もう「辰巳ジャンプ台」って呼ばないで! 話題の首都高PA「速度抑制ハンプ」はどうなった? 現状の対策とは
くるまのニュース / 2023年3月20日 7時10分
2023年1月中旬に首都高「辰巳第一PA」に設置された「速度抑制ハンプ」ですが、SNSにはバンプをジャンプ台と見立てた行為が続々と投稿される事態となりました。予想外の利用方法となり危険な行為が続いている中で首都高はどのような対策を行っているのでしょうか。
■元々は危険な加速行為を抑止するための抑止設置だったが…思わぬジャンプ大会に
2023年1月中旬、「辰巳ジャンプ台」というワードが突如としてSNS上で飛び変わってました。さらには一時的にGoogleマップでも「辰巳ジャンプ台」と表示されるなど、注目を集めた首都高9号深川線の辰巳第一PAに設置されたる「速度抑制ハンプ」。
設置から2か月経った現在では、どのような状況となっているのでしょうか。
首都高では「首都高ドライバーズサイト」にてルーレット族などの迷惑行為や騒音対策として以下の5か所を閉鎖対象PAとしており、以下のようにアナウンスをしています。
「ルーレット族等による悪質な暴走行為や、迷惑行為に対して、お客さまの安全な交通の確保と沿道にお住まいの皆さまへの騒音対策の観点から、警察と協力の上、状況に応じて随時パーキングエリアの閉鎖措置をいたします。閉鎖対象は、以下パーキングエリアです」
・平和島パーキングエリア(上り)
・辰巳(第一)パーキングエリア
・箱崎パーキングエリア
・芝浦パーキングエリア
・大黒パーキングエリア
そのなかの辰巳には、第一(上り)と第二(下り)の2か所があり、夜景がきれいなことなどを理由に第一のほうが多く利用されることから、ルーレット族対策で閉鎖になる場合も対象は辰巳第一となっています。
そんな辰巳第一PAでは、1月19日頃に本線へと合流する部分に速度抑制ハンプが設置されました。
この設置の理由は、「イキリダッシュ」「辰巳ダッシュ」などと呼ばれる危険で迷惑な走行を物理的に抑制することを目的として、本線合流する手前に約10センチの段差(ハンプ、減速帯)を設けることによって減速を促すものです。
首都高9号深川線から辰巳第一PAに入ると、入口から30台ほどの小型車室が続き、小型車の駐車スペースが終わるとこで、出口方向の直進と大型車室方向に進む分岐が出てきます。
入口から本線合流までの約120mはPA内ということもあり、歩行者や駐車車両が急に出てきても対応できるよう、本来は細心の注意をはらって徐行すべき場所です。
ほとんどのクルマは注意して徐行程度の速度でこのエリアを移動していますが、中にはPAの出口めがけて「急加速」するクルマも存在します。
これが前述の「イキリダッシュ」「辰巳ダッシュ」と呼ばれる行為でアクセルペダルを踏んで一気に加速すると騒音が発生するだけではなく、歩行者やほかの車両との衝突というリスクも考えられます。
辰巳第一PAの近くには東雲の高層マンション群や民家もあるため、特に夜間は大変な迷惑となるのです。
その証拠に、イキリダッシュをするクルマが出てくると、110番通報が増えるといい、通報しているのは周辺住民はもちろん、辰巳PA内で仮眠をとっている大型車のドライバーではないかと推測されますが、110番通報が頻繁にはいるようになると警察は辰巳第一PA閉鎖の検討に入ります。
ここでいう「閉鎖」とは、これ以上、騒音の被害が拡大しないよう、その時に辰巳PAにいるクルマを一斉に追い出して、さらに入口を閉鎖し新たなクルマのPAへの入場を止めることを意味します。
ちなみに、辰巳PAが閉鎖されるのは騒音防止だけが理由ではありません。ほぼ毎週末の夜間、閉鎖されるもうひとつの大きな理由は「ルーレット族」対策です。
