「安心感がスゴイ…」 なぜ滑りやすい路面でも日産「電動4WD」は走るのか 湖上で体感してみた!
くるまのニュース / 2023年2月4日 20時10分
雪道の運転といえば不安がつきものです。そんななかツルツル路面の上を、スタッドレスタイヤを履いた日産「エクストレイル」や「アリア」の4WDモデルで走ってみたのですが、正直なところその性能の高さは驚くばかりでした。
■日産渾身の「e-4ORCE(イーフォース)」が凄かった?
氷の上なのに安心感がスゴイ。
日産の最新電動4WDである「e-4ORCE(イーフォース)」を滑りやすい路面で試乗して強く印象に残ったこと、それは何よりの安心感でした。
試乗場所は湖を凍らせた氷の上。雪道でさえ滑りやすいのに、摩擦係数がその半分以下しかない氷上(つまり雪の2倍以上滑りやすい)は人が立っているのも苦労するほどです。
日産の最新電動4WDである「e-4ORCE(イーフォース)」を滑りやすい路面で試乗して強く印象に残ったこととは
そんなツルツル路面の上を、スタッドレスタイヤを履いた日産「エクストレイル」や「アリア」の4WDモデルで走ってみたのですが、正直なところその性能の高さは驚くばかりでした。
ちなみにe-4ORCEとは、それらに採用されているモーター駆動4WDの日産の呼び名です。
氷やアイスバーンの路面において、まず不安なのが発進に違いありません。
氷上での発進は、アクセル操作が上手ではない人が電子制御の助けを借りずにおこなうとタイヤが空転するばかりで前に進むことができないほど過酷です。
しかし、e-4ORCEモデルは何事もないように発進。舗装路に比べると加速は緩やかですが、涼しい顔をしてどんどん車速が高まります。
しかも、トラクションコントロールが効いていても無理やりパワーを抑え込んでいる感じがなく、きわめてスムーズな作動であることに感動しました。
「本当は滑る路面ではないのではないか?」と疑いたくなるほどです。
そこで次の周回は試しに「スタビリティコントロール(VDC)」をオフにして発進してみたところ、なんとかスタートできるもののタイヤが空転気味なことに加え、ハンドルが左右に大きく取られてそれを修正しないとまっすぐ走りません。
こういう滑りやすい路面では、e-4ORCEとスタビリティコントロールがいかに運転を助けてくれるものか気づかされます。これがひとつめの驚きでした。
ふたつめの驚きは、ハンドル操作に対する動きの正確さ。
滑りやすい路面にもかかわらず、パイロンスラロームをしてもまるでレールの上を走るかの如く挙動や走行ラインが乱れず、正確なライントレースが可能。
速度のコントロールさえ間違えなければ、とても走りが安定しているのです。e-4ORCEはハンドリングに効いていることも実感できました。
3つ目の驚きは減速。氷の上ほどの滑りやすい道では(ハンドルを切っていない状態でも)ブレーキを強めにかけただけで簡単に横滑りの原因になります。
しかし、「eペダル」というアクセルオフで回生ブレーキ(モーターによるブレーキ)が強めに効くモードにしておけば、横滑りの不安なしにしっかり減速してくれるのだから見事。
滑りやすい路面では、ドライバーがスリップに気を付けながらブレーキを踏むよりも強いブレーキがかかる(短い距離で減速できる)と聞けば驚く人も多いことでしょう。でも、実際にそうなのです。
滑りやすい路面では、弱いブレーキを掛けるだけでも神経を使うもの。
でもe-POWERと呼ぶ日産のハイブリッドなら、ドライバーがアクセルを話すだけで安定した減速を行うから安心できます(e-POWER は4WDだけでなくFFモデルも安定した減速をおこなえる)。
■なぜ日産「電動4WD」は滑りやすい路面でも安心なのか?
さて、どうして日産の電動4WDは発進、コーナリング、そしてブレーキのシーンでドライバーに安心感を与えてくれるのでしょうか。
その理由は綿密な前後モーターのトルクコントロールをおこなうこと、そしてブレーキとの協調制御にあります。
たとえば発進は、インバーターが1万分の1秒単位というドライバーには決して真似できない領域でトルクの出方をコントロール。
スリップを検知すると瞬時にトルクを抑えるのでタイヤが空転しない理屈ですが、1万分の1秒という単位はエンジンの出力コントロールでは実現できないモーターならではの綿密さ。
だから滑りやすい路面においても、これまでにない滑らかでスリップのない発進加速を実現しているのです。
旋回性能に関しては、まず4輪それぞれのタイヤのグリップ能力をしっかり把握。
そのうえでタイヤの能力を最大限に生かせるように、内側のタイヤにブレーキをかけるのに加え、前後のトルク配分を綿密にコントロールしてクルマが理想的なコーナリングをするように制御するのです。4輪のブレーキ力と駆動力を素早く正確にコントロールするのがポイントです。
減速に関しては、どんなに優れたドライバーでも「ブレーキペダルを踏む→ロックを検知→ブレーキペダルを緩める」の動作にタイムラグがあるのは否めません。
しかし1万分の1秒単位で制御する日産の電動4WDはタイヤロック状態を検知すると「素早く減速を緩める→グリップ回復でまた減速度を高める」の動きをドライバーよりずっと素早く瞬時に繰り返すので、人間よりも素早く安全に減速できるというわけです。
日産の電動4WDは発進からコーナリング、そして減速まで安心感が違う?
ところで、新型エクストレイルやアリアの4WDはe-4ORCEという愛称で呼ばれますが、同じ電動4WDでも「ノート」に搭載されている4WDシステムはそう呼ばれません。その違いはどこにあるのでしょうか。
それは4WDとシャシの協調制御をおこなうか否かです。
これまではブレーキやスタビリティコントロールをおこなうコンピューターユニットと4WDの制御をおこなうユニットは別々に搭載されていました。
しかしe-4ORCEでは車両の目標とする動きを決定づけるシャシー制御のコンピューターユニット内にブレーキ制御や駆動トルク制御も納まり、それらを統合して連携を深め、より綿密に制御するシステムになっているのです。
たとえばエクストレイルの制御規模はノートの約1.5倍となり、4輪のグリップを瞬時に制御できるようになりました。
冬の滑りやすい路面は、どんなドライバーでも不安を感じるもの。でも、日産の電動4WDは発進からコーナリング、そして減速まで安心感が違うのです。
1年前はノートの4WDに乗りその凄さに驚きましたが、2023年はe-4ORCEに乗ってさらに安心感が高まったことを実感しました。
もしもe-4ORCEを滑りやすい路面で運転する機会があれば、誰もがそのスムーズさと安心感に驚くことでしょう。
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