部品がなくてクルマの修理ができない! ちょっとした破損が命取り!? パーツ不足の現状とは
くるまのニュース / 2023年3月31日 14時10分
クルマのバンパーやウインカーレンズなどを破損してしまった場合、補修用パーツを取り寄せて修理するのが一般的です。しかし近年は材料費の高騰や物流の停滞などもあり、パーツの在庫切れが増えているというのですが、万が一のときはどうしたら良いのでしょうか。
■製造から5年程度のクルマのパーツが在庫切れ!
ちょっとした不注意で、クルマのバンパーやウインカーレンズなどを破損してしまうことは良くあることです。
そんなときは、ディーラーや整備工場などでパーツを取り寄せて修理するのが一般的ですが、しかし最近はこの修理にかなり時間を要するようになってきているようです。
というのも、純正パーツの在庫切れが頻発している様子。さらにパーツの生産が、かなり早い段階で終了してしまうことが増えているのだそう。
パーツの在庫不足の現状について、実際にクルマの修理を手掛けている埼玉県のF整備士に聞いてみました。
昨今の材料費の高騰やコロナ禍によって生じた物流の停滞や混乱などで、純正パーツの在庫がないケースが増えており、修理現場では「直したくてもパーツがないから直せない」というクルマがチラホラ出てきているといいます。
それが希少なクルマや旧車ならわかりますが、国産の、しかも、登場からまだ5年程度しか経っていない人気車のフロントバンパーが、在庫切れを起こしていることもあるというのです。
「コロナ禍の影響がまだあるのかもしれませんが、とにかくパーツの納期遅れと値上がりが結構大変なことになっています。
今までなら10年程度前のクルマでも比較的容易に補修部品は入手できましたが、最近は5年前のクルマでもパーツの在庫切れが発生し、納期未定なんてことも増えています」(F整備士)
クルマの純正パーツ(いわゆる補修部品)の在庫に関しては、細かい規定が存在せず、補修部品をストックするかしないか、再生産する可能性もメーカーの判断に委ねられているようなのです。
とあるメーカーのパーツ専門業者に話を聞いてみましたが、具体的な年数は設定されていないものの、製造から約10年経過したモデルのパーツに関しては在庫がなくなり次第、供給を終了しているのだとか。
ということは、ネオクラシックな車種はもちろん、格安で販売されている10年落ち程度の中古車でも、何かあった場合にパーツがなくて直せないという事態に陥る可能性が高いということでもあります。
このパーツの在庫切れや不足の原因は、メーカーが補修部品の在庫年数に見切りをつけたことも一因かもしれませんが、それ以上にさまざまな要因が複雑に絡み合っているようです。
「現在のクルマは、多くのパーツが海外生産されています。ここ数年続いたコロナ禍の影響で海外の工場も稼働が順調ではなく、さらに燃料などの高騰もあって流通が混乱してかなり遅れているのかもしれません」(F整備士)
ネオクラシカルな車種に関しては、日産「スカイラインGT-R(R32、R33、R34)」やマツダ「RX-7(FC3S、FD3S)」、トヨタ「スープラ(A70、A80)」、ホンダ「NSX(初代)」などの人気スポーツカーは、メーカー主導で補修部品の復刻・再販なども行われています。
しかし、これはあくまで名車と呼ばれる人気車種のみ。それ以外の車種はかなりパーツの在庫切れを起こしている可能性は高いとされています。
「輸入車も、コロナ禍やウクライナ戦争の影響で、とくにEUからのパーツ供給が滞っているようです。実際に弊社でもBMW『Z4』やアウディ『A4』といったメジャーな車種の修理でも一部のパーツが遅延しており、新品パーツに交換できていない箇所があります」(F整備士)
輸入車はともかく、国産車の、しかも製造から10年未満のパーツが不足しているのであれば、まだまだ新規でパーツを生産してもらえば良いのではないでしょうか?
「パーツに関しては、生産するためには最低限のロット数が必要だといいます。つまり修理依頼が複数集まって、はじめて部品を再生産するかどうかという状態のようです」(F整備士)
■純正パーツが手に入らなかったらどうする?
パーツ交換が必要な修理だとして、純正パーツの入手が難しい場合はどうしたら良いのでしょうか。
「新品の補修部品が在庫切れの場合、中古品(リサイクルパーツ)や機械的なパーツはリビルド品などを探すことになります。
これも年式やグレード、形状などが合えば使用可能ですが、必ずしも在庫があるとは言い切れないため、パーツが出てくるまで数か月待つこともあります」(F整備士)
パーツが不足していて修理ができないケースが増えている
中古品(リサイクルパーツ)は、いわゆる廃車となった車両から使えるパーツを取り外したもの。必ずしも状態が良いとはいえず、細かい傷や変形しているものもあるそうです。
また、中古品(パーツ)と混同されがちなのが「リビルド品」です。こちらは中古パーツがベースながら、洗浄や修理を施して新品に準じるレベルで使用可能にしたパーツのことです。
「中古品を使うメリットは、新品パーツで交換するより修理の費用を抑えることができることでしょう。また研磨や再塗装しなくても使用できる場合は、当然ながら作業時間の短縮にもなります。
ただし外装部品などは、新品の補修部品でも中古品でも1台ごとのコンディション(経年や日光などによる色褪せなど)が違うため、『色合わせ』と呼ばれる再塗装が必要なことも多いです」(F整備士)
しかし前述したように、中古パーツが必ずしも入手できるとは限りません。その場合は修理を待つしか方法はないのでしょうか。
「どうしても入手が難しいパーツなどは、ほかのクルマのパーツを加工して使ったり、外装部品も補強やパテなどを活用して補修することもできます。そのぶん作業時間と費用はかかってしまいますが。
ただし、バンパーなどは箇所によっては非常に薄くできていたりして補修できないケースもあります。そういった場合は、社外品のエアロパーツなどで対応できるかを検討していただくこともあります」(F整備士)
「また最近の運転支援システム搭載車などは、バンパー内にセンサーなどを埋め込んでいるものも増えており、一概に修復できるとも言い切れないのが現状です。
センサーなしでも10万円以上するバンパーもあるので、くれぐれもバンパーを破損しないように注意しつつ運転したほうが良いでしょう」(F整備士)
※ ※ ※
補修部品の在庫切れは古いクルマでは良くあることで、パーツの欠品で補修できず、クルマを手放してしまう人もいるようです。
このようにちょっとしたミスでクルマを破損させてしまい、パーツ不足で修理できないということにならないためにも、これまで以上に慎重で安全な運転が求められます。
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