もはや懐かしい「リトラクタブル式ライト」なぜ新車採用されない? パカッと開く個性パーツ減った理由は? 復活の可能性あるのか
くるまのニュース / 2023年2月8日 9時10分
かつて国内外のクルマで採用される例が多かったパカッとヘッドライトが開いて点灯する「リトラクタブルヘッドライト」ですが、国産車では2002年に生産終了となったマツダ「RX-7」以降、リトラクタブルヘッドライトを採用したクルマは販売されていません。なぜ採用される例が減ったのでしょうか。また復活する可能性はあるのでしょうか。
■もはや懐かしい…「リトラクタブルヘッドライト」が減った理由とは…そして復活は?
点灯時のみ登場するリトラクタブルヘッドライトは、その特徴的な動きと愛らしいルックスから、現在でも熱狂的なファンが多く存在しています。
しかし、昨今のクルマにはリトラクタブルヘッドライトが採用されているクルマはありません。なぜ、廃れてしまったのでしょうか。
100年以上におよぶ歴史のなかで、クルマの装備やデザインも大きく変化してきました。
そのなかには、かつてはメジャーな存在であったものの、現在では廃れてしまっているものも少なくありません。
リトラクタブルライトヘッドライトもそんな装備のひとつです。
使用時のみ登場し、非使用時にはボンネットと一体化するという特徴を持つリトラクタブルヘッドライトは、1980年代頃には比較的多くのクルマに採用されていました。
しかし、日本国内では2002年に生産終了となったマツダ「RX-7」以降、リトラクタブルヘッドライトを採用したクルマは販売されていません。
特徴的な動きや愛らしいルックスから、現在でも根強い人気を誇るリトラクタブルヘッドライトは、なぜ廃れてしまったのでしょうか。
リトラクタブルヘッドライトの起源には諸説ありますが「非使用時にはヘッドライトが隠される」という点に注目すれば、1935年にアメリカで発表されたコード「810」というクルマが最初のようです。
リトラクタブル式の元祖といわれる「コード810」
その後もリトラクタブルヘッドライトの前身である「ヒドゥン・ヘッドライト(隠されたヘッドライト)」を持つクルマがいくつか見られますが、そのほとんどはデザイン上の理由からヘッドライトを隠すことが目的であったようです。
クルマにとってヘッドライトは必要不可欠なものですが、当時の技術では大きな弾丸上の物体をフロントに置かざるを得なかったため、デザイン面からいえば決して好ましいものではありませんでした。
1960年代に入ると、日欧米の自動車メーカーがその技術を誇るために、ハイパフォーマンスカーの開発に乗り出したことで、リトラクタブルヘッドライトは一躍注目を浴びます。
空力性能の向上を図る必要があるハイパフォーマンスカーは、ボンネットの位置をできるだけ低くすることが求められますが、ヘッドライトを設置するとどうしてもボンネットが高くなってしまいます。
そうした問題を解決するために、必要なときにだけヘッドライトを登場させることのできるリトラクタブルヘッドライトが、多くのクルマで採用されました。
1963年に登場したロータス「エラン」を皮切りに、フェラーリやランボルギーニといった「スーパーカーブーム」を彩った数々のクルマでリトラクタブルヘッドライトが採用されました。
国産車で初めてリトラクタブルヘッドライトを採用したのは、1967年に発売されたトヨタ「2000GT」です。
その後、1980年代にリトラクタブルヘッドライトは黄金期を迎え、マツダ「RX-7 サバンナ」や「ロードスター」、日産「フェアレディZ」、ホンダ「NSX」など、数多くのハイパフォーマンスカーやスポーツカーで採用されました。
一方、リトラクタブルヘッドライトには、コストと信頼性、そして重量増という弱点もありました。
開閉構造を持つリトラクタブルヘッドライトは、一般的なヘッドライトに比べて多くの部品を必要とします。
部品点数が増えることでコストは増加し、故障の可能性も増します。
さらに、フロントの重量も増すため、走行性能や燃費性能にも悪影響をおよぼします。
加えて、現在ではある程度の大きさのヘッドライトを確保することが前提だった当時とは異なります。
現在では小さな光源でじゅうぶんな光量をもつLEDライトが一般化したため、リトラクタブルヘッドライトを採用することによる合理性がほとんどなくなっているのが実情です。
■今後「リトラクタブルヘッドライト」の復活の可能性はあるのか?
