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なぜ「落書き放置車両」撤去しない? 羽田空港「P5」に6台も放置中? 管理会社がすぐに対応出来ない理由とは

くるまのニュース / 2023年2月21日 7時10分

日本各地の商業施設や公共施設の駐車場では長年放置されたと見られる車両を見かけることがあります。とくに全国の空港駐車場には度々話題となる放置車両も存在しますが、なぜ管理会社は対応しないのでしょうか。

■関空、成田、羽田…国際空港駐車場には放置車両多数?

 東京国際空港(以下、羽田空港)には、第1ターミナルのP1/2、第2ターミナルのP3/4、そして主に国際線が発着する第3ターミナルのP5という合計5か所の駐車場があります。

 昨今、SNSで話題になっているトヨタ「アベンシス」など数年単位で放置されている駐車車両は、P5での目撃例が多いようです。

 筆者と編集部のスタッフが2月にP5を訪れた際には1階から9階までざっと見ただけで6台の放置車両らしきクルマを見ることができました。

 車種はアベンシスの他にトヨタ「ラクティス」、「SAI」、ホンダ「S‐MX」などが見られ、9階(屋上)には10年近く放置されているというメルセデス・ベンツがあると聞いて行ってみましたが、それらしきクルマは見当たりませんでした。最近になって撤去されたのかもしれません。

 また、羽田空港以外にも関西国際空港や成田国際空港、中部国際空港など国際便が多く発着する空港駐車場も、数年単位で放置されているクルマがあると聞きます。

 これらの長期放置車両は外国人の所有である場合が多いという情報もありました。

 今回、空港関係者や不法駐車問題に強い弁護士、放置車両撤去の専門業者などに取材したところ以下の可能性が考えられるといいます。

—–
 ・価値の低い中古車で空港まで来てそのまま海外に帰国。クルマは駐車場に「乗り捨て」
 ・海外に出たが、コロナの影響で日本に長い間入国できていない
 ・コロナ明けでやっと日本に戻ったが駐車料金があまりにも高額になっていてそのまま放置
 ・盗難に関わったクルマなので空港駐車場に放置
—–

※ ※ ※

 なお、関空、羽田空港、成田空港すべての駐車場の利用規定には「入車日から起算して引き続き20日を超えて、同一の車両を駐車してはならない。(事前に届出のあった場合を除く)」と記されており、20日間連続で駐車をすることは、原則として禁止されていることになります。

 さらに、許可なく20日間を超えて駐車しているクルマに対しては車両の保管契約を終了することとし、駐車位置の変更や所有者への引取り依頼など、必要な措置を講ずることができるとも規定されています。

 しかし、羽田空港の駐車場には放置されている車両はフロントガラスに貼ってある車検ステッカーから知る限り長いものでは4年から6年ほどそのままのクルマも。

 P5に現在ある6台の放置車両はいずれもホコリで覆われており、ホコリの上から指で書いたと思われる落書きがされているクルマもありました。

 では、なぜ駐車場の管理者は対応をしないのでしょうか。

 この件について羽田空港第5駐車場を管理する東京国際空港ターミナル株式会社に取材を申し込みましたが、「係争中につき取材はお受けできません」との回答でした。

 その後、放置車両のひとつであるアベンシスには東京地方裁判所名義の「公示書」が貼られ、強制執行実施予定日が書かれていたことから今後撤去される可能性があります。

■羽田空港の駐車場は20日を超えたらどうなる? 決められたルールとは

 長期間許可なく駐車しているクルマに対する対応について、東京国際空港ターミナル株式会社が作成した「東京国際空港第五駐車場 管理規程」には次のように記載されています。(一部抜粋)

 1)20日間を超えて駐車していた場合、管理者は利用者に対して通知又は駐車場における掲示の方法により指定日までに車両の引き取りを請求できる。

 2)車両の引取りをしないまた、利用者を確知できない場合、管理者は車両の所有者等(自動車検査証等に記載された所有者及び使用者)に対して通知又は駐車場における掲示の方法により管理者が指定する日までに車両を引取ることを請求し、これを引き渡すことができるものとする。この場合において、利用者は当該車両の引渡しに伴う一切の権利を放棄したものとみなし、管理者に対して車両の引渡し その他の異議又は請求の申し立てをしないものとする。

 3)管理者は指定日を経過した後、車両について生じた損害については、管理者の故意又は重大な過失によるものを除き、賠償の責を負わないものとする。

 要約すると、「管理者は利用者に対して車両引取りの請求ができるが、利用者が不明な場合は車検証上の所有者等に対して車両引取りの請求が可能」となります。

放置車両のひとつとなるトヨタ「アベンシス」には裁判所からの告示書が貼られていた(撮影:加藤博人)放置車両のひとつとなるトヨタ「アベンシス」には裁判所からの告示書が貼られていた(撮影:加藤博人)

 また、車両の調査や車両の移動、売却や廃棄についても規定されています。

 1)管理者は利用者又は所有者等を確知するために車内を含めて必要な調査を行うことができる。

 2)管理上支障があるときは、その旨を利用者や所有者等に通知や掲示をして車両を別の場所に移動できる。

 3)車両引取りの催告をしても期間内に様々な理由で引取りができなかった場合、催告をした日から90日を経過すれば、利用者に予告したうえで、公正な第三者を立ち合わせて車両の売却、廃棄その他処分をすることができるものとする。

 要約すると、「放置車両の利用者、使用者に関する情報を知るために車をあけて、車検証の内容や車体番号などを確認できる」「車両引取りの催告から90日過ぎても連絡がない場合は裁判を起こすなどして車両の売却や廃棄などの処分が可能」ということになります。

※ ※ ※

 ただし、不法駐車の移動や処分などに関してよく出てくる言葉があります。

 それは「自力救済禁止」というキーワードです。

 民法で明確に規定されているわけではありませんが「条文にはない原則の一つ」と解されており、裁判などの公的な手続きを経ることなく、土地の所有者(駐車場の管理者)などが自力でレッカー移動させたり、車両を廃棄してしまうことはできません。

 利用者や所有者等と連絡が取れない場合や所有者の協力が得られない場合には、車両の撤去や土地明渡などを求めて提訴し、裁判所の判決を取得する必要があります。

 前述のように羽田空港に長年放置されているクルマが存在するのは、撤去のための公的な裁判手続きをしている最中かもしれません。

 また、裁判には時間も費用も掛かり、勝訴したとしても車両の撤去や処分の費用は羽田空港側が支払う可能性が高いでしょう。

 引取りもしない、連絡も取れない利用者や所有者から、それらの費用を得られる可能性はとても低いと考えられます。

 駐車場利用に著しく支障がある状況でなければ、そのままにしておいたほうが良いとの判断なのかもしれません。

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