辰巳第一PAはルーレット族の主たる活動場所である都心環状線(C1)内には存在しませんが「周回」ルートに使われたり、仲間で走る際の休憩場所になったりするため、警視庁高速隊ではルーレット族の活動をやりにくくする意図もあって辰巳第一PAを頻繁に閉鎖するのです。
2023年1月21日には確認できたGoogleマップ上の「辰巳ジャンプ台」((c)Google Maps)
このような背景もあり、新たに設置された速度抑制ハンプですが、1月20日夜頃からSNSで話題になり、SNSではこの段差をジャンプ台に見立ててPA内とは思えない速度で走り、ジャンプするという動画をさまざまなユーザーが投稿している様子が見受けられました。
当時、現地を訪れた際には本線に合流するわずか10m手前となる直前に「段差あり」の路面標示があります(この表示は以前からありました。)が、減速の指示はありません。
本線に合流する場所であれば、一般的には加速する場所というイメージですが、手前にも周辺にも出口→本線を目指すドライバーから見える場所に「徐行」や「減速」という表示はありませんでした。
■本来の意図は「速度抑制ハンプ」だが…SNSでは「辰巳ジャンプ台」として認知…首都高の見解は?
1月19日頃に辰巳PAのハンプが設置されて間もなく2か月が経過しようとしています。この2か月の間、筆者は何度か辰巳第一PAを訪れていますが、ジャンプ台で加速するクルマはまだまだ存在します。
この状況に対して首都高はどのような対策を講じているのでしょうか。首都高速道路株式会社 経営企画部 広報課に聞いてみたところ、回答を頂きました。
ーー 辰巳PAの段差設置(通称辰巳ジャンプ台)から1か月以上が経過しました。いまだに、ジャンプしようと速度を上げて通過するクルマが後を絶たないようですが。
一部の利用者による悪質な暴走行為や迷惑行為に対して、お客さまの安全確保と沿道にお住まいの皆さまへの騒音対策の観点から、PA内での速度を抑制する方法として段差を設けたものであり、状況をみつつ、警察と連携して対策をとっていきたいです。
辰巳第一PAに掲出されている速度抑制バンプのアナウンス(撮影:加藤博人)
ーー 速度を上げて通過するクルマに対して何かしらの警告/取り締まり/注意喚起は行っているのでしょうか。
PA内は一般のお客さまが歩行する箇所であり、運転者さまには道路交通法に基づく安全運転義務の観点から、徐行で走行頂くのが適切と考えており、警察と連携して対策をとっていきたい。
ーー 3月3日に辰巳を訪れた際、入口に新しく「段差注意」の掲示が設置されていたように思いますが、これもジャンプ台対策の一環でしょうか。
その通りです。PA内は一般のお客さまが歩行する箇所であり、運転者さまには道路交通法に基づく安全運転義務の観点から、徐行で走行頂くのが適切と考えています。
より一層の注意喚起として2月26日に「段差注意」や「徐行」の表示等を設置しました。
辰巳第一PA入り口右側には「出口段差あり」と大きな電光掲示板も設置された(撮影:加藤博人)
※ ※ ※
現在は入口から出口まで約120mの車路部分には「徐行」「徐行」「徐行」と大きく書かれた路面標示が設置されています。
また、辰巳第一PA入り口右側には「出口段差あり」と大きな電光掲示板も設置されています。
ちなみに、「PA出口から本線に合流するんだから、加速しないとダメなのでは?」と考える人もいますが、辰巳第一PAでは異なります。
辰巳第一PAの出口から9号深川線に入る場合、段差(ジャンプ台)部分から深川線にはいってしばらくは車線変更を禁止する黄色線が続きます。
黄色線が消えて最終的に本線に合流する白い破線になるまの距離は約200m。この間にゆっくり加速していけばよいので辰巳PAの段差部分は徐行でも問題ないといいます。
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