レクサスが新型「高級ミニバン」を発売! まさかの高級セダン「初代セルシオ」と共通点が… 豪華内外装だけじゃない2代目「LM」とは
くるまのニュース / 2023年4月21日 7時10分
2代目となるレクサスのミニバン(MPV)新型「LM」が世界初公開されました。豪華な機能装備が注目されていますが、「『心地よく感じる自然な静けさ』という“静粛感”」も大きな魅力となっています。かつて販売されていた「トヨタ・セルシオ/レクサス・LS)」との共通点には、どのようなものがあるのでしょうか。
■新型LMの注目ポイントは、静粛性にある
2023年4月18日、レクサスは上海モーターショーにおいて、新型「LM」を発表しました。
豪華な機能装備が注目されていますが、「『心地よく感じる自然な静けさ』という“静粛感”」も大きな魅力となっています。
その内装からして凄さが分かる! 新型「LM」の豪華内装
近年、日本や中国を中心としたアジア地域では、ミニバンをショーファードリブンカーとして利用するユーザーが増えています。
日本ではトヨタ「アルファード」の一強状態が続いている高級ミニバンというカテゴリーですが、中国では現地メーカーなどが続々と新型車を投入しており、競争が激化しています。
新型LMについて、実際にレクサスプレジデントの渡辺氏は「中国ではアルファードをまねてキャッチアップしているローカルメーカーが多いなと思う。ミニバンでの競争が始まっている。新型LMは、日本で独自性をもって発展してきたMPV(日本でのミニバン)をレクサスというラグジュアリーブランドが、ミニバンの知見を活かしてその価値を提供するモデルです」と語っています。
そんな新型LMは、ライバルを圧倒する豪華な装備を備えています。
特にショーファードリブンに特化した4人乗り仕様のモデルでは、前席と後席を独立させる昇降式パーティションや48インチの大型ワイドディスプレイが用意されるなど、これまでの高級ミニバンのイメージをさらに上回る「超高級ミニバン」です。
一方、新型LMでは、こうした豪華な機能装備だけではなく、静粛性の向上にも多くの工夫が施されています。
「素に戻れる移動空間」をコンセプトにしたという新型LMでは、車外の音を徹底的に遮断するのではなく、あくまで「『心地よく感じる自然な静けさ』という“静粛感”」にこだわったといいます。
たとえば、ルーフヘッドライニングの積層構成を見直し、あえて非吸音化することで心地よい静粛性を実現しました。
上海モーターショー2023で世界初公開された新型「LM」
もちろん、ロードノイズや風切り音といった不快感を感じやすい騒音については、タイヤ周辺やボンネット、ピラー周辺への防音対策に加えて、アコースティックガラスの採用などによって低減が図られています。
新型LMのチーフエンジニアである横尾貴己氏が「どんな豊かな装備や機能があっても、クルマとしての素性が良くなければ乗員が快適に過ごすことはできません」と話すように、高級車とは自動車メーカーが持つさまざまなノウハウなくして完成しえません。
その点、1989年の創業以来多くの高級車を提供してきたプレミアムブランドのレクサスによる新型LMは、豪華な機能や装備以上に、心地よい静粛性という点でライバルを凌駕できる可能性を大いに持っていると言えるでしょう。
■静粛性を強みに北米を席巻した「LS」の再来なるか?
そもそも、高級車に対して静粛性という価値を持たせたのは、ほかならぬレクサス自身でした。
1980年代、低価格かつ高品質であることを武器に、当時の世界最大市場である北米を席巻していたトヨタですが、高級車市場では欧米の自動車メーカーの後塵を拝していました。
そこでトヨタは新たにプレミアムブランドのレクサスを立ち上げ、1989年に満を持して北米の高級車市場へと参入を果たします。
レクサス「LS(日本ではトヨタ・セルシオ)」
その際、記念すべき初のモデルとなったのが、高級セダンである「LS」です。
このLSが高く評価されたことでレクサスは現在の地位を築いたわけですが、その大きな理由は「静粛性」という新たな価値観を提供したことにあると言われています。
当時の高級車は、大柄なボディとそれを動かすパワフルな大排気量エンジン、豪華絢爛な内外装などがおもなアピールポイントとなっており、静粛性が強みとされることはそれほど多くはありませんでした。
一方、LSの日本仕様である「トヨタ・セルシオ」の当時のプレスリリースを見ると「超静粛性を達成」や「超一級の静粛性」といった表現が随所に見られるなど、静粛性を最重要課題のひとつにおいていたことがうかがえます。
一説によれば、静粛性を重視するのは日本人ならではの感性といいます。
実際、自然素材が多く用いられたLSの室内空間はまるで静寂に包まれた茶室のような趣きであり、それは現行LSにも引き継がれています。
レクサスの「現行LSの後席」
現在世界最大の自動車市場となった中国では、多くの新興メーカーによる高級ミニバンを見ることができます。
たしかに、それらの多くが豪華な装備や先進的な機能を持っており、ユーザーにとって魅力的な存在となっているのも事実です。
ただ、そうした高級ミニバンを提供する新興メーカーたちが、静粛性という価値に気が付いているのかははなはだ疑問です。
あるいは、もし気付いていたとしても、レクサスのような積み重ねてきたノウハウがないため、新型LMほどの快適な静粛性は実現できないかもしれません。
静粛性という新たな価値をもったLSによって北米市場を席巻したレクサスが、快適な静粛性を持つという新型LMによって、中国でもイニシアチブをとることができるのかに注目が集まります。
※ ※ ※
新型LMの公式動画では、車内の静けさが石庭のそれのように表現されています。
こうした点から見ても、新型LMが日本的な感性を強みにしていることがうかがえます。
なお、新型LMは2023年秋にも「4座仕様」が日本市場に導入されることが明らかにされています。
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