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なぜクルマに「駅」の名称ついた? 多積載可能な「ステーションワゴン」 米国起源の由来とは

くるまのニュース / 2023年2月2日 7時10分

クルマにはさまざまなボディタイプが存在しますが、そのなかで積載力を誇る「ステーションワゴン」のステーションにはどのような由来があるのでしょうか。

■「ステーションワゴン」と駅の意外な関係

 スポーティな走りと高い実用性を兼ね備えたステーションワゴンは、かつての日本では大きなブームとなりました。
 
 一方、なぜ「駅」を意味する「ステーション」という言葉が用いられているのかについては、あまり知られていないようです。

 クルマにはさまざまなボディタイプが存在します。

 主なものでは「セダン」「クーペ」「SUV」「ミニバン」「オープンカー」そして「ステーションワゴン」が挙げられます。

 日本でステーションワゴンといえば、スバル「レガシィ ツーリングワゴン」を筆頭に、日産「ステージア」、トヨタ「カルディナ」、三菱「レグナム」ホンダ「オデッセイ」といったステーションワゴンは、1980年代後半から2000年代初頭にかけてのクルマを語るうえで欠かすことのできない重要な存在です。

 2023年1月現在販売されているステーションワゴンは、トヨタ「カローラツーリング」「カローラフィールダー」、スバル「レヴォーグ」、マツダ「マツダ6(ワゴン)」といった国産車。

 輸入車ではメルセデス・ベンツに「ステーションワゴン(シューティングブレイク)」、BMWに「ツーリング」、アウディに「アバント」、フォルクスワーゲンに「ヴァリアント」、ジャガーに「スポーツブレイク」、プジョーに「ステーションワゴン(SW)」、などとして各セグメントで用意されています。

 一方、なぜ「ステーション」という言葉が用いられているのかについてはあまり知られていません。

 インターネットで検索すると「『駅馬車』に由来している」という記述を見つけることができますが、これはいったいどういうことなのでしょうか。

 そもそも、ステーションワゴンの定義について完全に定まったものはなく、時代や地域によって多少の違いがあります。

 そのうえで、現在の日本では「セダンをベースにキャビンとトランクルームを一体化させたもの」とするのが一般的なようです。

 つまり、ステーションワゴンとは、セダンのスポーティな走りとワゴンの積載性を兼ね備えたボディタイプということができます。

 ステーションワゴンの起源は、1920年代のアメリカにさかのぼります。

 当時、州をまたぐような長距離移動は、鉄道を利用することが一般的でした。

 そして、駅に降り立った乗客は、持っている荷物を駅にいる馬車に載せて、最終的な目的地へと向かうのでした。

 この馬車は「デポハック(Depot Hack)」と呼ばれていました。「デポ」とは「荷物置き場」を意味し、「ハック」は「(馬車の)タクシー」を意味しています。

 一方、1920年代に入ると、大量生産方式を確立したクルマとして知られるフォード「モデルT(T型フォード)」により、急速にクルマが普及していきました。

 その結果、この「デポハック」も、従来の馬車からモデルTをベースとしたワゴンへと置き換わっていきます。

 モデルTなどをベースとしたワゴンも当初は「デポハック」と呼ばれていたようですが、徐々に「ステーションワゴン」という呼び名が浸透していくことになります。

■なぜ「ステーションワゴン」が浸透し始めたのか?

 ここには、いくつかの背景があると考えられます。

 ひとつは、「デポハック」という言葉が指し示すものが「従来の駅馬車」と「モデルTなどをベースとしたワゴン」という2つのものとなってしまったことから、呼び分ける必要が生じたためです。

 もうひとつは、フランス語由来の「デポ」とスペイン語に由来する「ハック」という、馴染みの薄い言葉を組み合わせたものよりも、より簡易な表現が求められることになったためです。

 一般的に、概念的なイメージに基づく言葉よりも、見たままを指し示す言葉のほうが浸透しやすいとされています。

 つまり「荷物置き場にいる馬車のタクシー」に由来する「デポハック」よりも、「駅にいるワゴン」という意味での「ステーションワゴン」という言葉のほうが、シンプルかつわかりやすいものであることが、「ステーションワゴン」という表現が一般化した理由と考えられます。

 アメリカにおけるステーションワゴンは、スポーティかつ実用性に富むことなどを理由に1960年代にピークを迎えます。

 しかし、1970年代以降になると、それぞれの用途に特化したバンやSUVなどが一般化したことで、ステーションワゴンは下火となってしまいます。

 その後、日本で空前のステーションワゴンブームが到来するものの、やはりSUVやミニバンに押され、ステーションワゴンはもはや絶滅危惧種となっています。

 ただ、スポーティな走りと高い積載能力を兼ね備えていることからステーションワゴンの復権を望む声は少なくないようです。

積載量が自慢のステーションワゴンだが…国産車では少なくなっている?(画像はスバル「レヴォーグ」)積載量が自慢のステーションワゴンだが…国産車では少なくなっている?(画像はスバル「レヴォーグ」)

※ ※ ※

 一方、高速走行が多いとされるヨーロッパでは、バンやSUVなどに比べて走行安定性の高いステーションワゴンは根強い人気を持っていました。

 その結果、多くのメーカーがステーションワゴンをラインナップするなかで、ライバルとの差別化を図るためにさまざまな名称が与えられることになります。

 前述の輸入車ラインナップでも登場した旅をイメージさせる「ツーリング」や、高級感を強調した「エステート」、狩猟に由来する「シューティングブレーク」。

 先進的というニュアンスが与えられた「アバント」、派生という意味を持つ造語の「ヴァリアント」など、ステーションワゴンを指す実に多くの言葉が生まれています。

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