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トヨタやホンダ販売店「車を買ったらもう1台プレゼント」を実施、なぜ? 各販売店が相次いで「新車プレゼント」 苦境に立つ中国事情とは

くるまのニュース / 2023年4月3日 7時10分

いまや世界最大の自動車市場と言われる中国ですが、実際の新車販売事情は芳しくない状況だといいます。そうした中、トヨタやホンダなどのディーラーでは「クルマを1台買ったらもう1台プレゼント」というとんでもないキャンペーンを打ち出しているようです。

■なぜ新車を買ったらもう1台新車がもらえるのか?

 いま、中国の新車販売事情は佳境を迎えています。新車の販売が低迷する中、自動車メーカーやディーラーは熾烈な値下げ競争を強いられています。
 
 そしてついに、「クルマを1台買ったらもう1台プレゼント」というとんでもないキャンペーンを打ち出すディーラーまでもが現れました。

 広東省深セン市に位置するとあるトヨタのディーラーでは「bZ4Xを1台購入するとヴィオスを1台プレゼントする」というキャンペーンを打ち出し、SNS上で大きな話題を呼びました。

 ヴィオス(中国名:威馳)は第一汽車とトヨタの合弁会社「一汽トヨタ」が中国で製造・販売するコンパクトセダンで、基本的な構造は日本で2020年まで販売されていた3代目ヴィッツと同じになります。

 ヴィオスは2020年のマイナーチェンジを最後に大きな外観の変更がなされていないため、見た目は少し古く、その影響か販売台数はそれほど多くありません。

 そのため、SNS上では「在庫処分ではないか」や「ヴィオスなんかもらっても嬉しくない」との声が多く見受けられました。

 ですが、このキャンペーンを打ち出したディーラーによると、キャンペーン用に用意された2台の枠は瞬く間に埋まり、キャンペーン終了日の2023年3月31日を待たずに開始数日のうちに終了したとのことです。

 また、このキャンペーンを打ち出したのはトヨタのディーラーだけではありません。

 広州汽車とホンダの合弁会社「広汽ホンダ」のとあるディーラーでは「CR-VのPHEVモデルを1台買うとライフ(フィットの姉妹車)を1台プレゼント」。

 東風汽車とホンダの合弁会社「東風ホンダ」では「ブリーズ(CR-Vの姉妹車)のPHEVモデルを1台買うとフィットを1台プレゼント」など、他社のディーラーでも同様のキャンペーンが展開されています。

 日系メーカーだけでなく、シボレーでは「ブレイザーを1台買うとキャバリエを1台プレゼント」。

 フォルクスワーゲンでは「ID.6Xを1台買うとラヴィダを1台プレゼント」などのキャンペーンをそれぞれのディーラー独自で展開しており、各社ともに売上を確保するのに必死な様子が見てとれます。

■クルマを貰うか、値引きされるか、、、中国の新車ディーラー事情が過激?

 ですが、これらのキャンペーンは思わぬ落とし穴があります。

 それが、通常の新車購入の際に受けられる値引きや割引が存在しないという点です。

 中国の新車ディーラーではこれまでよりメーカーの優遇措置に加えてディーラー独自の値引き策が存在していました。

 とあるディーラーでは通常19万9800元(邦貨換算:約384万3000円)のbZ4Xを、各種値引き策を適用させて11万3800元(約218万9000円)で販売するという例も存在します。

 このように、中国の新車販売において7万元(約135万円)から8万元(約154万円)レベルの値引きがあることは稀ではありません。

 そこで、ディーラーは割り引かれる額と同等の販売価格を持つ新車を購入時に1台プレゼントするというキャンペーンを打ち出したわけです。

 これにより、ディーラーは話題性に富むだけでなく、新車販売時の割引も行わなくて良いことに加え、購入者は新車が2台手に入れられるなど、さまざまな効果を生むわけです。

 ただ、このキャンペーンは各ディーラーで用意されている枠が少なく、せいぜい多くても3枠ほどです。

実際にウェイボー(微博)に掲載された「bZ4Xを1台購入するとヴィオスを1台プレゼントする」というキャンペーンの広告実際にウェイボー(微博)に掲載された「bZ4Xを1台購入するとヴィオスを1台プレゼントする」というキャンペーンの広告

 また、対象車種には限りがあり、どのメーカーのディーラーでも対象となっているのは「ラインナップの主力車種」に対して「人気がない低価格帯の車種」をプレゼントする形式を取っています。

「1台プレゼント」キャンペーン以外にも、中国の大都市では非常に高額な「ナンバープレート取得費用」をディーラーが無料で肩代わりするキャンペーンが行われている例もあります。

 これは広汽ホンダや広汽トヨタが自社のガソリン車を購入した客に対して行っている施策で、販売が低迷しつつあるガソリン車の販売促進を狙ったものとなります。

 また、最近では電動車で現在急成長中のBYDが、特定車種に対して「88元(約1700円)を払うと納車時の支払いから6888元(約13万2500円)を割り引く」といったキャンペーンも展開されました。

 このまま中国の新車販売台数が低迷続きとなれば、今後ますますディーラーは話題性に富んだキャンペーンを打ち出すことでしょう。

 その場しのぎの優遇政策は健全とは言えませんが、それほどディーラーが追い詰められているという状況の現れでもあります。

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