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全国で12人だけ!? 高齢ドライバー向け「サポカー限定免許」切り替え進まず そもそもサポカーって一体ナニ?

くるまのニュース / 2023年2月2日 13時40分

高齢ドライバーを対象とした「サポカー限定免許」が導入されましたが、導入7か月で切り替えた人はわずか12人だといいます。サポカーとは一体何なのでしょうか。

■7か月でたった12人しかサポカー限定免許に切り替えていない!?

 2022年5月から始まった「サポカー限定免許」について、警察庁のデータによると同年11月末までの7か月間に切り替えた人は全国で12人であったことを読売新聞オンラインが報じました。
 
 このニュースを見て驚いた人も少なくないでしょう。警察庁の運転免許統計では、2021年の運転免許保有者数は8189万5559人もいるのに、そのうちのたった12人という極めて少ない数字だからです。

 また、近年は高齢ドライバーの事故が社会問題となるなか、サポカー限定免許は高齢ドライバーを念頭に置いて導入されたにもかかわらず、たった12人しか切り替えていないことにも驚きを隠せません。

 サポカー限定免許への切り替えが進まない主な理由として、ユーザーにとってメリットがはっきりしていないことや、サポカー限定免許が始まったこと自体が知られていないといった課題があることは確かでしょう。
 
 では、そもそも「サポカー」とは何なのでしょうか。クルマ好きの人でもはっきりと答えることは難しいのではないでしょうか。というのも、サポカーはつかみ所がないような印象があるからです。

 サポカーについてインターネットで検索すると、経済産業省のサポカー専用ページにたどり着きます。

 最初に「サポカーとは?」という表記が出てくるのですが、そこには「政府は高齢運転者の交通事故予防対策の一環として、衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全技術でドライバーの安全運転を支援してくれる車『セーフディ・サポートカー(サポカー)』の普及啓発に官民連携で取り組んでいます」と説明されています。

 これを読んでも、また、その後に出てくる各種の説明や動画を見ても、結局「サポカーって何?」という答えがはっきりと分からないように感じます。

 各種の説明では、いわゆる自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)や、アクセルとブレーキの踏み間違い防止装置、車線逸脱警報など、「先進運転支援システム(アドバンスド・ドライバー・アシスタンス・システムズ:ADAS)の技術について紹介するにとどまっており、サポカーはこうしたADAS機能が備わっているとも説明しています。

 また、各メーカーのサポカーの一覧表も公開されているのですが、軽自動車から高級車までほとんどのクルマにADAS機能が標準装備されているため、実質的には「新車のほとんどがサポカー」ということになり、いい換えれば、新車購入を勧めることになっているといえます。

 新車購入に対して経済的な負担を感じる人にはサブスクリプションモデルを提案したり、また、アクセルとブレーキの踏み間違い防止装置などの後付けキット装着車も“サポカーの仲間”という考え方を盛り込んでいます。

 ただし、「ADAS機能を持つクルマをサポカーと呼ぶ」とはいい切っていない印象があります。なぜなら、サポカーは特定のクルマや技術に対する「定義」ではなく、ある種の「概念」だからです。

■サポカーはなぜ生まれた?

 サポカーという概念が生まれた背景には、とくに2010年に入って高齢ドライバーによる逆走や、アクセルとブレーキの踏み間違いによって建物へ突入するなどの重大な事故などが全国各地で多発するようになり、免許の自主返納の必要性などが大きな社会問題になったことが挙げられます。

 筆者(桃田健史)の知る限り、官邸主導によって関係各省庁に対して早急な対応策が講じられることになり、そこで考案されたのが、法改正などの手続きを伴わずにできる、先進運転支援システム(ADAS)装着車の普及促進のための「サポカーという概念」だったといえるでしょう。

専用キーで開錠すると加速が抑制されるトヨタ「プリウス」(4代目)専用キーで開錠すると加速が抑制されるトヨタ「プリウス」(4代目)

 一方で、法的な解釈のひとつとして協議されたのは、高齢ドライバーに対する運転免許の限定要件です。

 運転免許証には、「免許の条件等」という記載欄があり、AT車(オートマチックトランスミッション)や、中型または中型車(8t)といった車両に対する限定、また眼鏡等の身体に関する内容などがあり、ここに、高齢ドライバーに係る「限定の条件等」を盛り込むことが議論されたのです。

 高齢ドライバーに対して、免許を更新するか自主返納するかという二者択一ではなく、その中間で免許を維持し続けることをできるようにすることを目指したというわけです。

 海外で社会実装されている事例としては、日中のみ運転可能な「使用時間の限定」、自宅からの「距離の限定」、病院やスーパーなど「移動目的の限定」、また家族や知り合いなどが「乗り合わせることに限定」といったさまざまな限定の要件があります。

 しかし、日本での最初の協議は最終的には「サポカー限定」に落ち着いてしまいました。

 繰り返しますが、サポカーは概念であるため、サポカー限定という考え方に対して、ユーザーは少し分かりにくいと感じているのではないでしょうか。

 国は、今回明らかになった「サポカー限定免許の切り替えがたったの12人」という事実を真摯に受け止め、今後については、警察庁や各都道府県の警察がサポカー限定免許の普及促進活動をさらに強化する必要があるのはもちろんのこと、高齢ドライバーに対応した「限定免許」のあり方そのものを、国が再協議する必要もあるように思えます。

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