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空港ではたらくクルマは普通免許で運転できる? 車検は必要?「航空機地上支援車両」の秘密に迫る!

くるまのニュース / 2023年1月2日 14時10分

空港ではさまざまな専用車両が業務にあたっています。これらは「GSE」と呼ばれているのですが、運転するには特殊な運転免許が必要なのでしょうか。

■飛行機を運航させるには専用のクルマが不可欠!

 飛行機に乗る際、空港を利用することになります。その時はさまざまな機種を間近に見られるとあって飛行機に注目しがちですが、円滑なフライトをおこなうために空港ではさまざまなクルマが活躍しているのです。
 
 空港内ではたらくクルマは正式には「航空機地上支援車両」といい、空港関係者からは「GSE(Ground Support Equipment)」と呼ばれているそうです。

 そんなGSEは用途別に特化した専用車両が空港内だけでも30種類以上も存在しており、筆者(金田ケイスケ)が実際にカウントしただけでも38種類ありました。

 さまざまな業務に特化した専用車両は普通免許で運転できるのでしょうか。日本航空(以下、JAL)に聞いてみました。

「GSEの操縦に関しましては、原則として車両の規格(サイズや排気量)に適合した公的免許が必要になります。ただし、各空港において条件が揃った場合のみ、普通免許だけでも運転操作が可能になるケースもあります」

 業務内容にもよりますが、普通免許で運転できるGSEもありそうです。それ以外にもGSEの操作には特別な資格が必要なのかも気になるところです。

「搭降載業務の担当者は、まずはもっとも使用頻度の高い『トーイングトラクター』(コンテナやパレットなどを積載したドーリーを牽引する車両)の資格を取得します。そのあと個人の技量にあわせて『ベルトローダー』(受託手荷物や貨物を貨物室にコンベアで搬出入する車両)や『ハイリフトローダー』(航空機の貨物室に航空コンテナを搭降載するリフトがついた車両)の資格を順番に取得する流れになっております」(JAL担当者)

 やはり専用車両ごとの資格が必要になるということです。

 また貨物の搭降載以外の業務で使用される「トーイングカー」(航空機を移動させるための車両)や「パッセンジャーステップ」(ボーディングブリッジのないスポットで乗員の乗降に使用するタラップがついた車両)の操縦などは、個人の技量や資格人数を見極めつつ資格を取得していくのだそうです。

■車検はどうしてる?

 もうひとつ気になるのが、空港内だけで走行するのであれば、車検は不要なのではないかということです。公道ではなく施設内なので、道路運送車両法の適応外となるのでしょうか。

「ご指摘の通り、道路運送車両法で定められる法定点検はありません。ただし、各空港で定められている安全管理規程にて定期点検が求められています。

 JALではこれに加えて、メーカーの点検基準などをもとに独自の点検を実施しています」(JAL担当者)

ボーディングブリッジのない場所から乗員や乗客の乗降用に開発された「パッセンジャーステップ」(画像提供:JAL)ボーディングブリッジのない場所から乗員や乗客の乗降用に開発された「パッセンジャーステップ」(画像提供:JAL)

 GSEは公道を走行することもありますが、その場合はもちろん道路運送車両法にて定められる法定点検(いわゆる車検)が必要になるといいます。

 GSEは大きく分けて「貨物の運搬・搬出入」「航空機の移動」「乗員の搭乗降」に加え、「食料や飲料水など物資の搬入」「機体の整備・給油」など、作業ごとに専用の機能があります。

 このGSEを製造しているメーカーは、航空会社によって違いはあるものの、我々一般的なドライバーとはあまり縁のない会社ばかり。

 JALが採用しているGSEのメーカーは、トーイングトラクターが豊田自動織機など、ハイリフトローダーがシンフォニアテクノロジーやTREPELなど、ベルトローダーがシンフォニアテクノロジーなど、パッセンジャーステップがシンフォニアテクノロジーやTipsなどとなっています。

 このなかで注目したいのが豊田自動織機です。工業用機械だけでなく自動車部品も製造するメーカーで、名前でもわかる通りトヨタグループの会社ですが、同社の自動車部門が独立したのが、我々が知る「トヨタ」なのです。

 またシンフォニアテクノロジーは、発電機や電動機だけでなく航空宇宙、産業用大型車両の製造も請け負う電機メーカー。こちらは神戸製鋼系列から派生したメーカーです。

 このように、GSEの開発には多くのメーカーが携わっており、飛行機のスムーズな離発着を可能にしているというわけです。

 ほかにも、空港ではたらくクルマとして、航空機事故に備えた専用装備を搭載する「空港用化学消防車」や「空港用医療作業車」、航空機の先導や滑走路の点検などに使用する「フォローミー」、専用の除雪車を含む空港内の「路面清掃車」などもあります。

 また、GSEの整備に関してはメーカーに依頼するだけでなく、整備を請け負うグループ企業があります。一般道より安全基準が厳しい空港内ではたらくクルマだけあって、専門チームが整備をおこなっています。

※ ※ ※

 空港ではたらくクルマは、我々が普段乗っている一般車両とは違う、独特の魅力があります。

 飛行機に乗るときに早めに空港に到着し、どんなGSEがはたらいているのかを探すだけでも十分楽しめそうです。

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