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NTTがコネクティッドカー数千万台規模で社会実装へ!?「つながるクルマ」アッと驚くメリットとは?

くるまのニュース / 2023年1月21日 19時10分

NTTがコネクティッドカーに関する新技術を商用化するという報道がありましたが、コネクティッドカーが普及することによってどのようなメリットがあるのでしょうか。

■徐々に普及するコネクティッドカー

 一部報道で、NTTがコネクティッドカーの新しい技術を近く商用化するという情報が流れました。それも数千万台規模で、クルマがコネクティッド(つながる)というのです。
 
 いったいどういう仕組みで、ユーザーにとってのメリットはどこにあるのでしょうか。

 ユーザーが日頃の運転で直感する「クルマのコネクティッド」といえば、高速道路での自動料金徴収システムであるETCが思い浮かぶでしょう。

 また、車内では、スマートフォンとつないで音楽やSNSなどの情報を共有する、Apple CarPlayやAndroid Autoもクルマのコネクティッドの仲間といえるでしょう。

 一方で、「コネクティッドカー」という表現を使う場合、クルマに搭載されている各種のコンピュータ(CPU)の情報を通信によってクラウドに送信してデータを解析し、それをもとにしてさまざまなユーザー向けサービスに適用することを指します。

 現在販売されている新型車の場合、CPUの数は数十個、また高級車の場合は100個近くにまでおよんでおり、そうした情報を集約してクラウド側と送受信するデータ通信機が標準装備されることが増えてきました。

 例えばトヨタは、「クラウン」(15代目)と「カローラスポーツ」を2018年6月28日に発表したとき、「THE CONNECTED DAY」と題して、豊田章男社長がコネクティッドカーについてプレゼンテーションをおこなっています。

 それによると、クルマの制御ネットワークCANに接続する車載通信機のDCMを、国内で販売するほぼすべての新車に搭載するということでした。

 CANとは「コントローラー・エリア・ネットワーク」の略称で、車載の各種CPUを連携する仕組み、DCMは「データ・コミュニケーション・モジュール」という小さな箱状のような形をしたものです。

 各車のDCMから得られたデータは、トヨタがモビリティ・サービス・プラットフォームと呼ばれるクラウド上の仕組みに集められて解析されます。

 そして、ユーザーが受けられるサービスとしては、例えば走行データ連動型の自動車保険や事故・急病の際のヘルプネット、故障の前兆を把握して販売店とユーザーのSNSなどへの通知などを挙げています。

 実は、この発表の1年以上前である2017年3月27日、トヨタはNTTとの間で「コネクティッドカー向けICT基盤の研究開発に関する協業に合意」を発表しました。

 ICT(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー:情報通信技術)基盤とは、クルマから得られるデータの収集・蓄積・分析をおこなう仕組みを指します。トヨタとしてNTTとの連携を踏まえたうえで、DCMの国内ほぼ全車種導入といったコネクティッドカー戦略の実現に踏み出したということです。

 その成果について、トヨタはソフトウエアエンジニア向けのTOYOTA Developers Nightのなかで「2018~2020年の実証実験成果発表~トヨタとNTTで作るコネクティッドカーICT基盤に迫る」という題目で2021年1月に動画を配信。その時点でトヨタのコネクティッドカーは国内で約100万台、また2025年には国内で500万台、グローバルで2000万台規模になると予測しています。

■ユーザーにはどんなメリットがある?

 実証試験では、台数が拡大すると処理データの項目が増えますが、さまざまな最新技術を駆使して処理速度が早くなるという結果が得られたといいます。

 具体的には、数十万台では数十項目で10分程度だったのに対して、数百万台では数百項目で数十秒、さらに数千万台では数千項目あっても秒単位でデータを処理できる見込みがあるとのことです。

初代コネクティッドカーとして登場した15代目「クラウン」初代コネクティッドカーとして登場した15代目「クラウン」

 そのうえで、ユーザーが直接体感できるサービスについて、次のような事例を挙げています。

 ひとつは、車載カメラやドライブレコーダーなどが捉えた画像から地図を作ることです。国が産学官連携で構築した高精度三次元地図・ダイナミックマップと連携することで、リアルタイムに近いような地図を作成することが可能になります。これは将来的に、高度な自動運転が普及する際に必要不可避になる技術でしょう。

 ふたつ目は障害物検知で、路上に落ちている障害物の情報を後続車に通知するシステムです。実証初年度の2018年には、通知速度は約15秒から20秒でしたが、2019年には約7秒から9秒、そして2020年には約5秒を可能としています。

 今後さらに技術が進化して、ほぼリアルタイムで情報が伝わるようになれば、夜間の高速道路などでの重大事故を防ぐなどユーザーにとっての安心感が飛躍的に上がるでしょう。

 みっつ目は渋滞原因特定です。走行データと画像解析により渋滞の場所が原因を特定し、それを渋滞情報が直接必要なクルマに対して優先的に知らせることが考えられます。

 このように、トヨタとNTTによるICT基盤に関する一連の実証実験は、「走る・曲がる・止まる」というクルマの基本性能に基づくユーザーサービスであることが分かります。

 コネクティッドカーの数が増えることで、サービスのリアルタイム性と精度が上がることも実証され、これを基に社会実装に向けた動きが本格化するということでしょう。

 もっとも大きな今後の課題は、NTTのICT基盤に連動する車載通信システムの標準化です。

 トヨタ車どうしであればコネクティッドできても、他メーカーのクルマとコネクティッドできないのでは、コネクティッドカーの本来の目的が達成できないことは明らかです。

 まずは、トヨタやトヨタと技術提携や資本提携しているダイハツ、マツダ、スバル、スズキでシステムを標準化しながら、ほかの国産メーカーはもとより、海外メーカーとの連携することになると思われますが、クルマのデータ管理はメーカーにとって“金の生る木”であり、国際的な連携にはさまざまなハードルがあることが予想されます。

 ただし、直近で自動運転技術を普及に関する国際会議などに参加して感じるのは、欧米では車載データの有効利用を積極的に考えようという動きが着実に拡がってきている点です。

 また、クルマの技術的な国際標準化に関しては、国連欧州経済委員会の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)で議論されるのですが、現時点ではコネクティッドカーの車載通信システムに関する具体的なワーキングチーム体制は敷かれていないようです。

 トヨタとNTTとの連携による技術革新が今後、世界の自動車産業界にどのような影響を与えるのか、その動向を見守っていきたいと思います。

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