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「救急車」は普通免許で運転できる!? 「はたらくクルマ」操るにはどんな免許が必要?

くるまのニュース / 2023年5月11日 20時10分

クレーン車や救急車、ターレに連節バスなど、「はたらくクルマ」を運転してみたいと、憧れている人も多いのではないでしょうか。そんなはたらくクルマを運転するには、どのような免許や資格がいるのでしょうか。

■日本の運転免許制度とは?

 救急車や消防車、路線バスやクレーン車など、「はたらくクルマ」はちょっと気になる存在です。機会があれば一度運転してみたいと思っている人も少なくないのではないでしょうか。
 
 といっても、はたらくクルマの多くは運転するのにそれぞれに応じた資格や免許が必要で、たとえ望んだとしても簡単に叶うわけではありません。

 では、いったいどんな資格や免許が必要なのでしょうか。それを知るにはまず日本の運転免許制度を理解する必要があります。

 クルマを運転する人は、当然ながら運転免許(以下、免許)を保有していることと思います。免許にはたくさんの種類があり、多くの人はいわゆる「普通免許」、正式には「普通自動車第一種免許」を取得しているでしょう。

 免許は名称の前半が「運転できるクルマの種類」を指し、後半は「運転の目的」を示しています。たとえば普通自動車第一種免許の場合、運転できるのは「普通自動車」になり、「第一種」という区分で運転の目的を表しています。

 運転の目的(区分)には3つの種類があり、「第一種」は一般的な目的で運転するための免許です。一般的という意味の解釈は難しいのですが、「第二種」が旅客運送、つまりお金をもらって人を運ぶ目的の免許で、もうひとつが「仮免許」という免許取得のための練習用の免許です。それらの目的以外が一般的ということになります。

 免許で分けられた運転できるクルマの種類は、現在は全部で9種。二輪車系の3つ「大型自動二輪車」、「普通自動二輪車」、「原動機付自転車」を除いた6種は以下の通りとなります。

●大型自動車
「車両総重量1万1000kg以上」、「最大積載量6500kg以上」、「乗車定員30人以上」のうちひとつでも条件に該当する自動車

●中型自動車
「車両総重量7500kg以上1万1000kg未満」、「最大積載量4500kg以上6500kg未満」、「乗車定員11人以上30人未満」のうちひとつでも条件に該当する自動車

●準中型自動車
「車両総重量3500kg以上7500kg未満」、「最大積載量2000kg以上4500kg未満」のどちらか、または両方に該当し、「乗車定員10人以下」の自動車

●普通自動車
「車両総重量3500kg未満」、「最大積載量2000kg以上」、「乗車定員10人以下」のすべての条件に該当する自動車

●小型特殊自動車
「全長4.7m以下×全幅1.7m以下×全高2.0m以下(ヘッドガードなど指定外のパーツに限り2.8mまで可)」、「最高速度15km/h以下」のすべての条件に該当する特殊な構造の自動車

●大型特殊自動車
小型特殊自動車の条件をひとつでも超える特殊な構造の自動車

※ ※ ※

 これらの車両にそれぞれ免許があるほか、750kgを超える他車をけん引する際に必要な「けん引免許」があります。もちろん他車をけん引するにはけん引免許だけでなく、けん引するクルマに応じた免許が必要となります。

 なお、二輪系と小型特殊には第二種免許は存在しません。また、仮免許があるのは大型、中型、準中型、普通の4つの免許のみとなります。

■はたらくクルマを運転するのに必要な資格や免許

 日本の免許制度を理解すると、はたらくクルマを運転するのに必要な免許がだいたい分かってきます。それでは実際にどんな免許と資格が必要なのかを見ていきましょう。

●救急車

 はたらくクルマの代表格ともいえ、街で見かける機会も多い救急車。道路交通法では「救急用自動車」と呼ばれ、「緊急自動車」のひとつとされています。

 緊急自動車とはいえ、単に運転するだけならその車両に応じた免許のみで運転することができます。ただし、サイレンを鳴らして緊急走行をするには、中・大型自動車なら普通自動車免許を取得してから3年以上、普通自動車なら取得後2年以上の期間が必要です。

