なぜクルマのドアノブは統一されない? 「フラップ型/グリップ型」混在する理由は? 一部「格納式フラット型」も存在する訳
くるまのニュース / 2023年3月15日 7時10分
ひと昔前ではクルマのドアノブにフラップ型が採用される例が多くありました。しかし最近ではグリップ型を採用する例が増えていますが、どちらかに統一されず混在する理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
■クルマはトレンドや合理化で変化するが…ドアノブはフラップ型/グリップ型の2通りに…その理由は?
第一印象は、どんな物でも重要な要素です。工業製品の場合、その印象次第で購入に至るかの判断が決まることもあります。
クルマにおいてはデザインが第一印象を左右しますが、サイドビューの印象を決めるドアノブ(ドアハンドル)が現在も残り続ける背景にはどのような理由があるのでしょうか。
トヨタ新型「プリウス」では、前ドアにグリップ型、後ドアにフラップ型を採用している
クルマの性能は時代とともに進化を続けており、デザインも時代のトレンドによって異なります。
大きな部分では、ハロゲンライトからLEDライトに変わったことでヘッドライトやテールライトのデザインにおける自由度が大きく変化しました。
その一方でサイドビューにおいては、ドアノブがその存在を主張しており、かつてのドアノブといえば「フラップ型」が主流でしたが最近では「グリップ型」が定番となっています。
フラップ型は、小さな板のような形状のドアハンドルを上方向に押し上げるようにしてドアをオープンする機構となり、モデルによっては横方向から手を入れて手前にハンドルを引くタイプもありました。
その一方で、以前から存在していたもののここ数年で見かける機会が増えているバーのような形状になっているのが「グリップ型」と呼ばれるもので、上下好きなほうからドアノブを握り、手前に引くことでドアがオープンする仕組みとなっています。
フラップ型とグリップ型はどちらも存在していますが、かつてに比べるとフラップ型を採用する例が減っており、それに置き換わるかたちでグリップ型が普及していますが、なぜ採用に変化があるのでしょうか。
国産メーカーA社の担当者はドアハンドルの変化について、以下のように話します。
「グリップ型のドアハンドルへの移行は、使い勝手の良さが最大の理由となり、グリップ型にはどこからでも手を入れやすく、ドアの開閉がしやすいという特長があります。
また、フラップ型に比べてグリップ型のほうがドアを開ける際の力が削減されるというメリットもあり、万が一の事故などでも、外側からドアを開けやすくなっています。
さらに言えば、フラップ式ではネイルをしている女性がドアを開けづらかったり、ネイルがボディにあたってクルマが傷つく、もしくはネイル側に傷が入るといった問題もあったと聞いています
そのほか、耐久性においてフラップ型はグリップ型よりも劣る面があったため、ドアが凍結しやすい寒冷地などにおいて、フラップ型のドアノブが破損する事例もあったようです」
また国産メーカーB社の担当者はグリップ型について次のように話しています。
「国や地域によって仕様は異なることはあるものの、基本的にグリップ型は操作時に手のひらを反らさずに開けることができるなど、日常的な使い勝手が向上することから、グリップ型が多くなっています」
■グリップ型は使い勝手が良いけども…あえてフラップ型を採用する理由とは
これまでの流れとしてフラップ型よりもグリップ型の方がメリットが多いように感じされますが、それでもフラップ型やそれに類似する「格納フラップ型」などを採用するモデルもある存在します。
例えば、レクサス「LC」や日産「GT-R」、ホンダ「NSX」などは一見ドアパネルにフラットに見える格納式のフラップ型を採用しています。
これについて、前出の国産メーカーB社の担当者は次のように話しています。
「グリップ型ではなく、フラップ型を採用する主な理由には、スポーティなモデルなどがデザインや空力を優先してフラップ型を採用していることが多いです。
最近のフラップ型は、従来の上方向に持ち上げるタイプではなく、ドアパネルに埋め込まれているようなタイプが多くなっています。
これはデザイン面で、クルマのドアを『一枚板』に見せる効果があり、ドアノブの存在感を限りなく薄くすることで、ボディのラインをより伸びやかに表現し、モデルごとのキャラクターを強調できるというメリットがあります。
また同時に突起物はクルマの空力性能に大きく影響します。そのため、サイドの空力をいかに上手に処理をするかという部分ではフラットのほうが良いと言えます」
ホンダ「ステップワゴン」では前ドアから後のスライドドアまで繋がったようなデザインのグリップ型を採用している
その一方で現在も商用車の多くではフラップ型を採用している例があります。
その理由ついて国産メーカーC社の担当者は次のように話しています。
「商用車の場合、積載量を多く確保するために室内空間を広くする様々な工夫が施されています。
そのひとつとして、ドアノブにフラット型を採用していることがあります。
これはフラップ型とグリップ型では構造上ドアノブの厚みが異なり、少しでも薄く出来るフラップ型を採用しています」
※ ※ ※
このようにサイドビューで最も目立つ存在となるドアノブですが、日常的な用途が多い乗用車などではグリップ型、スポーティなモデルでは格納式フラップ型、そして室内空間が重視される商用車ではフラップ型と、そのクルマの用途によって異なるようです。
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