首都高の謎新名所「辰巳ジャンプ台」が話題! なぜ本線合流直前に「段差」を設置? SNSではジャンプ大会状態に…
くるまのニュース / 2023年1月30日 7時10分
いまSNSなどで話題になっている投稿があります。それは首都高の「辰巳PA」に設置された段差を使ったジャンプ行為です。ジャンプの凄さを競うような動画がいくつも投稿されていますが、なぜこのような段差が設置されたのでしょうか。
■謎の新名所化した「辰巳ジャンプ台」とは
2023年1月中旬、突如としてSNS上では「辰巳ジャンプ台」というワードが一部で飛び交ったほか、さらには一時的にGoogleマップでも「辰巳ジャンプ台」と名所化されるなどの事態となっていました。
これは首都高速上にある「辰巳パーキングエリア」内の奇妙な構造物についてのものでしたが、どのような構造物で設置された理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
辰巳PAは首都高9号深川線にある首都高速上のパーキングエリアです。
辰巳PAに第一(上り)と第二(下り)の2か所があり、夜景がきれいなことなどを理由に第一のほうが多く利用されており、ルーレット族対策で閉鎖になる場合も対象は辰巳第一となっています。
首都高では「首都高ドライバーズサイト」にてルーレット族などの迷惑行為や騒音対策として以下の5か所を閉鎖対象PAとしています。
「ルーレット族等による悪質な暴走行為や、迷惑行為に対して、お客さまの安全な交通の確保と沿道にお住まいの皆さまへの騒音対策の観点から、警察と協力の上、状況に応じて随時パーキングエリアの閉鎖措置をいたします。閉鎖対象は、以下パーキングエリアです」
・平和島パーキングエリア(上り)
・辰巳(第一)パーキングエリア
・箱崎パーキングエリア
・芝浦パーキングエリア
・大黒パーキングエリア
そのなかの辰巳第一PA(以下、辰巳PA)では、2023年1月20日頃に通称「ジャンプ台」が設置されました。
このジャンプ台は20日夜頃からSNSで話題になっており、一時、Googleマップにも載っていましたが現在は削除されています。SNSで話題の「辰巳ジャンプ台」とはどのようなものでしょうか。
1月下旬のとある平日の深夜に辰巳PAを訪れてみました。「事故多発ですでに撤去された」という噂もありましたが、ジャンプ台はまだありました。高さは目視で10cm‐11cmといったところです。
平日の深夜でもジャンプ台を見に来たと思われるクルマで小型車枠の駐車スペースはほぼ満車となっており、なかにはレンタカーで訪れた海外からの観光客の姿もちらほら。「わナンバー」の三菱「ランサーエボリューションVIII」はオーストリアからの観光客でした。
ジャンプ台がある場所は、辰巳PAの出口付近です。
本線に合流するわずか10m手前となる直前に「段差あり」の路面標示があります(この表示は以前からありました。)が、減速の指示はありません。
本線に合流する場所であれば、一般的には加速する場所というイメージですが、手前にも周辺にも出口→本線を目指すドライバーから見える場所に「徐行」や「減速」という表示はありませんでした。
またSNSでは、この段差をジャンプ台に見立ててPA内とは思えない速度で走り、ジャンプするという動画をさまざまなユーザーが投稿している様子が見受けられました。
■なぜ辰巳ジャンプ台は設置されたのか?
現地に赴いた際、しばらくジャンプ台を通過するクルマを見ていたところ、ジャンプ台で高く飛ぶことを目的に加速したまま通過するクルマや、下回りをぶつけないよう徐行でゆっくりと通過するクルマ、ジャンプ台の存在を知らず本線合流のために加速して下回りをぶつけているクルマなどさまざまなパターンがありました。
またいかに高く飛ぶかを目的に、「9号線-C1-11号線-湾岸線-9号線」と周回していると思われるクルマも見受けられます。
なお、安全運転を厳守した法定速度内での走行であれば首都高速の周回は違法ではありません。
ところで、そもそも何のためにジャンプ台は設置されたのでしょうか。警視庁高速道路交通警察隊(以下、高速隊)と首都高速道路(以下、首都高)に聞きました。
―― 辰巳PA出口付近の段差(ジャンプ台)の設置は何が理由ですか?
高速隊:辰巳PAに関しては周辺住民からの騒音苦情が非常に多く、PAを出るときにスピードを落として騒音を少なくしてもらうために段差を設置しました。
首都高:本PAは、ルーレット族などによる悪質な暴走行為や迷惑行為に対して、お客さまの安全な交通の確保と沿道にお住まいの皆さまへの騒音対策の観点からPA内の速度を抑制する方法として、路面に凸部を設けました。
―― 段差の部分は速度何キロ以下で走行すべきでしょうか?
高速隊:辰巳PAはあくまで道路ではなく、駐車場であるため制限速度は定めていません。常識の範囲内で速度を落として走行してください。
首都高:PA内は一般のお客さまが歩行する箇所であり、運転者には道路交通法に基づく安全運転義務があり、徐行すべきと考えています。
当該箇所で徐行しても合流部分までには、加速に必要な長さを確保しているため安全な合流が可能です。
なお制限速度の掲示はありませんが「PA内段差あり 走行注意 SPEED HUMPS」などの掲示はあります。
―― 今回設置された段差から本線までは10m以下です。減速して加速して本線に入ることは少し怖く感じます。
高速隊:PAの出口からすぐ首都高本線に繋がりますが、あの場所は(左車線からの)車線変更禁止になっています。また、黄色線がなくなる場所までは十分な距離があるので、辰巳PAを出る際にフル加速する必要はありません。慌てずに加速してください。
※ ※ ※
2023年1月21日には確認できたGoogleマップ上の「辰巳ジャンプ台」((c)Google Maps)
筆者がグーグルマップで計測したところ、段差が終わった場所から本線までは約10mですが、そこから辰巳ジャンクションのカーブを含めて約200mは車線変更禁止となっており、その先は白い破線になります。
破線になってすぐから左車線に移るよう路面に白い矢印が表示されやがて右車線は消滅し1車線となります。
つまり辰巳PAを出て慌てて加速しなくても約400mの間に加速して合流すればよいことになり、この約400mの区間の制限速度は50km/hです。
ところで、実際に筆者が辰巳PAのジャンプ台を通過したときには速度10km/hから15km/h位でしたが、それでもかなり揺れました。
そのため、ここは徐行(8km/h以下)の速度でゆっくりと通過するのがよさそうです。
20km/hから30km/hの速度でもクルマによってはかなり衝撃があり、カップホルダーの飲み物がこぼれたり、下回りをぶつけてオイルパンを割ったりするなどのトラブルが発生する恐れがあります。
本線合流のために40km/hから50km/h以上出していると、リップスポイラーやフェンダー周りのパーツを損傷する恐れもあるでしょう。
ちなみに、設置された段差の素材は硬いコンクリートやアスファルト舗装ではなく、陸上競技場の地面に使われるような衝撃吸収型の素材を使っているようですが、安全のために速度は落として走行してください。
ジャンプ台めがけてダッシュするとクルマを損傷する以外にも駐車場から出るクルマを避けきれず衝突事故を起こす危険もあります。
自車の安全と周囲への迷惑行為を避ける意味でもPA内は常識的な速度で移動したほうがよさそうです。
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