感謝の気持ちがトラブルに? 「ありがとうクラクション」は地域により意味異なる危険も! 厳密には違反なワケ
くるまのニュース / 2023年4月30日 14時10分
クルマを運転する際、感謝を伝えるためにクラクションを鳴らすドライバーがいます。しかし、これは厳密にいうと交通ルールの違反に該当するおそれがあります。
■クラクションを使ってよいのは危険を防止するときだけ?
運転中に進路を譲ってもらった時などにクラクション(ホーン)を鳴らすドライバーがいます。
しかし、これは厳密にいうと交通ルールの違反に該当するおそれがあるといいます。
挨拶や感謝の気持ちを伝えるため、クラクションを鳴らす人がいます。
相手にも挨拶や感謝の気持ちを伝えていることがわかることがほとんどのため、一見気持ちよい運転マナーを守れているようにも感じられます。
しかし、厳密にいうと、これらの使い方はクラクションの正しい使い方とはいえません。
クラクションは、道路交通法上では「警音器」と呼ばれ、運転中に危険を察知した場合にすぐに警告ができるように設置されたものです。
そのため、クラクションは危険を防止するときだけ使用が認められています。
道路交通法第54条第1項では、「車両等の運転者は、次の各号に掲げる場合においては、警報器を鳴らさなければならない」として、クラクションを鳴らさなければならないときの状況について以下のように定められています。
「左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかどまたは見とおしのきかない上り坂の頂上で道路標識等により指定された場所を通行しようとするとき」
「山地部の道路その他曲折が多い道路について道路標識等により指定された区間における左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上を通行しようとするとき」
つまり、クルマがいることを確認しにくい状況で、周囲に存在を気付かせるためにクラクションを鳴らす必要があります。
一方で、道路交通法第54条第2項では以下のようにも定められています。
「車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない」
※ ※ ※
では、信号待ちの際に、「前方の車両が進行していないため、後続車がクラクションを鳴らす行為」は違反に該当するのでしょうか。
首都圏の警察署の担当者は、信号待ちにおけるクラクションについて以下のように話します。
「信号待ちは、クラクションを鳴らさなければいけない危険な状況とは考えられないため、基本的には違反に該当します。
しかし、『信号が青になっているのに前方車が動かず、交通に危険が及ぶ可能性がある』と判断した場合は、クラクションを鳴らしても取り締まりを受けることはありません。
ただし、進路を譲り合う際のクラクションは地域によって『お先にどうぞ』、『譲ってくれてありがとう』など異なることがあるので、良からぬトラブルの原因にもなりかねません」
万が一、違反として取り締まられる場合には「警音器使用制限違反」が適用され、違反点数は加算されませんが、車両を問わず3000円の反則金が科せられます。
■適切なとき以外にクラクションを鳴らしてしまうと違反になる?
クラクションは、あくまでの危険を防止するときのみに使用できるものです。
適切なタイミング以外で使用してしまった場合は、トラブルのもとになることも考えられます。
そんな不用意なクラクションによるトラブルのひとつには、「あおり運転」が挙げられます。
SNSでは、「エンジンブレーキで減速したら後続車から距離詰められてパッシングとクラクション鳴らされた」、「運転してたらクラクション鳴らされて怖かった」、「昨日クラクション鳴らされて煽られた」など、クラクションによるあおり運転で辛い思いをしたというユーザーが多く見られます。
クラクションの音は捉え方によって意味が変わることも!
ドライバーがクラクションを鳴らすことによって感謝の気持ちを伝えたり、挨拶をしているつもりであっても、クラクションを鳴らされた本人にはあおり運転と勘違いされる恐れがあります。
実際に、クラクションを鳴らされたドライバーが腹を立ててクルマを降り、相手のクルマを傷つけたり暴行したりする事件が起きたことも発生。
このことから、やむを得ない状況以外ではクラクションの使用を控えたほうがよいといえます。
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