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電気の力で魅力アップ! 最上級のトヨタ「ハリアー PHEV」乗り心地スゴい! 25年目の進化とは

くるまのニュース / 2023年1月18日 19時10分

トヨタの人気SUV「ハリアー」の最上級グレードとして「PHEV」が追加されました。一体どのようなモデルなのか、試乗してみました。

■ハリアーのフラッグシップ「PHEV」登場

 2020年6月に登場した4代目のトヨタ「ハリアー」は、「TNGA」という武器をフル活用することで、歴代モデルが築き上げてきた「都会派SUV」というコンセプトより明確・鮮明にしたモデルです。

 クーペフォルムの流麗なエクステリア、レクサス顔負けの仕立ての良いインテリア、そして独自の乗り味などが高い評価を受け、現在も高い人気を誇っています。

 そんなハリアーが、2022年10月に初の改良をおこないました。その内容は運転支援機能やインテリアの利便性の向上がメインですが、一番のニュースはプラグインハイブリッド(PHEV)の追加です。

 開発を担当した製品企画の山崎博之氏は「ハリアーはおかげさまで2022年に25周年を迎えましたが、そのフラッグシップを『PHEVユニットを用いて実現したい』という想いで開発をおこないました」と語っています。PHEVが最上級グレード「Z」のみの設定となっているのはそんな理由からです。

 ハリアー PHEVのエクステリアは専用デザインのフロントグリル(ハニカム形状)やフロントロアバンパー、アルミホイール(ブラック×切削)に加えて、専用の加飾(黒塗装/ダークメッキ/ボディ同色)が施されています。ちなみにガソリン/ハイブリッド車よりもヒカリ物は抑え目になっていますが、逆にそれが“いいモノ感”を高めている印象を受けました。

 インテリアはブラックを基調にダークレッドの加飾(インパネ/ドアトリム)&パーフォレーション(シート)を採用した専用コーディネイトが採用されています。ややベタな感じもしますが、「プレステージ性とスポーティさを演出」(山崎氏)ということなので、納得です。

 ちなみに今回の改良でフル液晶メーターや大画面ディスプレイ、エアコンパネルなども変更されていますが、それらもインテリアの質感アップに大きく貢献していると感じました。

 フル液晶メーターは「クラウン」同様に4つのテイストと3つのレイアウトから選択可能ですが、さすがに「tough」はハリアーのインテリアにはマッチしないのでほかのデザインがあっても良かったかなと感じました。

 また、エアコン操作部もパネル内に温度表示が可能になったことで視認性も向上しています。

■現行トヨタ車でトップレベルの快適性を実現

 ハリアー PHEVの走りはどうでしょうか。パワートレインはハイブリッドE-Fourをベースに、フロントモーターの出力アップ(88kW→134kW)、バッテリーの大容量化(ニッケル水素→リチウムイオン:18.1kWh)、PCU、DC/DCコンバーターの変更によりシステム出力は306psを発生。

 これらのシステムは「RAV4 PHV」と基本的には同じですが、実際に走らせるとより力強く、よりスムーズに感じました。その理由は「静粛性の高さ」で、EVモードはもちろんハイブリッドモードでもエンジンがより遠くで作動しているような印象です。

 山崎氏にその印象を伝えると「ガラスとガラスとの間に遮音性の高いフィルムを挟んだアコースティックガラスの採用が効いています」とのことでした。

トヨタ「ハリアー PHEV」トヨタ「ハリアー PHEV」

 ちなみにタイヤはオールシーズンタイヤ(ブリヂストン エコピア)に変更されていますが、プレミアムコンフォートタイヤの「レグノ」を履いているのかと思ってしまったくらいロードノイズも抑えられています。ちなみにEV走行航続距離は93km(WLTCモード)なので、自宅に充電器があれば普段はほぼEVとして使うことも可能です。

 フットワークはどうでしょう。プラットフォームは形式的には「GA-K」ですが、ハイブリッド仕様よりも200kgの重量増に対応するために、北米専売3列シートSUVの「ハイランダー」用をベースとし、サスペンションのセットアップやEPS制御もPHEV専用に最適化されています。

 その印象はハリアーの「重厚」で「シットリ」とした乗り味がより際立った印象です。もう少し具体的にいうと、ステア系もフットワークもハイブリッドに対して穏やかな特性になっています。

 ただ、勘違いしてほしくないのはダルになったのではなく、操作に対する正確性はそのままに挙動変化の時間軸がよりゆっくりになったイメージです。ハイブリッド+200kgなのでコーナリング時に重さを感じないといえば嘘になりますが、PHEV化による重心高ダウンや前後バランス改善も相まってロールも抑えられています。

 ハンドリング以上に驚いたのは電子制御ダンパー付きかと勘違いしてしまうほどの乗り心地の良さです。ギャップを柔らかにいなすだけなくショックを「スッ」ではなく「ジワーッ」と収束させていて、結果としてバネ上の動きがよりゆったりしており、快適性に関しては現行トヨタラインナップのなかではトップレベルにいます。例えるならば歴代クラウンの、それも「ロイヤル系」の末裔といっても良いくらい優しい乗り味に感じました。

 その印象を走りの評価を担当した凄腕技能養成部の片山智之氏に伝えると、「HEVもPHEVも狙いは同じですが、重心高ダウンのメリットを用いて足回り諸元の最適化をおこなったことで、さらなる上質な走り、さらなる上質な乗り心地が実現できたと思っています」と教えてくれました。

※ ※ ※

 ハリアー PHEVはトヨタのカーボンニュートラル/電動化戦略に貢献するだけに留まらず、「走りの質」もプラスさせたモデルです。つまり、ハリアーの魅力を電気の力で加速させたモデルといえるでしょう。そして、そのマルチなパフォーマンスはハリアーシリーズのフラッグシップに相応しいキャラクターだと感じました。

 価格は620万円とハイブリッドE-Fourに対して116万円高ですが、クリーンエネルギー車(CEV)の補助金制度を活用すれば55万円が支給されるので、差は一気に縮まります。

 しかし、長納期問題がクリアになっておらず、「欲しくても買えない」という状況です。ただし、2022年12月から2023年3月にかけて国内向けモデルの増産体制の話も聞いているので、気になっている人は早めに決断することをお勧めします。

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