冬は「パパ・ママ」気をつけて! 子供の「ツル・ふわ」防寒着は危険! チャイルドシートの正しい着座方法とは
くるまのニュース / 2022年12月28日 9時10分
冬のドライブは防寒着を着用したまま乗車することがあります。子供をチャイルドシートに乗せる際も寒さ対策として防寒着をを着用したまま乗せる光景を見かけますが、この行為は危険を伴うといいます。どのような危険があるのでしょうか。
■チャイルドシートはできるだけ薄着で乗せて
寒さが厳しくなってくると、チャイルドシートに赤ちゃんや子どもを乗せるとき上着を着せたままでという人もいらっしゃるかもしれません。
寒いから、風邪ひいたらかわいそうだからと、ふわふわの分厚い上着やコートを着せたままでチャイルドシートに乗せてハーネスをゆるーく締める行為。
実はこれ、衝突などで強い衝撃を受けた際、命に関わる危険な使用方法です。
筆者はくるまのニュースで2019年12月「厚着をしてチャイルドシートに座らせることの危険性」を訴える記事を書きました。
このときは大きな反響をいただくことができ、テレビの情報番組で危険性がわかるよう実演して説明したこともありました。
USATODAYやコンシューマーリポート、英国BBCなど欧米の主要なメディアは毎年、冬が始まる前に「子どもに分厚いコートを着せたままチャイルドシートに乗せることの危険性」について繰り返して報道しています。
2022年11月に米国大手TV局FOX5のニュース番組内で放送された際は、REMSAヘルス(※1986年からネバダ州で地上救急車サービスを展開している。交通事故防止の公教育も提供)の指導員が「子どもがけがをする危険性」について説明しました。
「ふわふわしたかさばる冬用コートはハーネスを安全に締め付けることが難しい。
事故で衝撃を受けた際、子どもとチャイルド シートが一緒に動くことが望ましいのです。
つまりハーネスが子どもの体にぴったりフィットし、事故の衝撃で子どもがシートから飛び出さないようしっかり拘束することが重要です」
番組の内容を分かりやすくまとめると以下となります。これは日本でも米国でも子どもを守る方法としては同じことです。
ーーーー
1.コートやジャケットを脱いでできるだけ薄着で着座させます。
2.あらかじめ暖房を入れて車内を温かくしておきましょう。寒いようであればチャイルドシートに座った状態で、その上から毛布を掛けるなどしてください。
3.中綿などがない薄手のジャケットなら着せたまま座らせてもOK しかし、ハーネスと子どもの体の間に指が入らないくらいきつめに締めることが重要です。
ーーーー
つまり、厚手のジャケットの上からハーネスを締めることは、ハーネスをゆるゆるの状態で締めているのと同じことなのです。
コートやジャケットに子どもの体を飛び出しから守る機能はありません。
ジャケットを着たままでその上からハーネスを締め、そのままジャケットを脱がせてみてください。いかに緩い状態でハーネスを締めているかがわかります。
※ ※ ※
なぜ日本では「ハーネスの緩さ」が見落とされるのでしょうか。
日本では、チャイルドシートが正しく装着されているかの確認ポイントとして「チャイシー本体がクルマのシートにしっかり取り付けられているか」、「揺らしてみるなどしてグラグラしないか」を確認することが主体となっています。
しかし、近年はチャイルドシートの固定方法としてISO-FIXが急速に普及しており、誰でも簡単確実にチャイルドシートの固定ができるようになりつつあります。
2006年以降にモデルチェンジを受けた乗用車から後部座席にISO-FIX金具が標準装備されるケースが増え、2012年7月1日以降に製造される乗用車は一部スポーツカーなどを除いて全車にISO-FIX金具が義務付けられました。
このISO-FIXの普及によってクルマの座席とチャイルドシートの固定はミスユース(取り付けミス)が激減しました。
しかし、その一方で見落とされているのが、ハーネスの締め付けです。
ハーネスとはチャイルドシート本体に取り付けられている乳幼児の体を固定する非常に重要な装備で、ほとんどの場合ハーネスはユルユルで取り付けられていますが、本来は指1本やっと入るくらいで締め付けることが基本です。
ISO-FIXによってチャイルドシートがクルマの座席にがっちり固定されていても、ハーネスがゆるければ事故の衝撃で子どもの体はハーネスの間から転がり落ちてしまいます。それではチャイルドシートの意味がありません。
■ツルツル生地の上着も要注意!チャイルドシートから滑り落ちる危険も
もうひとつ、チャイルドシートに乗せてクルマ移動をする際、子どもや赤ちゃんに着せると危険な素材や形状の上着があります。
それは、表面がツルツルした素材の生地を使用した衣服です。
とくに、フード付きで頭からつま先まですっぽり覆うタイプの「オールインワン」や「カバーオール」と呼ばれる形状のアウターは要注意。
表面がポリエステル素材で作られたカバーオールタイプは引っかかるところがなくとくに滑りやすく、チャイルドシートだけではなく、赤ちゃんを抱っこしているときにも滑りやすいので要注意です。
チャイルドシート本体のシート表皮生地も丈夫で軽く、洗濯しても乾きやすい生地が使われることが主流です。
この上にポリエステル素材でできた上下一体型のカバーオールを着せたままで赤ちゃんを座らせた場合、ハーネスがゆるいと急ブレーキレベルの衝撃で、赤ちゃんの体はハーネスの間をすり抜けて床に滑り落ちることもあります。
それでもまだ、ハーネスをきっちりきつめに締めていればハーネスの拘束力が効いて、赤ちゃんの体を守ることができるかもしれません。
しかしこれが、チャイルドシート本体にハーネスがついていないジュニアシートの場合はさらなる危険が待っています。
フード付きで頭からつま先まですっぽり覆うタイプの「オールインワン」や「カバーオール」と呼ばれる形状のアウターは要注意
ジュニアシートはジュニアシート本体と子どもの体をシートベルト1本で固定して使用します。
子どもがまっすぐ前を向いて姿勢よく座っていれば、衝撃を受けてもシートベルトの拘束力で体の飛び出しを防いでくれるでしょう。
しかし、普通に考えて子どもがずっとまっすぐ姿勢よく座っていることは稀だといえます。走行中に眠ってしまったり、隣に座るきょうだいとふざけあったりして姿勢が崩れることもあるでしょう。
この状態でさらにツルツル素材のジャケットを着て衝撃を受けるとどうなるでしょうか。
小学生くらいの子どもでも簡単にジュニアシートから滑り落ちる危険が発生してしまいます。
横転するほどの強い衝撃を受ければ、ジュニアシートを使っていても滑り落ちて最悪の場合、車外に放出される危険もあります。
※ ※ ※
これからますます寒さが厳しくなりますが、チャイルドシートに子どもを座らせるときには分厚いコートを脱がせてできるだけ薄着で。そしてハーネスは指1本入る程度にきっちり締めましょう。
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