トヨタ「センチュリー」の「ボディカラー名」全部“漢字”付き! 神威に摩周?どんな意味? “最上級セダン”に設定された「極上塗装」の秘密とは
くるまのニュース / 2023年4月30日 19時10分
トヨタが誇る最上級セダン「センチュリー」。2018年に登場した現行型(3代目)のボディカラーは4色のみですが、その色名には「神威(かむい)」「飛鳥(あすか)」といった漢字の名前が採用されていることをご存じでしょうか。しかも、最上の技術を用いて塗装が行われているのです。今回はセンチュリーに用いられるユニークな“ボディカラー名”と“塗装の技術”について紹介します。
■トヨタ「センチュリー」のボディーカラー名は全部漢字?
クルマを彩り、イメージを方向付けることもあるボディカラー。その名前は、「ダークレッドマイカメタリック」「プレシャスブラックパール」のようにカタカナが多いですが、一部の車種には漢字を使う場合があり、トヨタ「センチュリー」はまさにその代表格です。
2018年にデビューした現行型は、ブラック系の「神威(かむい)」、シルバー系の「精華(せいか)」、ブルー系の「摩周(ましゅう)」、そしてレッド系の「飛鳥(あすか)」の4色が設定されています。
これらの名前だと色のイメージが分かりにくいですが、正式な色名は、漢字の名前の後にそれぞれ「エターナルブラック」「レイディエントシルバーメタリック」「シリーンブルーマイカ」「ブラッキッシュレッドマイカ」というカタカナの名前(英語名)が付くため、どのような色か見当をつけられます。
また、センチュリーといえば、車体内外装に施された「徹底的に丁寧な仕上がり」で知られるクルマです。
トヨタ自動車東富士工場で生産されるセンチュリーは、生産方法自体が通常のクルマと異なっており、工場内に「センチュリー専用工房」を用意。生産ラインでの流れ作業ではなく、熟練作業者による部品の組み付け・手作業による調整が行われているため、1日3台の生産が限度です。
そんな“こだわり”は、センチュリーのユニークな色名を持つ塗装にも、もちろん貫かれています。通常のクルマは、塗膜は「電着」「中塗り」「ベースカラー」「クリア」の4層が基本ですが、センチュリーは、さらにこの上に「ベースカラー」「カラークリア」「トップクリア」が重ねられ、合計7層で仕上げられています。
しかも、塗装面の小さな凹凸を流水で研ぎ、均一な面に整える「水研ぎ」と呼ばれる作業を、塗装の間に3度行います。そして最後は「鏡面磨き」により、驚くほどツヤツヤしたボディを実現しています。
そのため、塗装の工程だけで1台あたり約40時間かかるといいます。参考までにトヨタの高級ブランド「レクサス」は、水研ぎは1回のみとのこと。いかにセンチュリーの塗装が凝っているのかが伺えます。
■色名の漢字にはどんな意味がある?
現行型を包む4色の名前をそれぞれ見てみたいと思います。
まずは「神威(かむい)」。読んで字のごとく「神の威光」を意味し、アイヌ語で「最上位の神格を有する霊的存在」を示します。センチュリーの圧倒的に美しい黒にふさわしい、威厳あるネーミングと言えましょう。
トヨタ「センチュリー」は車体内外装に施された「徹底的に丁寧な仕上がり」で知られるクルマです
そして「精華(せいか)」は、「そのものの本質、真髄、優れている点」「華やかで美しい」などの意味があります。
「摩周(ましゅう)」は、北海道にある摩周湖の深い青「摩周ブルー」のイメージにぴったりです。
最後の「飛鳥(あすか)」は、奈良県明日香村を中心としたエリア。現在の大阪府羽曳野市付近にあった飛鳥(河内飛鳥)と混同しないようにするため、河内飛鳥を「近つ飛鳥」、奈良の飛鳥を「遠つ飛鳥」と呼び区別しています。飛鳥を象徴する「キトラ古墳」の壁画に描かれた四神の「朱雀(すざく)」は赤い鳥のため、レッド系のボディカラーを連想させます。
いずれも神秘的な響きと美しさを表す言葉のため、日本の最高級車センチュリーに、まさにふさわしい名称ではないでしょうか。
※ ※ ※
センチュリーは、先代の2代目もすでに「神威」「摩周」「精華」がカタログに掲載されており、さらに「瑞雲(ずいうん・デミュアーブルーマイカメタリックモリブデン)」、「鸞鳳(らんぽう:グロリアスグレーメタリックモリブデン)」の2色を設定していました。
ただし、同じ色名でも、「神威」のカラーコードは、2代目が「202」で、現行3代目が「225」となっており、同じ黒色でも実際には違う塗料が使用されています。ちなみにカラーコード「202」は、「ブラック」という名称で「アルファード」や「ヴォクシー」などにも塗られています。
なおセンチュリー以外にも、ボディカラーに漢字の名前を用意したクルマはほかにもありました。そのひとつが、スバルが2003年から2010年まで販売していた軽乗用車「R2」です。
厳密には色名そのものではなく「イメージ」として和名を記したものですが、「ピュアホワイト」には「雪白(せっぱく)」、「ピスタチオグリーン・オパール」には「松葉(まつば)」など、全11色すべてに美しい和名を付記していました。
心地良い響きの和名は、クルマの世界ではあまり用いられません。今後、日本製という個性を出すために、採用例が増えていくことを期待したいです。
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