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「車中泊避難」万が一のために知っておくべきこと 「エコノミークラス症候群」リスクの予防策とは

くるまのニュース / 2023年3月11日 9時10分

過去の自然災害時、指定避難所ではなく「車中泊避難」を選択した人も多くいましたが、車内で血栓症(エコノミークラス症候群)を引き起こし死亡したケースも報告されています。万が一の際、車中泊避難時のリスクを避ける「対処術」について紹介します。

■万が一に備え自家用車で車中泊避難するための準備をしておこう

 地形や地質、気象条件などが重なり、世界の中でも自然災害が多いとされる日本ですが、過去に発生した災害では、プライバシーを守れるなどの理由で、指定避難所ではなく「車中泊避難」を選択した人も多くいました。
 
 しかし不幸にして、車内で深部静脈血栓症(以下:エコノミークラス症候群)を引き起こし死亡したケースも報告されています。こうしたリスクを避けるためには、どのように対処したら良いのでしょうか。

 災害が起こったときの避難場所として、住居の近隣の学校や公民館などが指定避難所として利用できるようになります。

 ところが、収容人数に限りがあることに加え、コロナ感染の不安、さらにペットや子供、お年寄りが家族にいる場合は、車中泊避難を選ぶケースも多いといいます。

 これは周りに迷惑をかける心配や、プライバシーの確保が難しいこと、いざというときにすぐに移動できることがあげられます。

 近年、旅の新しいスタイルとして車中泊を楽しむ人が増えていますが、緊急時にやむを得ず車中泊避難を行うような場合では、車内の装備が「寝る」のに不十分なケースもみられます。

 災害はいつ起きるかわかりません。万が一に備え、自家用車で車中泊避難するための準備を普段からしておくのが良いでしょう。

 そして自家用車が、必ずしも寝床を確保しやすいクルマとは限りません。

 限られた空間の中で、寝るためのスペース確保や装備、快適に過ごすための工夫について、日頃から考えておくことが重要です。

 まず車中泊避難に準備しておきたいグッズとしては、キャンプで使う寝袋やマット、またダンボールや毛布、厚手のタオルなどが挙げられます。

 身近なものを活用しながら、少しでも快適な環境に整えることが重要です。

 また車種やボディタイプによっても、車内での過ごし方は変わってきます。

 室内スペースが限られるセダンや軽自動車の場合、運転席と助手席を倒して過ごすのが良いでしょう。

 席の背もたれをできるだけ後ろに倒して、フラットな状態に近付けます。足元には荷物や段ボール箱を置き高さを作り、身体が水平になるよう工夫すると、足も伸ばしやすくなります。

 比較的空間に余裕があるミニバンやワンボックスバン、SUVなどは、後席を倒し拡大した広い荷室空間を寝床にするのが向いています。

 またシートアレンジによって、前後の座席をつなぎフルフラットにできるタイプもありますが、慣れていないと上手くできない場合もあります。

 取扱い説明書をみながら、ベッドスペースのつくり方について一度は試してみることをオススメします。

 一見するとフラットなシートでも、実際には凹凸があったり角度がついているほか、クッションが硬いものなど、そのままでは寝づらい場合もあります。

 さらに車種によっては、荷室の床面上へ直接寝るケースもあります。

 キャンプ用のエアマットなどがあれば理想ですが、無い場合でも家庭にある折りたたみタイプのマットレスや毛布などを敷いて工夫してみると良いでしょう。

 しかしどのボディタイプでも、注意しないといけない点があります。それは、就寝できる人数には限りがあるということです。

 5人乗りの乗用車や軽自動車であればせいぜい大人2人まで、後部がフラットになるミニバンなどでも大人3人がギリギリといえます。

 大前提として、車中泊可能な就寝人数は、乗車定員数には満たないことを知っておく必要があります。

■車内でエコノミークラス症候群を予防するためにはどうすれば良いのか

 せっかく寝床が確保できたとしても、エコノミークラス症候群は絶対に避けなければなりません。

 車内ではどのように過ごすのが良いのでしょうか。

エコノミークラス症候群予防にはこまめな水分補給とともに、定期的にストレッチや体操で身体をほぐすことで対処しましょう[画像はイメージです]エコノミークラス症候群予防にはこまめな水分補給とともに、定期的にストレッチや体操で身体をほぐすことで対処しましょう[画像はイメージです]

 車内など狭いところで長時間足を動かさずにいると、血液の流れが悪くなります。そして、水分摂取不足などの理由から血液が固まりやすくなります。

 固まった血液(血栓)が血管を流れ、肺に詰まって肺塞栓症(はいそくせんしょう)などを誘発する恐れがあり、場合によっては死亡に至るケースがあるといわれています。

 これらの症状を深部静脈血栓症、別名エコノミークラス症候群といいます。飛行機のエコノミークラスの狭い座席に長時間座ることが要因で、引き起こされる症状から名付けられています。

 一般に、エコノミークラス症候群を引き起こす要因として「長時間同じ姿勢(足を下げている)」「水分不足」「ふくらはぎ部分の血液が固まり、血栓を作り静脈が拡大して損傷する」の3点が挙げられています。

 車中泊避難では、上記の条件がすべて揃います。

 狭い空間で長時間同じ姿勢で過ごすことが続くのに加え、避難時はトイレ事情に問題があることが指摘されています。

 避難者の人数に対してトイレの数が不足し、トイレに行きにくくなることから、過去の災害避難では特に女性が水分摂取を控えてしまうことが多かったといいます。これが血栓症を引き起こす一因となったのです。

 車中泊避難で同じ姿勢の状況が継続的に続くことで、血栓が発生しやすくなります。

 その血栓が静脈を通り、肺に流れてくる際に肺の血管を詰まらせることで、エコノミークラス症候群を引き起こすのです。

「動悸がする」「胸が痛くなる」「息苦しくなる」の症状が出たら、エコノミークラス症候群の疑いがあります。すぐに医師の診断を受けなければいけません。場合によっては命の危険もあると考えられます。

 厚生労働省では「エコノミークラス症候群の予防のために」と題したリーフレットを配布するなどし、対処を呼び掛けています。

 エコノミークラス症候群は、症状が現れるまでは無自覚なことがほとんどなので、意識的に早めのケアが大切です。定期的に予防体操やストレッチで対処しましょう。

 車中泊避難におけるエコノミークラス症候群予防は誰でもできるものです。

 気をつけたいのはこまめな水分摂取(理想は体重60kgの人で1.2リッター)に加え、眠る姿勢にあり、足と身体ができるだけ水平になるように工夫することが大切です。

 次に、3時間に1回程度、定期的にふくらはぎを足先から上部に向かってマッサージしたり、足の指でグーパー体操をしたり、つま先を引き上げたり、かかとを上下につま先立ちするなど、足の運動を行うと良いでしょう。

 着圧ソックスなどを持っていれば、着用し意図的に足先の血液が心臓へ戻りやすくする工夫も一助となります。

 さらに、水分摂取の制限をしないためにも、簡易トイレを用意しておくことをオススメします。

 また冬場は保温のためのカイロや毛布、夏場は熱中症対策も重要になってきます。

 いずれにしても、車中泊避難は身体への負担や精神的ストレスも大きいものとなります。

 連続2~3日を限度に無理のない範囲で行い、避難所へ移ることも検討しましょう。

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