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津波や洪水で「クルマが水没!」 窓が開かない場合はどうすれば良い? 危機的状況での正しい脱出方法とは

くるまのニュース / 2023年3月11日 19時10分

近年、堤防の決壊や洪水などでクルマが浸水あるいは水没する被害が後を絶ちません。万が一そのような状況になった場合、一体どのように対処すれば良いのでしょうか。また、水に浸かったクルマはどうなってしまうのでしょうか。

■クルマが水没したらどうする!? 正しい脱出の手段とは

 12年前の「東日本大震災」では巨大地震を原因とした津波が発生し、青森県から岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県など太平洋沿岸を中心として、日本の広い範囲に甚大な被害を与えました。

 そしてその報道で流れた映像には、家屋とともに多数のクルマが水没する姿がまざまざと映し出され、多くの人に衝撃を与えたこともいまだ記憶に新しいところです。

 さらに近年は地球温暖化の影響もあって、各地で異常気象が多発。「ゲリラ豪雨」と呼ばれる、に大量の雨が降る現象も珍しくなくなり、それに比例するようにクルマが浸水する被害は毎年後を絶ちません。

 もしも津波や堤防の決壊による洪水などでクルマが浸水あるいは水没した場合、一体どのように対処すれば良いのでしょうか。また、水に浸かったクルマはどうなってしまうのでしょうか。

 基本的にクルマのフロントにエンジンが搭載されている乗用車は、水没した際には前部が下に沈みこむ前傾姿勢となります。

 万が一クルマに乗ったままこのような状況に遭遇してしまった場合には、最優先でクルマから出る必要があります。慌てずにシートベルトを外して車内から脱出し、クルマのルーフに登るようにして避難しなければいけません。

 しかし、水の中にあるクルマは、水圧でドアが開けられなくなる可能性があるといいます。

 過去にJAFがおこなった実験では、およそ水深30cmでドアの開放ができたものの、水深60cmともなると車外との水位差が均等でなければ開放が難しい状況となりました。

 つまり水位がドアより下であれば開きますが、水位がドアの下部の高さを超えた場合には内側からドアを押し開けることは困難になるということです。

 そうなると窓ガラスを開けて脱出するしか道はありませんが、そのときに問題になるのが電動のパワーウインドウです。

 クルマが浸水した際は、水による電気系統のトラブルでパワーウインドウが開かなくなる場合があり、そのときは緊急脱出ハンマー(以下ハンマー)などで窓ガラスを割って脱出しなければいけません。

 そして、どのガラスを割るかも注意が必要だといいます。

 国土交通省は、ガラスをハンマーで割って脱出する際の注意点について、次のように説明します。

「脱出の際には、サイドウインドウかリアウインドウをハンマーで割って脱出するのが良いでしょう。

 フロントウインドウは、飛び石対策や衝突事故時に乗員の被害を軽減することを目的に『合わせガラス』を用いることが法律で義務付けられており、ハンマーで打ってもヒビが入るだけで割れにくいのです」

 一方で、サイドウインドウやリアウインドウに用いられることが多い「強化ガラス」は、衝撃抵抗が普通のガラスよりも高いものの、ハンマーを使用すれば割れる可能性が高いのです。

 なお、トヨタやホンダは「一部のクルマにおいては、サイドウインドウおよびリアウインドウにも合せガラスを使用しているため、その場合はハンマーで割ることができません」と説明しており、使用できない車種の詳細については販売会社に問い合わせる必要があります。

 このように、万が一の際に乗員の命を守るアイテムとして、車内の取りやすい場所に緊急脱出ハンマーを置いておくと良いでしょう。

■浸水したクルマ、乾けばまた乗れる!? エンジン始動はNG!

 次に、浸水や水没の被害に遭った場合、そのクルマはどうなってしまうのでしょうか。

 クルマはある程度の浸水にも耐えられるように設計されています。しかし、室内にも水が入ってしまったり、水面がマフラーより高い位置まで来るほど沈んでしまった場合には、プロに判断を任せることが大切です。

水没車の修理は難しく、エンジンまで水が入ると高額な修理代がかかります水没車の修理は難しく、エンジンまで水が入ると高額な修理代がかかります

 最近のクルマは、エンジンは当然として様々な箇所が電子制御されているので、水が侵入したことで車両火災などの思わぬ事故につながる恐れがあります。

 また、氾濫した泥水に浸かってしまった場合には、ブレーキの中に泥や砂などの異物が入り込むことも珍しくありません。こうなると仮に走行できてもブレーキが効かないなど、大変危険な状況になります。

 国交省でも「水に浸った車両は、外観上問題がなさそうに見えても、感電事故や電気系統のショート等による車両火災が発生するおそれがあります」と注意を呼びかけており、同時に以下の警告を発表しています。

【1】自分でエンジンをかけない。特に、HV、EV車は高電圧のバッテリーを搭載しているのでむやみに触るのもNG

【2】車を移動する際はJAFなどロードサービスや最寄りのディーラー、整備工場に相談して行う

【3】使用するまでの間、発火するおそれがあるのでバッテリーのマイナス側のターミナルを外す

 なお、近年急増しているハイブリッド車や電気自動車などの電動車は、冠水や衝突事故などを想定した厳しいテストを行っており、水没しても感電しないために万全の対策を講じているといいます。

 自動車アセスメントをおこなっているNASVA(独立行政法人 自動車事故対策機構)も、試験項目に「電気自動車等の衝突時における感電保護性能試験」の内容を追加してハイブリッド車や電気自動車を評価しています。

 さらに、トヨタや日産では電動車が感電を引き起こさないよう安全に設計した上で、「レスキュー時の取扱い」として公式サイトに事故車を取扱う際の注意事項を公開しています。

 日産は、電動車が浸水した場合の注意点について以下のように説明しています。

「静止状態で浸水したという状況であれば、電動車もガソリン車と同じ扱いで問題ありません。事故などで車両に強い衝撃を受け、バッテリーの中身が露出するなどの損傷を受けた場合には注意が必要です」

 最後に、エンジンルームまでが水に浸かったクルマはその後、どう扱うべきなのでしょうか。廃車買取の専門業者に話をうかがいました。

「状況によってはクリーニングやパーツ交換、エンジン修理などで乗り続ける方もいらっしゃいますが、ほとんどの場合において水没車は廃車にした方が良いと言えます」

 水没車の修理は難しく、エンジンまで水が入ると高額な修理代がかかります。しかしそれ以上にダメージの大きいのが「室内の悪臭」です。

 下水や汚泥などが混じった泥水に浸かったクルマは強烈な悪臭を放つことがあります。そして、ルームクリーニングと消臭作業を繰り返しても完全には抜けない場合が多く、エンジンの修理費よりも悪臭除去にかかる費用の方が高額になるケースもあるということです。

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