トヨタが新たな「クラウンSUV」を公開!? 謎の「クラウン顔」現る! SNS投稿された15代目仕様、中国で目撃されたワケ
くるまのニュース / 2023年1月20日 11時50分
2023年1月16日に一汽トヨタがSNS「ウェイボー(微博)」へ投稿した動画が話題となっています。
■中国トヨタ公式映像に謎のSUVが登場!15代目クラウン顔の正体とは
トヨタの中国における合弁会社のひとつ「一汽トヨタ」が2023年1月16日にSNS「ウェイボー(微博)」へ投稿した動画が話題となっています。
内容は一汽トヨタのSUVでウィンタースポーツを楽しむというものですが、そのなかに謎のクラウン顔SUVが映っていますが、その正体はなんなのでしょうか。
日本が世界に誇る自動車メーカーのトヨタは、もちろん中国でも大人気です。
中国では第一汽車との合弁会社「一汽トヨタ」と、広州汽車との合弁会社「広汽トヨタ」のふたつを設けており、それぞれで中国向け車種の製造・販売をおこなっています。
中国で日本の自動車メーカーが合弁会社をふたつ以上有する場合は、それぞれの合弁会社から同じ車種を、デザインが少し異なる姉妹車としてリリースする傾向にあります。
例えばトヨタは、「カローラ/レビン」、「アリオン/レビンGT」、「イゾア/C-HR」、「カローラクロス/フロントランダー」。
「RAV4/ワイルドランダー」、「ハリアー/ヴェンザ」、「クラウンクルーガー/ハイランダー」、「クラウンヴェルファイア/アルファード」「グランビア/シエナ」などをそれぞれ一汽トヨタ/広汽トヨタで展開しています。
一汽トヨタは2023年1月16日に、中国のSNS「ウェイボー」へとある動画を投稿しました。
一汽トヨタが手掛けるカローラクロス、RAV4、ハリアー、そしてクラウンクルーガーの4車種から構成される「一汽トヨタSUVファミリー」が雪山でのプロモーションに参加するという内容です。
そのうちの1台である「クラウンクルーガー」は2021年4月に広汽トヨタのハイランダーに対する姉妹車として誕生しました。
ハイランダーに馴染みのない人もいるかもしれませんが、このモデルは2000年から2007年まで、日本では「クルーガー」として販売されていました。
現行モデルは4代目となっており、その4代目ハイランダーをベースに、デザインを少し変更した姉妹車が「クラウンクルーガー」となります。
クラウンクルーガーはクラウンシリーズ初のSUVということでも大きな話題となりました。
また、中国ではセダンタイプのクラウンが2020年4月に販売を終えたので、1年のブランクを経てクラウンの名前が復活したという形になります。
現在販売されているクラウンクルーガーは、アメリカにおけるハイランダーのスポーツグレードと同じ顔を持ちます。
ですが、今回公開された一汽トヨタの映像には、日本でも馴染みのある先代の15代目クラウンの顔を持つ不思議なクラウンクルーガーが登場しています。
通常であればあり得ない現象ですが、これが大きな反響を呼び、「新モデルの登場を示唆しているのではないか」との予想もなされました。
結論からいうと、これは新モデルでもなければ、トヨタが公式に販売しているモデルでもありません。
実は、中国ではフロントマスクを他車種の物へと変更する「顔面スワップ」が大人気です。
かつて、東京オートサロンにもこれらのパーツが中国企業ブースに出展されたこともありました。
このクラウンクルーガーも15代目クラウン風のデザインを持つ、サードパーティー製のバンパーに付け替えられたとの見方をするのが妥当です。
中国最大のインターネット通販サイト「タオバオ」で「皇冠陸放 保険杠(=クラウンクルーガー バンパー」と検索すると、通常のバンパーに加え、多くの「顔面スワップ」キットを探すことができます。
そのなかには今回の動画に登場した「15代目クラウン風バンパー」もあります。
また、「レクサス LX600風」と銘打った、レクサス特有のスピンドルグリルを持つバンパーも販売されています。
最新のランドクルーザー顔にするキットも大人気商品として取り上げられており、日本での顔面スワップよりも幅広い選択肢があるのがわかると思います。
それだけでなく、旧モデルのハイランダーを現行型の顔にアップデートさせるキットも同様に人気が高く、中国における「顔面スワップ」市場は一定の支持を得ていることがわかります。
中国では「新車至上主義」の考えが比較的顕著で、「新しく買い換える」よりも、「いま乗っている車をアップデートさせる」という選択肢を選ぶ人が一定数存在
そういう人たちにとって、「顔面スワップ」キットは欠かせない存在となるわけです。
■なぜ15代目クラウン顔SUVがSNSに投稿されたのか?
また、クラウンクルーガーに限った話でいえば、15代目クラウンが持つ顔のほうが「よりクラウンらしい」という考えもあるのかもしれません。
先ほど、中国ではセダンタイプのクラウンが2020年4月に販売を終えたと紹介しましたが、実は中国における最後のセダン型クラウンは14代目クラウンでした。
日本では2018年に15代目へ移行しましたが、その後も中国では14代目クラウンが販売され続け、最後の最後まで15代目クラウンは中国に投入されていません。
そして、1年越しに復活した「クラウン」を冠する「クラウンクルーガー」も、実際にはアメリカ向けハイランダーにおけるスポーツ顔のトヨタエンブレムを「王冠」エンブレムに変えただけのもので、「クラウンらしさ」はあまり感じられませんでした。
そのような事情もあり、「クラウンらしい顔」、そして「最後まで中国には来なかった15代目クラウン」の両方を追い求める声が「クラウンクルーガー用15代目クラウン顔キット」という商品を生み出したのでしょう。
トヨタの中国での合弁会社「一汽トヨタ」がSNS「ウェイボー(微博)」へ投稿した動画に15代目クラウン顔のSUVが映されている…なぜ?(画像:一汽トヨタのウェイボーより)
それは先述の「ランドクルーザー顔キット」も同じ事情であると予想できます。
ランドクルーザーは中国でも大人気の車種ですが、2021年より販売されている「300系」は中国で販売されていません。
少しでも最新のランドクルーザーに近づきたいという思惑が、ランドクルーザー顔キットに繋がったのではないかと考えられます。
一汽トヨタが用意した公式映像に、このような非公式キットを装着させた個体を登場させるのは正直いかがなものかと思います。
ですが、きっと何らかの理由で自前での用意が困難で、急遽ユーザーから借りることになったのかもしれません。
15代目クラウンの顔を持つクラウンクルーガーが公式で販売されることはほぼ無いといっても問題ないでしょうが、このような商品が人気という点には中国らしい一面さえも感じます。
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