軽ワンボックスボディに「7人乗り」!? 極小すぎ!「シエンタ」よりもミニマムな国産「超コンパクトミニバン」4選
くるまのニュース / 2023年5月3日 18時10分
狭い街中の道でも扱いやすい3列シートのコンパクトミニバンが人気ですが、1980年代から2000年初頭にかけて、軽ワンボックスカーの車体をベースにした極小ミニバンがあったことを覚えていますか。今回はそんな超コンパクトミニバン4選を紹介します。
■極小すぎでしょ! 小さいボディに3列シートを成立させたコンパクトミニバン
トヨタ「シエンタ」やホンダ「フリード」など、コンパクトなボディに3列シートを備えたミニバンは、取り回しの良さ・使い勝手の良さから、好調な販売を記録しています。
しかしこの市場が形成されるより前に、3列シートの小さなミニバンの中には、軽自動車のボディをベースにした極小モデルが存在したのをご存知ですか。
●コンパクトミニバンの先駆け! スバル「ドミンゴ」
国産超コンパクトミニバンの先駆けが、スバル「ドミンゴ」です。
スバルの軽商用車、4代目「サンバー」のバンモデル「サンバートライ」に、当時のコンパクトカー「ジャスティ」用1リッター3気筒エンジンを搭載して1983年に登場しました。1986年から排気量を1.2リッターに変更しています。
バンパーの大型化やモール類の装着で軽自動車規格(当時は全幅3.3m×全幅1.4m以内)をオーバーしていましたが、ボディそのものは「サンバートライ」と同一でした。
そのため非常にコンパクトでしたが、3列シートで2+2+3の配置での7人乗車を可能とするパッケージングを成立させています。
そんなドミンゴは、1980年代において唯一の1リッタークラスのワンボックスワゴンでした。
スバルお得意の4WDによって悪路走破性や登坂力も高く、当時旺盛だったレジャー需要や、狭あい路の奥にあるような宿泊施設の送迎用など一定の需要を満たすことに成功しました。
そして1994年に2代目へフルモデルチェンジ。ベースの5代目サンバーと同じくスクエアなボディによって居住性を改善したほか、トランスミッションにCVTも設定して、マニュアル車のみという初代の欠点を解消しました。
1996年には、ルーフが上昇してベッドスペースを生み出せる「アラジン」も追加されています。
いまブームとなっている車中泊仕様の先駆け的存在といえます。
●スズキは「エブリイ」をベースに3列シートのミニバンを開発
2代目ドミンゴは1999年に販売を終えましたが、同年、1リッタークラスの3列シートモデルとして、スズキが「エブリイ+(プラス)」をリリースしました。
4代目からセミキャブオーバーのミニバンスタイルとなった軽ワンボックスワゴン「エブリイ」がベースで、エンジンは、1.3リッター直4エンジンに換装されていました。
エブリイプラスは、エブリイに比べ車体外寸が全長280mm、全幅30mmとそれぞれ大きくなりましたが、長さはフロント部の延長、幅に関してもホイールアーチを広げて生まれた数値のため、ホイールベースや室内幅自体は軽のエブリイと同じです。
しかし7人乗りができることはアドバンテージで、コンパクトなミニバンとして重宝されました。なお2001年のマイナーチェンジでは、車名を「エブリイランディ」に変更しています。
ところでエブリイプラスは、スズキのインド法人「マルチ・スズキ」により、2010年から「イーコ(EECO)」として販売され、高い人気を誇っています。
イーコでは商用バンモデルも用意しており、2023年2月23日には、累計販売台数1000万台を突破したことをマルチ・スズキが発表しました。
●トヨタでも軽自動車ベースのコンパクトミニバンを売っていた!?
スズキのライバルであるダイハツも、2000年に「アトレー7(セブン)」を発売しています。
こちらもその名前から想像できる通り、同社の軽ワンボックスワゴン「アトレー(4代目)」に1.3リッター直列4気筒エンジンを載せ、7人乗りとしたモデル。
ボディの幅自体はアトレーと同じで、数値拡大分が付加部品(モール)によるのはエブリイプラスの手法と同じですが、アトレー7では、リアタイヤから後ろを延長する方法で車内空間を広げており、特筆に値します。
それに応じてフロントバンパーも大きく造形され、アトレーよりも力強いイメージを得ていました。
またアトレー7では、軽自動車をベースとした1リッタークラスワゴンで唯一、商用モデルの「ハイゼットグランカーゴ」を用意しており、イギリスにも「エクストール(Extol)」という名前で輸出を行っていました。
さらにアトレー7は、トヨタでも「スパーキー」として販売。トヨタでは最小クラスのミニバンでしたが、価格設定がアトレー7よりも高額だったこともあり、販売は苦戦しました。
●三菱の「タウンボックスワイド」は6人乗り!
三菱も、軽ワンボックスワゴン「タウンボックス」に1.1リッター直列4気筒エンジンを搭載、ボンネットの延長・オーバーフェンダーの採用で車体サイズを大きくした「タウンボックスワイド」をカタログに載せていました。
1999年に発売された同車は、7人乗りではなく2+2+2の6人乗り。しかも3列目は跳ね上げ式で、かつ観光バスの補助席のようなつくりと、実質的には緊急用ともいえる仕様のため、エブリイプラスやアトレー7と比べると、やや商品力の低さは否めませんでした。
三菱「タウンボックスワイド」の3列目席は写真の通り「補助席」のような小ささでした
このように3メーカーから揃った、軽自動車ベースの1リッタークラスミニバン。
しかしエブリイプラスは6年、アトレー7は3年、タウンボックスワイドに至ってはわずか2年しか販売されず、しかも、いずれにも後継モデルは現れていません。
これは、軽自動車ベースのため室内空間・走行性能に限界があったことと、1990年代末からトヨタ「カローラ スパシオ」「シエンタ」など、小型車ベースの3列シートモデルが続々と誕生しはじめたためです。
生産が終わって20年ほど過ぎたジャンルですが、狭い街中でも扱いやすい超ミニマムな3列シートミニバンとしての魅力があるのも確か。今後、同様なモデルが登場することを密かに期待したいところです。
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