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なぜ3歳児が亡くなったのか… 合わないジュニアシートは危険!事故から考える、正しい選び方

くるまのニュース / 2023年3月22日 16時10分

母親が運転する軽乗用車の助手席でジュニアシートに座っていた3歳男児が事故の衝撃で男児は車外に投げ出されたとみられ、意識不明の状態で病院に運ばれましたが事故から3時間後に死亡が確認されています。なぜ子供用のイスであるジュニアシートを使用していたのに死亡事故が発生したのでしょうか。

■3歳児の車外放出死亡事故 … 「背もたれ」有無で何が違う?

 2023年3月18日午後4時ごろ、鹿児島県鹿児島市下田町の九州自動車道下り線で軽自動車(ワゴンR)が中央分離帯に激突し、横転する事故が発生しました。
 
 その際、事故の衝撃で3歳児が車外に投げ出されたといいますが、なぜジュニアシートを使用していて、被害にあったのでしょうか。

 運転していたのは愛媛県松山市在住の32歳女性で後部座席には鹿児島市在住の女性の妹、そして助手席には女性の息子である3歳男児が乗っていました。

 事故の衝撃で男児は車外に投げ出されたとみられ、意識不明の状態で病院に運ばれましたが事故から3時間後に死亡が確認されています。

 2人の女性もけがをしましたが命に別状はないとのことです。

 ニュースなどの映像によると助手席には背もたれのないジュニアシートが置かれており、男児はここに座っていたとみられ、男児は事故の衝撃で車外に投げ出されたようです。

 ジュニアシートを使用していたのになぜ、男児は車外に投げ出され、死亡する痛ましい事故の被害者になってしまったのでしょうか。

 投げ出された最大の要因は助手席のジュニアシートが3歳男児の体格に合っていなかったことだと考えられます。

 シートベルト(肩ベルト)が男児の肩から遠く離れていたり、腰ベルトがしっかりと腰骨に掛かっていなかったりしたことで、衝突や横転の衝撃から男児の体を拘束することができず車外に放り出されたのでしょう。

 ちなみに、現在日本で販売されているジュニアシートには大きくわけて、以下の2つに分けられます。

 1.)背もたれのない座面だけのタイプ(ブースタークッションとも呼ばれます)

 2.)背もたれとヘッドレストがついたフルバケットタイプ

 また固定方法も2種類あり、シートベルトを使うものとISO-FIX金具で後部座席にあるアンカーにはめ込んで固定するものがあります。

 男児が使用していたのは1.)のタイプで3点式シートベルトで固定します。

 このタイプはコンパクトで軽く、価格も2000円前後~と安価なのでコスパ重視の保護者に人気があります。

 シートベルト1本で子どもの体とジュニアシート本体を固定するため車両との適合をさほど気にする必要はなく、ほぼどんなクルマでも使えます。

 しかし、安くて手軽に使えるメリットはあるものの、背もたれのない座面だけのジュニアシートを確実に安全に使用するためには子どもの体格を最優先に考える必要があります。

チャイルドシート/ジュニアシートには様々な種類が存在するが、子供の身長や体重に合わせて選ぶことが大事!チャイルドシート/ジュニアシートには様々な種類が存在するが、子供の身長や体重に合わせて選ぶことが大事!

 では、座面だけのジュニアシートは何歳から安全に使用できるのでしょうか。

 結論から言うと、座面だけのジュニアシートは「身長125cmまたは体重22kgを超えてから使用」が大原則で、これはチャイルドシートの安全基準(UN/ECE R44/04 S11)で定められています。

 身長125cm体重22kgというと日本の子どもではだいたい7歳前後です。

 事故で亡くなったのは3歳男児ですから、まずは体格がまったく合っていなかったと考えられます。

 ニュースの映像などから3歳男児が使用していたジュニアシートはアップリカの製品であることがわかります。

 アップリカ以外にもリーマンやグレコなどのブランドに同様のジュニアシートがラインナップされています。

 そしてこれらの製品の取り扱い説明書や通販サイトの説明書きには「15kg~36kgで使用可能」「3歳から使用可能」などと記されている場合がほとんどです。

「え?身長125cm、体重22kgからじゃないの?」と思ってしまいそうです。

 実は「身長125cm体重22kg」からの使用が義務化されたのは、2017年2月9日以降に安全認証の申請が出された製品が対象なので、それ以前に認証を受けた製品は「体重15kgから使用可」と記されていても、法的な問題はないのです。

 とはいえ、そもそも15kg→22kgに体重の基準が改正されたのは、体重22kg以下の体格で座面だけのジュニアシートを使うのは危険と判断されたからです。

 法的な問題はないといっても、子どもの安全を第一に考えるチャイルドシートメーカーの製品であれば、「体重22kgまたは身長125cmを超えてから使用してください」などと記されているはずです。

 なお、背もたれの有無にかかわらず一般的にジュニアシートは体重15kgから使えるとされていますが、日本の幼児の平均体重が15kgを超えるのは男女ともに満4歳過ぎです。

「3歳になったらすぐジュニアシート」が危険な理由はここにもあります。年齢ではなく体格を最優先に考えて選びましょう。

■まだある…チャイルドシートとジュニアシート、正しく使い分ける意味とは…

 ちなみに、幼児用チャイルドシートは体重18kgまで使えるようになっていますのでギリギリまで幼児用を使って体重18kgを超えてジュニアシートに移行することが安全です。

 また、座面だけのジュニアシートが幼児に危険なのは体格のほかにもう一つ理由があります。

 幼児の場合、シートベルトで固定されるジュニアシートに正しい姿勢のまま座り続けることは困難です。

 眠り込んでしまって肩ベルトが肩から外れていたり、腰ベルトがおなかに掛かっていたり、シートベルトを引っ張り出して遊んだり、姿勢をくるくる変える幼児もいるでしょう。

 正しい着座姿勢が保てない幼児ならなおさら、できるだけ長い期間チャイルドシートを使用し、その後は背もたれ、ヘッドレスト付きのジュニアシートを使いましょう。

チャイルドシート/ジュニアの各社状況とは?(画像:JAMA)チャイルドシート/ジュニアの各社状況とは?(画像:JAMA)

 このように、様々条件やルールが存在するジュニアシート(チャイルドシート)でわかりづらい部分もありますので、簡単にまとめると以下の通りです。

 1.)ジュニアシートを含むチャイルドシートは年齢ではなく体格で選ぶ

 2.)座面だけのジュニアシートは体重22kg、身長125cmを超えてから使用する

 3.)これからジュニアシートを買うならISO-FIX固定式の背もたれ&ヘッドレスト付きで身長150cmまで使えるものを選ぶ

※ ※ ※

 シートベルトが安全に使えるのは身長145~150cm(11-12歳)を超えてからです。

 根拠は自動車メーカー各社が衝突安全性の評価をする際に使用する最も小さなダミー(AF05)が身長145cmの成人女性を想定していることにあります。

 大人と子どもでは肩幅や頭身などが異なるので、子どもの場合は身長150cmまではジュニアシートを使うことが安全です。

 自動車メーカー各社が用意する純正ジュニアシートもすべて身長150cmまで使うことを想定しています。

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