クルマから「煙突」がニョキッ!? 本格SUVのボンネットから生えた謎の「パイプ」の意外な効果とは
くるまのニュース / 2023年2月3日 19時10分
本格的なSUVやラリーカーには時折、ボンネットの横から黒い煙突のようなパーツが伸びていることに気づきます。記事ではこのパーツの正体と、どのような効果があるのかを解説します。
■クルマのボンネットから伸びた「煙突」の正体は?
2023年1月13日から15日に幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催されたカスタムカーのイベント「東京オートサロン2023」。
ここで展示されているカスタムカーの中に「煙突」のようなパイプ状のパーツを取り付けたSUVが複数ありました。
ボンネットから生えたように見えるこの謎のパーツはいったいどのような機能を持っているのでしょうか。
その正体と役割について、車両を展示するブースの担当スタッフに話を聞きました。
「この部品の正式名称は『シュノーケル』といい、ダイビングで使用される同じ名称の呼吸用アイテムと近しい機能を持っています。
たしかに煙突のようにも見えますが、空気を“吐き出す”のではなく逆に“吸い込む”ための部品です。
悪路を走破するラリー競技などで川を渡ったりするシビアなシチュエーションで、クルマが水に浸かった際、エンジンが水を吸い込むことを防ぐことを目的に取り付けられています。
クルマのエンジンは、吸い込んだ空気と燃料と混ぜ合わせて燃焼させているので、空気が吸えなくなると停止してしまいます。
さらに、エンジン内に大量の水が入ったまま無理に動かしてしまうと「ウォーターハンマー」という現象が発生。エンジン内部のピストンやコンロッドが破損しエンジンブローとなる恐れもあります。
そのため、エンジンの吸気口を高い位置へと移設することで水の侵入を防いでいるのです。」
シュノーケルを備えた車両のボンネット内を見ると、一方はエンジンの吸気口に繋がっており、もう反対側は屋根の上まで伸びていることが確認できます。
―では、シュノーケルを装備したクルマならば、屋根の上の吸気口付近まで水に潜っても走行が可能なのでしょうか。
「いえ、実際にそこまで深く潜ることはありません。
あれほど高い位置に吸気口がある理由としては、最も衝撃が大きい“クルマが水面に突入した瞬間”に水を吸わないことを重要視しているためです。
たとえエンジンに水が入らなくてもドアの底面より上に水面が来るほど潜ってしまうと、特殊な防水処理をしない限りは室内に水が流れ込んでしまいます。
すると足元を通るハーネスなどの電装系から漏電を起こしてしてしまうので、その時点でクルマが停止したり故障が発生する危険性があるのです」
―吸気口を上部に移設する理由は理解できました。では排気口となるマフラーは上に伸ばす必要は無いのでしょうか。
「マフラーについてはその心配はありません。
マフラーからの排気はエンジンが動いている限り出続けるため、エンジンをしっかり吹かしながら走行すれば、マフラーが水面より下に潜ったとしてもエンジン内部に水が逆流することはありません。
もちろんエンジンが停止してしまうと逆流する可能性がありますので、渡河や冠水路の走行時には高い運転テクニックが求められます」
また、シュノーケルが役に立つのは水の中を走る場面に限らないといいます。
■「異物の吸引を防ぐ」以外の、シューケルの意外な効果とは?
―水の中を走るシーン以外でシュノーケルが役に立つのはどのような場面なのでしょうか。
「ラリー車など、砂漠のような過酷な環境を走行する車両にもシュノーケルがついている様子が見られますが、これは高い位置で吸気を行うことによって、舞い上がった砂や塵のような異物のエンジンへの侵入を防ぐ効果もあるためです」
さらにシュノーケルには、異物の吸引を防ぐ以外にも意外な効果があるといいます。
それが「チャンバー効果」と「ラムエア効果」です。
このアイテムの正式名称は「シュノーケル」。エンジンに異物が入ることを防ぐ優れものでした!す。
シュノーケルにおけるチャンバー効果とは、アクセルのオンオフを繰り返すなどエンジンが多くの空気を必要とする場面において、シュノーケル内が空気の一時的な「溜め」となることによってすぐに空気がエンジンに供給されるため、アクセルのレスポンスが向上するという効果を指します。
そしてラムエア効果とは、シュノーケルの吸気口を前方に向けることによって、走行スピードが上がるほどシュノーケルに向かう空気の圧力が高まることで、エンジンがより多くの空気を吸うことが可能になる効果を指します。
さらに吸気口がボンネットの外となることで、エンジンの発生する熱に影響を受けない冷えた空気を取り込めるようになるのも利点です。
空気は熱によって膨張する性質があるため、より冷えた空気を取り込むことができればエンジンレスポンスと出力性能を高めることに繋がります。
※ ※ ※
このようにシュノーケルはやむを得ず川を渡るような状況以外にも、様々な場面で活躍するパーツです。
なによりSUVらしいタフな雰囲気を演出する装飾としてもカッコいいものですが、取り付けにはボディの一部を切断するなどの加工が必要となる場合もあるため、愛車にシュノーケルを取り付ける際にはカスタマイズのプロに相談することをオススメします。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
6速MTあり! いすゞ新型「マッドマスター」世界初公開! ゴツすぎ「精悍デザイン」採用!? 全長5.2m超えの「SUV」英で発表
くるまのニュース / 2024年7月27日 5時50分
-
バイクのマフラーから“煙”が出ても、大丈夫?
バイクのニュース / 2024年7月23日 11時10分
-
デカい!! 8輪駆動の “化け物” ベンツ・トラック なぜ必要? あえてのボンネット仕様が理にかなっているワケ
乗りものニュース / 2024年7月22日 18時12分
-
説明できる? バイクの「息つき」症状とは
バイクのニュース / 2024年7月7日 13時10分
-
ゆったり走行が魅力の一台! ホンダの原付二種レジャーモデル「CT125・ハンターカブ」徹底解剖
バイクのニュース / 2024年7月1日 13時10分
ランキング
-
1「1人で食事が常態化」現役世代の孤食という問題 コミュニティーディナーを始めた会社の意図
東洋経済オンライン / 2024年7月29日 14時0分
-
2妻への「別にいいけど」はケンカの火種でしかない 夏休みは「家庭内の不適切発言」を回避する機会
東洋経済オンライン / 2024年7月29日 8時0分
-
3トランプ氏がもし撃たれていたら? AR-15銃の恐怖の殺傷力(シェリーめぐみ)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月29日 9時26分
-
4「再訪したい国」日本が世界首位 人気地域に人出集中する傾向
共同通信 / 2024年7月29日 16時51分
-
5エンジンを冷やす「冷却水」は“水道水”で代用できる? 漏れ「放置」は絶対NG! 経年車で起こるトラブルとは
くるまのニュース / 2024年7月29日 14時50分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)