エンブレが「怖い」!? 多用するとクルマが「壊れる」は「誤解」! 意外と分かってない「エンジンブレーキ」の使い方とは
くるまのニュース / 2023年4月9日 19時10分
クルマのエンジンブレーキを効かせると、エンジンから「ブゥン!」と大きなうなり音が聞こえてきます。あまり多用すると壊れてしまったりすることはないのでしょうか。
■「ブゥン!」のうなり音に「びっくり」するドライバーも!?
坂道などでエンジンブレーキを効かせるため、シフトポジションを「B」や「L」レンジなどの低いギアに入れた途端、エンジンから「ブゥン!」と大きなうなり音が発せられます。
その大きな音から、クルマが壊れるのではないかと心配になる人がいるといいますが、実際にエンジンブレーキを多用すると、クルマが壊れてしまうことはあるのでしょうか。
長い下り坂を走行していると「エンジンブレーキ使用」という看板を頻繁にみかけます。
教習所でも習うはずのエンジンブレーキですが、街中などで短距離の走行が多い人のなかには、どういったことかよくわからないという人もいるといいます。
ガソリンエンジン車の場合、走行中にアクセルペダルを戻すとスピードが徐々に落ちていきます。これがいわゆるエンジンブレーキです。
MT車であれば2速、AT車は「B」や「L」レンジなどの低いギアに切り替え、より強くエンジンブレーキを効かせることで、車速を落とすことができます。
長い下り坂でエンジンブレーキを併用せずに、フットブレーキだけを使い続けることは、非常に危険な行為で、ブレーキの熱が上昇を続けて効きが悪くなる「フェード現象」や「ベーパーロック現象」を発生させる原因となります。
そのためブレーキを多用する必要のある走行では、できるだけエンジンブレーキを使ってフットブレーキの負担を減らすのが正しい運転方法とされています。
また、シフトダウンすることで大きなうなり音を発するのは、エンジンが高回転になるからであり、詳細な仕組みはここでは割愛しますが、強いエンジンブレーキが効いていることの証明でもあります。
ちなみにエンジンブレーキが効いているとき、一部のハイブリッド車では、下り坂での回生ブレーキでバッテリーの過充電を回避するため、燃料を使ってエンジンを回していることがありますが、ガソリン供給をカットしてエンジンを空転させていることから、基本的に燃費は悪くなりません。
自動車メーカーでエンジン開発を担当してきたエンジニアは次のように話します。
「開発部門では、エンジンやトランスミッションに関し、あらゆる動作確認と耐久性確認を念入りに行っています。
高速走行中にシフトアップやダウンを繰り返し行って、予期しない振動や不具合が生じないかを確認したり、あえて加速中にシフトダウンをしてエンジンブレーキを強く作動させるような「いじわる試験」などもしています。
こうして、あらゆる面で見落としがないように確認しているのです。
サーキットなどでの高速スポーツ走行ではなく、一般道での通常走行において、エンジンブレーキを多用したからといって、エンジンやトランスミッションが故障することはまずないといえます」
ただしこれらの話は、きちんとメンテナンスされていることが大前提となります。
メーカーが推奨しているエンジンオイル交換やフィルター交換サイクルを守り、定期的な車両整備が適切に行われていれば、よほど古いクルマでない限り、エンジンが壊れることはないようです。
ちなみに、高速走行中にうっかりシフトをLレンジ(一番低いポジション)に入れても、クルマ側が走行速度を確認して、エンジン上限回転(レッドゾーン)に入るようだと「ドライバーが誤操作をした」と判断し、Lレンジに切り替わらないように制御されます。
※ ※ ※
シフトダウンをためらって、長い下り坂をフットブレーキのみで走行することは大変危険です。
長い下り坂ではしっかりエンジンブレーキを使用して、走行するようにしてください。
アダプティブクルーズコントロールが搭載されているクルマであれば、車速を設定して定速走行するのも良いでしょう。
またクルマが重たくなる多人数乗車のときは、よりエンジンブレーキを意識した運転をするよう心がけてください。
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