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「液体水素カローラ」の挑戦始まる! カーボンニュートラルに向けた選択肢の拡充へ 富士24時間レースで実践投入を目指す

くるまのニュース / 2023年3月18日 13時10分

2023年3月18日にトヨタは、水素やカーボンニュートラル燃料を「つくる」「はこぶ」「つかう」選択肢を増やす挑戦を続け、仲間とともに、カーボンニュートラル実現に向けた、モータースポーツでの取り組みを加速させていくとしています。

■液体水素を搭載した水素エンジンカローラ、富士24時間レースに向けて挑戦を継続

 トヨタは、水素やカーボンニュートラル燃料を「つくる」「はこぶ」「つかう」選択肢を増やす挑戦を続け、仲間とともに、カーボンニュートラル実現に向けた、モータースポーツでの取り組みを加速させていくとしています。

 これに伴い、スーパー耐久シリーズ2023に液体水素を搭載した水素エンジンカローラで参戦すると改めて明かしました。

 2021年から2年間、気体水素を燃料として搭載し走行した「#32 ORC ROOKIE GR Corolla H2 Concept」(以下、水素エンジンカローラ)は、2023年シーズンに液体水素を燃料として搭載し走行することを目標にしています。

 しかしながら、2023年3月8日に富士スピードウェイで実施した専有のテスト走行にて、エンジンルームの気体水素配管からの水素漏れによる車両火災が発生。

 なお、今回のテスト走行での水素エンジンカローラは液体水素を使用していましたが、車両振動による配管結合部の緩みにより漏れた水素が配管結合部がエンジン近辺にあったために引火したといいます。

移動式液体水素ステーションと液体水素を搭載する水素エンジンカローラ移動式液体水素ステーションと液体水素を搭載する水素エンジンカローラ

 一方で水素リークセンサーによるフェールセーフが正常に機能し水素の供給が停止したことで、大幅な延焼は避けられた結果、乗員の安全対策について確認する事も出来たようです。

 なお、今回のトラブルは気体水素から液体水素に燃料変更したことが直接の原因ではないといい、水素漏れの原因となった配管設計を見直すことで、より安全な車両開発を行っていくとしています。

 このような結果により、3月18・19日に行われるスーパー耐久シリーズ2023 第1戦鈴鹿大会には車両の復旧が間に合わないため、欠場となるものの同年5月26日から28日に行われる第2戦富士24時間レースに向けて、開発を進めるとしています。

トヨタ自動車株式会社 執行役員(次期社長) 佐藤恒治トヨタ自動車株式会社 執行役員(次期社長) 佐藤恒治

 このような中で、トヨタは2023年シリーズも水素やカーボンニュートラル燃料を「つくる」「はこぶ」「つかう」選択肢を増やす挑戦を続けて、カーボンニュートラル実現に向けたモータースポーツでの取り組みを加速させていきます。

 これまでスーパー耐久シリーズでは、2021年5月にスーパー耐久シリーズに水素エンジンカローラで初参戦して以降、気体水素を燃料として搭載し、レースを重ねるごとに出力・トルク・航続距離・充填時間などを進化してきました。

 2023年シーズン中には、前述の液体水素を搭載した車両でレースに参戦することを目標にしていくといいます。

 また水素エンジンカローラの新たな挑戦として、スーパー耐久シリーズ2023では、HySTRA(川崎重工、岩谷産業、電源開発株式会社などから構成される技術研究組合)のプロジェクトとして、川崎重工が建造した液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」で、2022年2月に豪州から輸送した褐炭水素を、水素エンジンカローラの燃料の一部として使用する予定です。

川崎重工業株式会社 代表取締役社長執行役員 橋本康彦川崎重工業株式会社 代表取締役社長執行役員 橋本康彦

 またサーキットで使用する「移動式液化水素ステーション」については、岩谷産業が開発しています。

 燃料が液体水素になったことにより、圧縮気体水素をつくるために必要な圧縮機や水素を冷却するプレクーラーなどの設備が不要になるため、気体水素使用時の4分の1程度までコンパクトにすることができるため、ガソリン車と同じようにピットエリア内で燃料が充填できるようになります。

 また、充填時に昇圧の必要がないため、複数台連続の充填も可能になるといいます。

岩谷産業株式会社 代表取締役 社長執行役員 間島寛岩谷産業株式会社 代表取締役 社長執行役員 間島寛

 なお水素エンジンカローラの液体水素関連技術など、新たに9社が仲間に加わり、水素を「つくる」「はこぶ」「つかう」仲間は、39社まで増加しました。

■水素エンジンカローラは液体水素を搭載することで何が変わるのか?

 水素エンジンカローラは、燃料が気体水素から液体水素に変わることに伴い、車両の燃料供給装置を液体水素向けに変更しています。

 エンジン自体は、気体水素を搭載していた時と同様のものを使用する予定です。

 気体水素には、液体水素と比較してシステム構成がシンプルというメリットがあります。

 気体水素と液体水素には、それぞれ異なるメリットや課題があり、特性を生かした使い方をしていくため、今後も継続して気体水素と液体水素の両方の開発に力を入れ、燃料の選択肢を広げていくとしています。

 そうした特性もあり、液体水素に燃料を変更することで体積当たりのエネルギー密度が上がるため、富士24時間レースに向けて満充填からの航続距離は約2倍とし、充填時間はこれまでと同じ約1分半を目標に開発を進めていくといいます。

 そして、年間シリーズを通じて、エンジン性能・航続距離・充填時間をさらに改善していく予定です。

液体水素を搭載した水素エンジンカローラの車載用液体水素システム液体水素を搭載した水素エンジンカローラの車載用液体水素システム

 一方で、液体水素には、充填や貯蔵の際に-253度より低い温度に保つ必要があります。

 低温環境下で機能する燃料ポンプ技術を「いかに開発するか」、「タンクから自然に気化していく水素にどう対応するか」、「車載用液体水素タンクの法規をどのように作り上げていくか」などの課題もあります。

 そうした背景からも前述のように「つくる」「はこぶ」「つかう」それぞれの仲間と連携して、課題の克服に取り組んでいくとしています。

※ ※ ※

 今後もトヨタは「マルチパスウェイ」の考え方を軸に、引き続き仲間とともに選択肢を広げる取り組みを進めるとしています。

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