軽自動車、買うなら「ターボ」と「NA」どっち? なにが違うの!? プロの考えるメリットとデメリットとは
くるまのニュース / 2023年2月13日 19時10分
最近の軽自動車には「NA(自然吸気)エンジン」と「ターボエンジン」がグレード別に用意されていることが多く、どちらを選ぶべきか悩むことがあります。それぞれメリットとデメリットがあるそうですが、一体どのような違いがあり、どちらを購入すればよいのでしょうか。
■「NA」と「ターボ」なにが違うの?
「軽自動車」は日本独自の小型自動車規格です。
ボディサイズには全長、全幅、全高ともに上限が定められており、エンジンの排気量も660cc以下、乗員は4人までと厳しい制限がかけられています。
さらに法的な拘束力は無いものの、エンジンの最高出力には64馬力という業界の自主規制値も設けられており、さまざまな条件のもと軽自動車メーカーは日々開発をおこなっています。
そんな軽自動車ですが、最近のモデルでは「NA(自然吸気)エンジン」と「ターボエンジン」がグレード別に用意されていることが多く、車両価格にも差があるため、どちらを選べば良いのか悩む人も多いのではないでしょうか。
ターボとNAにはそれぞれに違った特性があるので、軽自動車における双方のメリットとデメリットを見て自分の使い方にはどちらが合うのかを確認しましょう。
まずターボエンジンとは、圧縮した空気をエンジンに送り込む「過給器」と呼ばれる装置を取り付けたエンジンのことを指します。
クルマのエンジンは、取り込む空気を多くするほどパワーも増大するため、大きな出力を獲得するためには基本的に排気量を増やす必要がありますが、軽自動車は前述の通り排気量に制限があるためそれができません。
そこで過給器を使用することで、排気量を上げることなくパワーを上昇させることが可能になるのです。
では、すべての軽自動車をターボにすれば良いのでしょうか。残念ながらそのようなことはなく、ターボには弱点もあります。
エンジンに送り込む空気を増やすということは燃料もより多く必要とするため、NAと比較した場合に燃費が悪化する傾向にあります。
また、過給器を使用するターボはアクセルの操作から若干遅れてパワーが盛り上がる「ターボラグ」と呼ばれる時間差が発生します。
とくに昔のターボ車は最高出力を重視した「高過給圧」を採用することが多く、それゆえ過給器が稼働する前後のターボラグも大きかったのですが、近年は低速域や加速時のトルク不足を補うための「低過給圧」ターボが主流になりました。
そんな最新のターボは、NAに近いターボラグの少ない操作感を実現しつつありますが、それでもまだ運転時のフィーリングはより自然なNAを好むユーザーもいるかも知れません。
このように特性の異なるNAとターボ。では軽自動車を購入する際には、どのように選んだら良いのでしょうか。
■プロが伝授!「NA」と「ターボ」こっちを買うべき!
東京都の多摩地域の自動車販売店に勤めるK氏に話を聞きました。
「軽自動車を購入時にNAとターボで迷った際は、ご自身のクルマの使用状況を想像してみてください。
NAはクルマとしてシンプルな構造で、またターボと比べると車体価格も安く設定されていることが多く、維持費や燃費も抑えやすい点が魅力です。
ターボ車はオイル管理が重要!
また、燃費が良いということは排気ガスの量も少なく環境にも優しいということでもあり、車種によってはハイブリッドカー並みに燃費の良いモデルも存在します。
そんなNAをオススメするのは、『乗車人数が基本的に1人から2人』『日常の行動範囲は平地が多い』『高速道路を頻繁に使わない』人です。
ターボの加速力は、主に走行に負荷がかかる場面でこそ活躍します。そのため負荷のかかりにくい状況でクルマを使用する人にはターボが不要でなく、むしろ無駄にお金をかけてしまうことになりかねません。
逆に、私の勤める地域のように坂道が多い場所に自宅があったり、4人乗車で運転される機会が多い方にはターボを積極的に勧めています。
また、それ以外にも高速道路を使用する頻度の高い方にもターボは向いています。
やはり合流や追い抜き時など、加速が必要となる場面ではターボのパワーは安心感に繋がりますし、登り勾配の続く長い坂道でも速度が低下せず走行できる点はターボの大きな魅力です。
さらに、近年軽自動車の主流となっているスーパーハイトワゴンタイプのモデルは全高の高さに比例して車両重量があり、走行性能にも負荷がかかりやすいためターボでないと力不足を感じる場面があることは否めません。
私自身、NAの軽自動車ではたとえ一人で乗っていても、長い登り勾配の続くような高速道路ではアクセルを踏み込んでも思うように加速できず、もどかしい思いをすることがありました。
また、負荷の大きい環境ではNAでもエンジンを多く回して走ることになるため、燃費が悪化しターボと大差が無くなることもあります。
さらに、ターボ車はNA車と比較して車両本体価格が高めですが、将来売却する際にも高価格で下取りされやすいため、結果的にはNAとターボのどちらを購入しても手放すまでにかかった費用に大差がないということも珍しくありません。
その一方、ターボは軽自動車ゆえのパワー不足を感じずに済みますが、エンジンオイルの交換頻度がNAより高く部品点数も多いため、メンテナンスをマメに行う必要がありディーラーなどに整備に行く手間や時間が増えるというデメリットもあります。
このように、NAとターボで迷った際は自分のライフプランとクルマの使用状況を見極めることが大事です。」(自動車販売店 K氏)
※ ※ ※
K氏いわく、NAとターボでとくに差の出るオイル交換の頻度として、NAは1万km前後ごとですが、ターボは可能であれば3000kmから4000kmごとと早めのオイル交換をオススメしているそうです。
軽自動車ならではのパワー不足を感じにくいターボの安心感も魅力ですが、誰でも扱いやすくメンテナンスも容易なNAの軽自動車にも、経済性や運転性の素直さなど捨てがたい良さがあります。
軽自動車を購入する際は、ご自身の使い方に合わせて選択することがより良いカーライフにつながりそうです。
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