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怪しいクルマ「天ぷらナンバー」の正体は? 日本代表料理が「偽物」表現として用いられる背景とは

くるまのニュース / 2023年1月16日 9時10分

車台番号とひもづいていないナンバープレートのことを「天ぷらナンバー」と呼びますが、日本を代表する料理の天ぷらと呼ぶのでしょうか。

■重大な違法行為「天ぷらナンバー」とは

 公道を走行するすべてのクルマが所定の位置に掲示することを義務付けられているナンバープレート。
 
 このナンバープレートはその装着されるクルマ(車体番号)と紐づいていることが大前提ですが、世の中にはクルマと紐づかないナンバープレートを装着する通称「天ぷらナンバー」が存在するようです。

 ナンバープレートには、使用の本拠地を表す「地名」、3ケタの「分類番号」と「ひらがな」、そして最大4ケタの「登録番号」で構成されています。

 装着されているクルマの車台番号とひもづけられているため、警察はそこからそのクルマの車検証上の所有者を照会することができます。

 しかし、世の中にはごくまれに車台番号とひもづけられていないナンバープレート、通称「天ぷらナンバー」を掲示して走行しているクルマが存在します。

 当然のことながら、「天ぷらナンバー」を使用して走行するのは重大な違法行為です。

 具体的には、道路運送車両法第98条第1項にあるナンバープレートの偽装や変造の禁止、および同第3項にある当該車両以外への使用の禁止に該当。

 前者の場合は3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、後者の場合は50万円以下の罰金が科されます。

 こうした背景から「天ぷらナンバー」を使用する人のほとんどが、なんらかの犯罪に関与している可能性が高いといわれています。

 前述のとおり、ナンバープレートは車台番号とひもづけられることによって、そのクルマの車検証上の所有者を照会することが可能です。

 しかし、「天ぷらナンバー」はそもそも車台番号とひもづけられていないため、ナンバープレートの情報から所有者を特定することが困難とされています。

 したがって、「天ぷらナンバー」を使用すると「アシがつきにくい」のは事実といえます。

 ただ、多くの人にとって、重い刑罰を受ける可能性があるというリスクを背負ってまで「天ぷらナンバー」を使用するメリットはまずありません。

 では、「天ぷらナンバー」を使用しているクルマを、外見で判断することは可能なのでしょうか。

 例えば、そのナンバープレート自体が偽造されたものであれば、全体の質感や文字の配置、フォントなどの違いで違和感を覚えることは可能かもしれません。

 ただし、実際に使用されているナンバープレートであれば、それを違法なものだと見分けるのは至難の業です。

 また、いわゆる「5ナンバーサイズ」のクルマであるのに、3ケタの「分類番号」が「3」から始まっている場合なども、「天ぷらナンバー」を見分ける際のポイントになりそうです。

 しかし、正規の手続きを経てナンバープレートを変更している可能性もあるため、いちがい「天ぷらナンバー」であると断定することはできません。

 このように、「天ぷらナンバー」であるかどうかを外見だけで判断することは事実上不可能であるのが実情です。

■なぜ「天ぷら」という? 日本を代表する食べ物が「偽物」表現に使われる背景とは

 重大な違反行為である「天ぷらナンバー」の使用ですが、そもそもなぜ「天ぷら」などという言葉で呼ばれているのでしょうか。

 ここでいう「天ぷら」とは、もちろん日本を代表する揚げ物のことを指しています。

 同じ揚げ物でも、衣を付けずに揚げたものは「素揚げ」などと呼ばれるように、天ぷらにとって衣は欠かせないものであることはいうまでもありません。

 衣こそが天ぷらを天ぷらたらしめている一方で、衣があることでその中身(種)が隠されているというように解釈することもできます。

 また、衣を厚くすることで必要以上に大きく見せることができるというのも、天ぷらの大きな特徴です。

なぜ天ぷらと呼ぶのか? 歴史的背景はどうだった?なぜ天ぷらと呼ぶのか? 歴史的背景はどうだった?

 こうしたことから、「天ぷら」という言葉は「本来の姿を隠す」や「本来の姿よりもよく見せる」などといった意味を持つようになり、それが転じて「偽物」を指す言葉としても用いられるようになりました。

 そういった意味での「天ぷら」が多く用いられるようになったのは、明治時代の頃だったと言われています。

 当時は、メッキ加工を施すことで価値を高めようとしている製品のことを揶揄する意味合いで「天ぷら」という言葉が用いられていたようです。

 また、その後1970年代の安保闘争の頃に、実際にはその大学の学生ではない人間が、その大学の制服を着ることで学生になりすまし、講義を受けるといったことを指して「天ぷら学生」と呼んでいたといいます。

 日本で現在と同様のナンバープレート制度が確立されたのは、1964年のことです。

 その後、モータリゼーションが進むにつれて、ナンバープレートというものがひろく一般に知られていくことになるわけですが、少なくともその頃には「偽物」という意味での「天ぷら」という表現があったことは間違いないようです。

※ ※ ※

 ちなみに、日本を代表する料理のひとつである天ぷらですが、実は1500年代頃にポルトガルから伝来したものだといわれています。

 その後、1600年代中頃には「天ぷら」の文字が文献にも登場するようになり、江戸の街に住む庶民の食べ物として浸透していったようです。

 しかし、大量の油の入手が困難であったり、調理に技術を要することなどから、全国的に食べられるようになったのは意外にも戦後になってからのことのようです。

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