トヨタだけが唯一「新車販売」 タフデザインの「ピックアップ」 乗って分かった魅力とは
くるまのニュース / 2023年4月14日 8時10分
海外で人気の「ピックアップトラック」ですが、現在日本で新車購入できるのはトヨタ「ハイラックス」のみという状況です。ピックアップトラックにはどのような魅力があるのでしょうか。
■ピックアップトラックは荷台の使い勝手がバツグン
北米や東南アジアなどでは「ピックアップトラック」の人気が高く、さまざまなモデルが販売されています。
一方、日本国内では、かつては日産や三菱などもピックアップトラックを販売していたものの現在は撤退。2023年3月時点で、新車として販売されているのはトヨタ「ハイラックス」のみという状況です。
しかし最近はファッションのひとつとしてハイラックスに乗る若者も増えているといいます。ピックアップトラックはどのようなところが魅力なのでしょうか。
ピックアップトラックというと、「アウトドアアクティビティに適した車両」や「商用車のイメージ」のほか、「環境性能が悪い」といった話を聞くことがあります。
筆者(藤本敬太)は実際にピックアップトラックを6年ほど所有していましたが、乗用車では味わえない美点が存在していました。一体どのようなところが魅力なのでしょうか。
ピックアップトラックは荷物を運搬するために設計された車両であり、さまざまな目的で活躍できるクルマになります。
筆者がハイラックス(スポーツピックアップ ダブルキャブ/2.7リッターガソリン)を所有していた時、趣味のサーフィンに大活躍してくれました。
サーフィンでは浜辺で大量の砂が付着しますし、冬はフルウェットスーツなどを着用して海に入るので、車内にはたくさんの砂が入り込み、マットのすき間にまで砂が入って除去が出来ない状況でした。
しかし、キャビンと荷台が分かれているピックアップトラックを所有してからは、サーフボードやウエットスーツなどを荷台に直接積み込むことが可能になり、使用後の道具の清掃も荷台の上でおこなうことができました。
ピックアップトラックは外国人サーファー(おもに男性)からも人気が高く、「Cool car」「Stylish car」などと声をかけられることもしばしばあったほどです。
ほかにも、バーベキューなどをやったときはゴミの処理が問題になりますが、ピックアップトラックなら車内と荷室空間が完全に分離しているので、臭いなどが車内に侵入することが一切なく、持ち帰って処理することができました。
そして何より、ピックアップトラックはクルマとしての性能も素晴らしく、大型のエンジンや高いトルク、そして大きな荷台を備えていることから、普通の乗用車よりも頑丈で力強く、重い荷物を運ぶことができます。
また、4輪駆動やデュアルリアタイヤなど、オフロードでの走行や運搬能力の向上に必要な機能を備えているモデルもあります。
ナンバープレートは「1」または「4」の貨物車扱いになりますので、年間の自動車税も1万6000円と格安。ただし、車検を毎年受ける必要があります。
■頑丈なピックアップトラックのボディは事故時にどうなる?
ピックアップトラックは、頑丈なラダーフレームを使用した強固なボディを持っていることもメリットのひとつとされています。
筆者はハイラックス スポーツピックアップに乗っていたときに、相手側の不注意で事故に遭遇したことがあります。発進直後の国産コンパクトカーが左フロント側にぶつかってきたのですが、このときコンパクトカーは右フロントからタイヤハウスまでひどく損傷してしまいました。
再再販のウワサがあるトヨタ「ランドクルーザー70 ピックアップ」
一方、ハイラックスは相手車種のボディ塗装がフロントフレームに付着して少しヘコむ程度。ヘッドライトなどの破損もなくエアバック作動もありませんでした(コンパクトカーはエアバッグが展開)。
乗用車はモノコックボディでフレームとボディが一体となっていて強度を出します。そのため衝突時などはボディが凹むことで衝撃を吸収しているのですが、ピックアップトラックやトヨタ「ランドクルーザー」などの本格四駆が採用する「ラダーフレーム」は、フレームが外部からの衝撃を分散するため、耐久性が高く、過酷な環境下でも使用することが可能です。
事故時は、コンパクトカーは自走できないほどの損傷を負い、レッカー車が出動する事態になりましたが、ピックアップトラックは事故後も異常などはなく自走可能。いかに強固なボディを有しているかが分かると思います。
そんなピックアップトラックですが、街乗りや買い物などで使用するときは不便なこともあります。
車両の後端は荷台部分になることから、バック駐車をするときに後方が良く見えません。しかも、構造上車体後方が軽いことから、前方よりも後方が上がった状態で後退するため後方視認性はますます悪化します。
くわえて、全長5mを超える巨大なボディでは駐車スペースを確保するのにも苦労するほか、取り回しや対向車とのすれ違いで気を使うこともありました。
また、整備する時などは、プロペラシャフトのジョイント部分やリーフスプリングとボディの干渉部分の各所ニップルを介してグリスアップなどが必要になります。少し手間と時間がかかるという点も、ピックアップトラックのデメリットといえそうです。
※ ※ ※
ピックアップトラックは無骨なデザインがカッコ良く、頑丈なボディで安全性が高いところが魅力でしょう。
ワイルドな見た目から男性から支持されることも多いのですが、もちろん女性が乗っても非常にサマになるクルマです。
昨今主流の「エコカー」とは異なりますが、ピックアップトラックにはクルマとして唯一無二の価値があるのではないでしょうか。
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