トヨタ「ハイエース」の救急車(ハイメディック)トヨタ「ハイエース」の救急車(ハイメディック)

 実は救急車のおよそ9割がトヨタ「ハイエース」がベースのため、普通自動車免許のみで運転することが可能で、取得後2年が経過していれば緊急走行することも可能なのです。

 ただし、実際には消防庁や消防局では試験や研修を経て得られる独自資格を設けて、有資格者のみが運転することになっています。

●クレーン車

 クレーン車は移動式クレーンのひとつで、主に「トラッククレーン(通称ユニック車)」と、「ラフテレーン(ラフター)クレーン」、「オールテレーンクレーン」の3つに大別されます。

 共通しているのは、運転・操作には吊り上げ荷重が5トン以上のクレーン車なら「移動式クレーン運転士免許」が、1トン以上5トン未満なら「小型移動式クレーン運転技能講習」が、0.5トン以上1トン未満なら「移動式クレーンの運転の業務に係る特別教育」が必要なこと。

 公道を走るには「トラッククレーン」はその名称の通り、トラックをベースにクレーンを装備しているので、重量に応じて普通自動車免許~大型自動車免許のいずれか、「オールテレーンクレーン」は大型自動車免許、「ラフテレーンクレーン」は大型特殊免許が必要になります。

 なお「ラフテレーンクレーン」の約7割、「オールテレーンクレーン」はすべてが法令の基準、制限を超える大きさ、重さの車両のため公道を走るには「特殊車両通行許可」という、道路管理者からの通行許可を得なければなりません。

●連節バス

 車体が2両以上連なっているバスで、設備なしで車体を切り離せないことと、車両間に蛇腹の幌が備わり自由に移動できることがトレーラーバスとの違いです。

 バスを含む大型自動車は道路法で全長は最大12mまでと制限があるのですが、連節(連結)の場合18mまで許されるため、1台でより多くの人数を運ぶことができるのが特徴です。

 一見するとけん引免許が必要そうに思えますが、簡単に取り外しができないこともあって「1台」とみなされ、大型自動車免許で運転することができます。ただし、バスは旅客輸送のクルマなので第二種、つまり大型自動車第二種免許が必要になります。

 少々特殊な動きをするクルマのため、バス会社によっては独自の資格を設けたり、けん引免許の取得を義務付けているようです。

●トラクター

 農業の必需品ともいえるトラクターは特殊自動車に分類されます。公道で運転するには小型特殊自動車免許あるいは大型特殊自動車免許が必要なのですが、注意しなければならないのは小型特殊サイズなのに最高速度が15km/h~35km/hという「新小型特殊自動車」で、これを運転できる免許は大型特殊ということになります。

 なお、普通自動車以上の免許ならば小型特殊自動車は運転可能なので、小型特殊に収まるトラクターならばあらためて取得する必要はありません。

 また、大型特殊自動車運転免許には「農耕車限定」があり、トラクターやコンバインはこれで運転可能です。ただし、けん引タイプの作業機付きのトラクターは、さらにけん引免許が必要になります。

●ターレ(ターレー)

 市場などで荷物を運搬する車両で正式名称は「ターレットトラック」。小型特殊自動車にあたり、公道を走るには免許が必要になります。が、前述のように普通自動車免許以上を保有していれば小型特殊自動車免許は不要です。

※ ※ ※

 はたらくクルマを公道で運転するには、その車両の大きさや重さ、乗車定員、そして目的に応じた運転免許が必要で、加えてはたらくクルマらしく「仕事をさせる」には目的や作業にあわせた資格が必要というのが一般的です。

 また、クレーン車の多くは通行許可が必要だったり、私有地内で使用する小型特殊車両でも自動車登録しなくてはならなかったり、公道を走るには免許や資格以外の面でも手間やお金がかかることがあります。

 そうしたこともあり、はたらくクルマをプライベートで運転するのは、あまり現実的とはいえなさそうです。

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