リトラクタブル式を採用した日産「フェアレディZ/300ZX(Z31系)」
ただ、現在でもリトラクタブルヘッドライトのファンが多いのも事実です。
一般的なクルマに採用されることは難しくとも、今後、一部のマニア向けのスポーツカーなどに採用されることはないのでしょうか。
残念ながら、衝突安全という観点から、その可能性は極めて低いといわざるを得ません。
現在、日本をはじめとする主要各国は、国連の下部組織である自動車基準調和世界フォーラムに加盟しています。
加盟国間でクルマの安全基準や環境基準を調和することを目的としたこのフォーラムが策定した「国連の車両等の世界技術規則協定 (1998年協定)」では、歩行者保護などの観点からクルマの外装の突起形状に対する規則が含まれています。
リトラクタブルヘッドライトを採用すると、点灯時のヘッドライトが突起物となってしまいます。
この規則を適用するかどうかは加盟各国の判断にゆだねられていますが、クルマの円滑な輸出入を考えると、規則の適用が事実上の義務となっているため、リトラクタブルヘッドライトを新たに採用することは、ほぼ不可能となっています。
実際にとある自動車メーカーのデザイン担当者は次のように話しています。
「リトラクタブルヘッドライトは、安全上やデザイン上などさまざまな制約によって今後登場することはほぼないといえます。
最近は小型化されたLEDにより幅広い造形が可能なデザインにすることが可能なほか、重量(燃費)やコストなどを考えると難しいのが実情です」
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
【クルマら部】クルマ愛クイズ!今回は「マツダ RX-8」から全4問!
レスポンス / 2024年7月27日 10時30分
-
マツダの「和製スポーツカー」発売は? 2ローターマシンに期待高まる! 白&赤を実車公開で反響多し!? ポルシェ並みスペックの「アイコニックSP」とは
くるまのニュース / 2024年7月23日 17時10分
-
待望の「ロータリーエンジン」復活! マツダがコツコツ継続しているユニークな技術がスゴい! 一体どんなもの?
くるまのニュース / 2024年7月16日 16時10分
-
日産「“新型”小さな高級車」発表! 3年ぶり刷新でクラス超え「豪華内装」も進化! 「斬新ストライプ」×めちゃ高級シートの「ノートオーラ」特別モデルとは
くるまのニュース / 2024年7月8日 13時10分
-
全長4mで6速MT搭載! マツダ「3ドアスポーツカー」あった! 「斬新ドア」×ガラス張り天井採用! めちゃ楽しそうな「KABURA」とは
くるまのニュース / 2024年7月4日 19時10分
ランキング
-
1「大谷翔平の新居バレ報道」は誰の責任なのか…アナウンサーに「謝罪係」を背負わせるテレビ局の特殊体質
プレジデントオンライン / 2024年7月25日 10時30分
-
2妻への「別にいいけど」はケンカの火種でしかない 夏休みは「家庭内の不適切発言」を回避する機会
東洋経済オンライン / 2024年7月29日 8時0分
-
3マクドナルドで行列は当たり前…は昔の話。「一切並ばず食事する方法」使わないのはあまりに損
女子SPA! / 2024年7月28日 8時45分
-
4トランプ氏がもし撃たれていたら? AR-15銃の恐怖の殺傷力(シェリーめぐみ)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月29日 9時26分
-
5「1人で食事が常態化」現役世代の孤食という問題 コミュニティーディナーを始めた会社の意図
東洋経済オンライン / 2024年7月29日 14時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)