雪道でタイヤが「スリップ」なぜ起きる? クルマが止まらず超危険! 滑ったときの対処法は?
くるまのニュース / 2023年1月25日 6時10分
雪が降ったり路面が凍結したりすると、クルマのタイヤが滑る「スリップ」が起きやすくなります。スリップしないようにするにはどうしたら良いのでしょうか。
■雪道でスリップしない方法はある?
冬になると、気温の低下や降雪によりタイヤが滑る現象「スリップ」が起きやすく、クルマで走行するのが困難になることがあります。スリップはなぜ起きるのでしょうか。
スリップとは、かんたんにいえば、雨や雪、ぬかるみなどでグリップ力が失われ、タイヤが空転してしまう状態のこと。グリップを失うと駆動力が路面に伝わらなくなるほか、ハンドルを操作しても向きが変わらずコントロールが利かなくなります。
似たようなものに「スライド」や「ドリフト」がありますが、こちらは意図的にタイヤを滑らせて、車体の向きを変えるためのテクニック。つまりコントールするために滑っているのであって、スリップとは別物です。
スリップの主な原因は「ハイドロプレーニング現象」や、雨や雪(場合によっては砂や土)などタイヤとの摩擦力が生まれにくい路面状況によるものとされています。とくに冬は、雪や凍結した路面の氷がタイヤとの摩擦で溶けて接地面と路面の間に薄い水膜ができるハイドロプレーニング現象が起きやすく、クルマがコントロール不能になることが多発しています。
また、もっとも怖いのが「アイスバーン(凍結路)」です。溶けた雪が踏み固められて氷になっている路面で、スケートリンクのようにツルツルと滑ります。そのなかでさらに恐ろしいのが「ブラックアイスバーン」と呼ばれる、黒光りする路面。一見すると濡れているだけのように見えるため識別が難しく、スリップのみならずスピンまで誘発するほど滑ってしまうのです。
では、走行中にスリップが発生してしまった場合はどう対処すべきなのでしょうか。国体への出場経験もある元スキーヤーで、現在も毎年雪山に出かける整備士のT氏に聞いてみました。
「スリップを予防する運転としては、『速度を抑えた運転』が最優先事項です。さらに『急』が付く操作(急ハンドルや急ブレーキ)をしないことに加え、いつも以上に車間距離を取るというのも安全策になるかと思います。
また、スタッドレスタイヤを履いていても過信は禁物です。空気圧が適正でなかったり、経年劣化によって溝がすり減っていたり、硬化したりしているタイヤでは、滑りやすい路面を捉えることも難しくなります」
T整備士いわく、雪道やアイスバーンの走行では、後続車から遅いと思われても、法定速度を守って車間距離をいつも広く取るようにすることにより、スリップしても事故を避ける予防策になるだろうといいます。
交差点で信号が赤に変わって停止するときはジワリとブレーキを踏んで減速し、青になって発進するときもアクセルはゆっくりと丁寧に踏み込むのが良いそうです。
大雪が降ったときは、スリップ事故だけでなく、雪による視界不良が原因の事故も発生します。前走車との距離も判断しにくく、とっさにブレーキを踏んでもなかなか止まれない状況でもあるので、何かあっても対応できるだけの余裕ある車間距離を心がけましょう。
■スリップしちゃったらどうすればいい?
しかしどんなに速度を抑えて安全運転に徹していても、スリップしてしまうこともあります。スリップしてしまった場合どう対処すべきなのでしょうか。
「最近のクルマにはほぼ全車にABSが装着されており、スリップしたときはブレーキを強めに踏んでもタイヤがロックしにくいようにABSがコントロールしてくれるので、ブレーキを目一杯踏んでも大丈夫です。また新しめのクルマならVSCなどの横滑り防止装置も付いています。とにかくスリップしても慌てないことが大切です」(T整備士)
雪が踏み固められてスリップしやすくなった路面
またスリップしたタイヤが前輪か後輪かで対処法が多少異なるといいます。
「前輪がスリップした場合はアクセルを緩め、速度が下がってグリップが回復するタイミングで、必要に応じてハンドルをゆっくり切るように操作する意識が大切です。
後輪が滑ったときはもう少し複雑なテクニックが必要で、滑り出した方向とは逆にハンドルを切る、いわゆるカウンターを当てて立て直す必要がありますが、まずはアクセルから足を離しそれ以上タイヤを空転させないようにすることが大切。
カウンターを当てるのは感覚に頼る部分なのですが、クルマが横に向かないように素早く操作する感じでしょうか。後輪が滑ったときでも速度を落としてグリップ力を回復させることが大切です」(T整備士)
※ ※ ※
雪道ではスタッドレスタイヤかタイヤチェーンの装着が必須です。スタッドレスタイヤの寿命は3年程度とされており、何シーズンも同じタイヤを履き続けるのではなく、早めに交換することもスリップ事故を未然に防ぐ対策といえそうです。
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