎年恒例行事ともいえる初売りセールをやらないわけにはいかず、販売できるクルマも限られていることから、肩身の狭い思いをしているようです。
さらにマツダの販売店スタッフは初売りセールについて「初売りはやります」としながらも、販売店の立場としての現状を話してくれました。
「正直、新車を初売りセールで販売したとしても、販売店にとってあまり旨味はありません。仮にいま(12月初頭)から注文しても、納車はおおむね来年(2023年)4月以降となる見込みのため、3月末の決算時期に間に合わないからです」
初売りセールは、年度末の決算期に向けた新年最初の販売支援策という意味合いもありますが、納車が間に合わない状況が続いているため、販売店側からすると初売りで成果を上げても、数字として売上に影響をもたらす可能性は低いと予想しているようです。
では年末年始には大々的な初売りキャンペーンのTVCMを打つのが恒例となっているスズキやダイハツはどうなのでしょうか。スズキのスタッフはこのように話します。
「スズキでは先行して初売りフェアを開催します。在庫車の値引きやオプションのプレゼントなどを用意しています」
またダイハツ販売店のスタッフは「新車の値引きは(新春セールでは)予定していません。販売店オプションのプレゼント企画が来年はメインとなる予定です。ただし希望の車種の在庫があって、3月中の納車ができれば、値引きは期待できるかもしれません」
他社に比べ、比較的納期が短いといわれるスズキやダイハツでも新車値引きの拡大は難しいようで、長納期化のなかで恒例行事の「初売りイベント」をどう開催するか、悩みのタネであることは変わらないようです。
このように、2023年の初売りセールでは新車が来ない、在庫車販売も難しいという状況のなか、苦肉の策として下取り査定のアップやカタログギフト、販売店オプションのプレゼントを用意し、お得感を出そうという戦略のようです。
新春セールを先行して実施する販売店もあり、新車販売店の各社は年度末に向けての販売戦略案にかなり奮闘している様子がわかります。
※ ※ ※
毎年恒例のクルマの初売りセールですが、今回話を伺った販売店ではいずれも、2023年初売りにあわせた特別な新車値引きを期待するのは難しそうです。
そんななか、販売店も打開策を打ち出そうとギフトを用意するなどさまざまなアイデアを練っているようですが、これらが消費者にとって有効なものとなるか注目されます。
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