使ってる!? 最新車種で標準化の「オートブレーキホールド」とは 渋滞でも「超便利!」な機能に落とし穴はある!?
くるまのニュース / 2023年3月5日 14時10分
「オートブレーキホールド」機構を備える新型車が年々増えています。しかしどのような機能か理解せず、誤った使い方をしているユーザーも。「実は使ったことがない……」という人も含め、正しい使い方とリスクについて紹介します。
■使ったことない人も必見! オートブレーキホールドはこんなに便利だった
近年の新型車には、便利な「オートブレーキホールド」機構が標準装備化されてきています。
しかし誤った使い方をしてしまい、危険を伴うことも想定されます。どのようなリスクがあるのでしょうか。
オートブレーキホールドとは、ブレーキを踏み込んで停車した場合、ブレーキが踏んだ状態で保持(ホールド)される機能です。
実は以前から、上り坂の途中でブレーキをかけて停止し再発進する際、クルマの重みで後退してしまうことを防ぐ似たような機構は装備されていました。
これはブレーキからアクセルに踏みかえる数秒の間、ブレーキから足を外してもブレーキ力が保持される「ヒルスタートアシスト」(坂道発進サポート)などと呼ばれているものです。
オートブレーキホールドにも、ヒルスタートアシスト同様の保持機能がありますが、違いは、傾斜のない平地でもブレーキ力が保持され続ける点です。
オートブレーキホールドのON/OFFスイッチは、インパネもしくはフロアコンソール付近に設置されてあり、電動パーキングブレーキのスイッチに併設されていることがほとんどです。
スイッチを1度押すとON(作動)となり、もう1度押すとOFFになります。
こうしたオートブレーキホールド機構のメリットとはどこにあるのでしょう。
MT車の場合、信号待ちでクラッチペダルから左足を開放しておくため、ギアをN(ニュートラル)に入れて右足でブレーキを踏んで待ち、必要に応じてサイドブレーキを利用します。
一方AT車の場合は、信号待ちなど短時間の停車時には、基本的にギアをDレンジに入れたままにすることを自動車メーカーは推奨しています。
したがってAT車が停車している最中は、常にブレーキを踏み続ける必要があります。
その際、万が一ブレーキから足を外したり、踏み込みが甘くなったりすると、前に進んでしまうので注意が必要です。
しかしオートブレーキホールドを利用すると、信号待ちでブレーキを踏んで停車すれば、ブレーキ力が保持されます。ブレーキから足を外しても前に進むことがなく、ブレーキペダルから足をおろして休めることもできるのです。
特に激しい渋滞時には効果的で、オートブレーキホールドの有無によってドライバーの疲労度も大きく変わります。
また、急な坂道で発進する際も、ブレーキペダルからアクセルペダルに踏みかえる時にブレーキ力が保持し続けるので、意図せず後退し、後続車に接触するようなことも防ぐことができます。
このようにメリットが得られるオートブレーキホールド機構ですが、OFFにする場合はどのような時でしょうか。
それは駐車する際など、クリープ現象(アクセルを踏まなくても低速で動く)を利用した方が良い場合です。
オートブレーキホールドがONになっていると、低速で車両を前後に動かす場面で、ブレーキペダルから足を離してもクルマが停止したままとなるため、クルマを動かすたびに、都度アクセルを踏むことになります。
少しだけ動かして切り返したい時などでも、オートブレーキホールド状態でアクセルをその都度強めに踏み込むと、想定以上に勢い良く進んでしまうことがあります。
このようにクリープ現象を利用して低速で切り返しなどをする際は、オートブレーキホールドをOFFにしておくと良いでしょう。
■便利なオートブレーキホールドに潜む「落とし穴」とは
便利なオートブレーキホールドですが、あくまで運転中の一時的な停車の際に使う機能であることを忘れてはいけません。
例えばDレンジに入った状態で停車した際、オートブレーキホールドで保持されているからと、そのままの状態でクルマから降りることなど絶対にしてはいけません。
オートブレーキホールド機構に頼り過ぎず、長時間駐車する時などにはシフトを「Pレンジ」に入れたうえで、電動パーキングブレーキを操作することも必要です[写真はホンダ「N-BOX」]
万が一、助手席の乗員がアクセルを踏んでしまったり、オートブレーキホールドのスイッチを押してしまうと、不意に車両が発進してしまうため大変危険です。
またクルマから離れなくても、駐車場の料金支払いなどで停車時に窓から身体を乗り出して、無理な体勢になることがありますが、意図せずアクセルを踏み込んでしまう恐れもあります。
そんな時には面倒がらず、必ずシフトレバーを「P」レンジに入れるとともに、パーキングブレーキをかけるように心がけてください。
オートブレーキホールド使用時の注意点はほかにもあります。
各自動車メーカーは、オートブレーキホールドについて「あくまで運転補助機能である」といった表現をしています。
滑りやすい路面など通常のブレーキでも止まりにくいシチュエーションでは、オートブレーキホールドも効きにくい状況になり、坂道などの勾配の角度によっては、オートブレーキホールド機能が停止する車両もあります。
ドライバーは過信せず、オートブレーキホールドが機能しているかを常に確認する必要があるといえます。
さらに気を付けないといけないのが、保持する設定が車種によってまちまちな点です。
エンジン(もしくはPOWERスイッチ)を切ると機能がOFFになるタイプと、切ってもONが維持されるタイプがあるのです。
オートブレーキホールドを頻繁に使うユーザーの場合、常にONが維持される方が便利ですが、メーカーによってはそれが最善とは考えていないところもあるようです。
例えばエンジン始動後、ブレーキ力が保持されていたことを忘れ、ギアをDレンジやRレンジに入れてもクルマが発進しないと勘違いしてしまい、ドライバーが必要以上にアクセルを強く踏み込んでしまったりすることを想定し、ONが維持されるようにはなっていないと考えられます。
逆にオートブレーキホールド機構が維持されていると思っていて、実はOFFであったという場合、不意にクルマが動いてしまうこともあるでしょう。
家族での所有や営業車など、複数のドライバーが同じクルマを利用する場合、全員が機能を理解していないことも想定されます。
オートブレーキホールド機構の普及率や認知度、そして安全面から考えると、面倒でもエンジンを切ったら一度OFFになる設定の方が、現時点では無難なのかもしれません。
カーシェアやレンタカーでオートブレーキホールドが備わるクルマを利用する際には、機能に差があるため、どのような仕様になっているかを、各車種の取扱説明書で確認することをおススメします。
※ ※ ※
オートブレーキホールドは運転操作が楽になり、渋滞時などの疲労も低減されることで、事故のリスクを減らす効果も期待される便利なシステムです。
近年採用が拡大するADAS(先進運転支援システム)とも連携し、この先も自動運転化に向けたさらに高度な機能が備わっていくことを考えると、今後はどのクルマにも標準装備化していくことでしょう。
しかし過信は禁物です。
オートブレーキホールドはあくまでも運転を「支援」する機構であることを忘れず、ドライバーの責任において、上手に利用するように心がけましょう。
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