クルマの税金高い…? 9割以上の人が「負担」と感じる!? 実際に海外との差はどうなっているのか
くるまのニュース / 2023年1月17日 14時10分
JAFが発表した「2023年度税制改正に関する要望書」では、ほとんどすべてのユーザーが「自動車関連税は高い」との声を挙げています。実際のところ、日本の自動車関連税は諸外国と比べてどのくらい高いのでしょうか。
■ほとんどのユーザーが自動車税は「高い」との声
2022年10月、JAFは「2023年度税制改正に関する要望書」を発表しました。
その報告書では、ほとんどすべてのユーザーが「自動車関連税は高い」との声を挙げているといいますが、日本の自動車関連税は諸外国と比べてどのくらい高いのでしょうか。
「自動車ユーザーは強く訴える」というサブタイトルを持つこの要望書は、13万5282人のユーザーを対象に、2022年7月11日から7月31日にかけておこなわれた自動車税制に関するアンケート調査をまとめたものです。
要望書の冒頭には、実に98.5%ものユーザーが「自動車に係る税金が負担」と回答し、さらに94.1%のユーザーが「負担軽減を求める声」を挙げたというデータが掲げられています。
この結果を見ると、ほとんどすべてのユーザーが「自動車関連税は高い」と考えていることがわかります。
実際、コンパクトカーとしては一般的な排気量1L-1.5L以下のクルマでも、年額3万4500円(自家用)の自動車税(種別割)が毎年課されるほか、車検時には自動車重量税が課されます。
これらはクルマの「保有」に対して発生する税金ですが、そのほかにも「取得(購入)」に対しては、自動車税(環境性能割)と消費税が、「利用」については、ガソリン税(揮発油税や地方揮発油税の総称)が発生しています。
これに加えて、いわゆるエコカー減税などの減免措置も用意されていますが、あまりに複雑な複雑な税制が、ユーザーの痛税感を高めているようです。
日本の自動車税制が本当に「高い」のかどうかを検証するために要望書では、諸外国との比較をおこなっています。
要望書では、「排気量2000cc」「車両重量1.5トン以下」「車体価格242万円」「JC08モード燃費値:20.1km/L」などの条件のクルマを、13年間使用した場合に発生する税金について、日本、イギリス、ドイツ、フランス、アメリカの5か国で比較をしています。
これによると、13年間で支払う税金の総額は、日本が89万2000円であるのに対し、イギリスは77万6000円、ドイツは58万6000円、フランス(パリ)は53万円、そしてアメリカ(ニューヨーク)は23.6万円となっており、日本がもっとも高いという結果です。
また日本の場合、車体課税に相当する部分は65万円となっていますが、イギリスは29万2000円、ドイツは12万6000円、フランスは4万6000円、アメリカは2万1000円とさらに大きな差があることがわかります。
イギリスやフランス、ドイツでは、日本の消費税に相当する「付加価値税」が大きな割合を占めている一方、車体課税(自動車税など)は日本に比べて低く抑えられています。
アメリカの場合、日本の消費税に相当する「小売売上税」も車体課税も日本に比べて低いため、もっとも総額が低いという結果となっています。
この調査結果を見ると、やはり日本の自動車関連税は「高い」ということができそうです。
■日本の自動車税は本当に高い?エコカー減税を考慮すると…どうなる?
とはいえ、この調査結果も慎重に検証する必要があり、日本の税額にはエコカー減税などの特例措置は考慮されていません。
一方、前提となっている「排気量2000cc」「車両重量1.5トン以下」「車体価格242万円」「JC08モード燃費値:20.1km/L」などの条件に該当するクルマで、エコカー減税などがまったく適用されないクルマは、2023年1月現在皆無です。
この調査結果では、消費税は10%として計算されていますが、消費税が10%へと増税された2019年10月時点でも、上記に該当するクルマはそれほど多くありません。
つまり、この調査結果における日本の自動車関連税は、ややリアリティに欠けているものととらえることができます。
比較対象を統一するためには、ある程度やむを得ない部分はありますが、日本のユーザーの多くが、13年間で65万円もの車体課税額を支払っているととらえるのはミスリードとなる可能性がある点には注意が必要です。
参考までに、日本で最も売れているクルマのひとつであるトヨタ「ヤリスクロス」のハイブリッド車を現行税制のまま13年間保有した場合、エコカー減税などの特例措置は考慮したうえで発生する車体課税の総額は、おおむね50万円程度となります。
日本ではエコカー減税という制度があるが、対象条件が分かりづらいという声もある
一方、現在の欧米諸国では、ハイブリッド車の税制優遇措置をおこなっている例はほとんどありません。
また、軽自動車のホンダ「N-BOX」であれば、13年間で発生する車体課税総額はおよそ20万円程度となります。
ただ、日本独自の規格である軽自動車を別にすれば、日本の自動車税は諸外国と比べて「高い」というのは事実のようです。
そこには社会構造の違いなどがあるため、一概に諸外国に合わせることが重要であるとはいえませんが、この調査結果は今後の自動車税制を考えるうえでのひとつの鍵となりそうです。
※ ※ ※
現在、日本をはじめとする先進各国では、電気自動車の普及に取り組んでいます。また、シェアリング・エコノミーも活発化するなど、クルマを取り巻く環境は大きく変化しつつあります。
自動車税制も時代に合わせて変化することが重要で、諸外国との比較をおこなったうえで、冷静な議論をすることが何よりも重要です。
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