人気の「車中泊」は身体リスクもある? 気にすべき「エコノミークラス症候群」 流行りと災害で注目される安全な過ごし方とは
くるまのニュース / 2023年4月27日 9時10分
アウトドアやキャンプなどの人気に比例して注目される車中泊。さらには、多発する自然災害などで「車中泊避難」としても注目されています。しかしながら、車中泊には様々なリスクが存在するといいます。
■車中泊ブーム到来!しかし、さまざまなリスクも
昨今、アウトドアやキャンプなどの人気に比例して、ホテルや施設などを予約する手間などが無い気軽さにより車中泊をする人も増加傾向にあります。
また、多発する自然災害などで「車中泊避難」としても注目されていますが、車中泊には様々なリスクが存在するといいます。どのようなことに気をつけるべきなのでしょうか。
最近では車中泊ブームにより、ホテルの料金を抑えるために車中泊をしたりソロキャンプをする際にテントではなくクルマの中で寝たりする人が増えてきているようです。
そんな車中泊ブームのなかで、適切な広さと高さを持ち、段差や隙間が少ないフラットシートにリクライニングできるクルマの人気が急上昇していますが、なかでもトヨタ「ハイエース」、「タウンエース」や日産「キャラバン」、「NV200 バネット」が注目を集めているようです。
一方でそんな車中泊は、レジャーのアウトドアだけではなく、避難場所としても活用されています。
実際に愛知県豊田市では、過去の災害事例である熊本地震において建物内への避難ではなく車中泊を選択される人がいたという事例を取り上げ、2022年に「車中泊避難ハンドブック」を作成しています。
トヨタでは特設サイト「トヨタ災害復旧支援」にて、「今、車中泊避難が必要な方へ」という内容を公開。この中では「災害によるクルマでの避難生活はエコノミークラス症候群や熱中症、一酸化炭素中毒など健康被害を伴いやすく、大変危険です」と注意喚起しています。
車中泊避難の生活における注意点として「人目があり平坦で換気ができる安全な場所に駐車し、エンジンは停止してください」、「排気管まわりに、障害物や可燃物がないか注意してください」、「ドアはロックし、電気製品は、注意事項を守ってご使用ください」、「定期的に避難所や行政の情報を得るようにし、自治体の支援を活用しましょう」という内容も発信しています。
さらに車中泊避難での身体的リスクとして「エコノミークラス症候群」というものが挙げられています。
実際に気をつけなければならないことについて、日本各地でキャンピングカー事業を展開している担当者は「車中泊避難を行ううえで、特に注意が必要な点は『エコノミークラス症候群』です。車中泊では足を十分に伸ばせる空間づくりが重要です」と話しています。
エコノミー症候群とは、食事や水分を十分に摂らない状態でクルマなど狭い座席に長時間座ったままの姿勢でいることで足の血流が悪化し、血栓ができて肺の血管を塞いでしまい、肺塞栓などを誘発するおそれがあるものです。
発症すると呼吸困難や胸の痛み、最悪の場合は死に至るケースもあるといい、とくに妊婦や持病を持っていたり大きなケガをしていたりする人は発症のリスクが高いとされています。
また、車中泊避難には熱中症や低体温のほか、誤嚥性肺炎など、さまざまな症状を引き起こすリスクがあります。
■安全安心に車中泊をする方法
では、車中泊避難においてこのようなトラブルを引き起こさないためには、どのような対策を取る必要があるのでしょうか。
前出の担当者は、以下のように話します。
「たとえば、エコノミー症候群は、食事や水分を取らず長時間同じ姿勢で座っていることで発症します。
そのため、車内の空間をできる限り広くしたり、こまめなストレッチ、適度な水分補給や食事を取る必要があります。
また、熱中症や低体温症は、車内の適度な温度を保ったり、服装で調整したりするなど、さまざまな対策を実施することによって、対処することができます」
最近ではキャンプ場で車中泊する人も多いというが…車中泊自体のリスク以外にマナーも問題視されているという(画像はホンダ「ステップワゴン 車中泊仕様」)
エコノミー症候群を発症させないためには、4、5時間ごとに歩いたりかかとの上げ下げをして運動するのが望ましいです。
ときどき、ストレッチや体操などをしてからだの筋肉をときほぐす必要があります。足の指でグーをつくり、その後指の間をひらく運動も効果的です。
ほかには、こまめに水分を摂って、アルコールやたばこは控えるのがよいとされています。そして、寝るときは足をあげて、ゆったりとした服装をし、ベルトをきつく締め付けないようにします。もしあれば、着圧ソックスの着用も望ましいです。
また、車中泊に適したクルマに乗っておくのも重要なポイントになります。通常、クルマ選びは、見た目のよさや運転のしやすさなどを重視するかもしれませんが、そこに災害時に車中泊するときの快適さも加えてみるとよいでしょう。
快適に寝るためには、段差や隙間が小さく、地面に対して水平にできるフラットシートに変えることができるクルマが適しています。
そのほか、日差しや周りからの視線を遮ることができるサンシェードやタオルなどもあると便利です。
東日本大震災後、防災グッズを常備している人も増えてきたようですが、避難先としてクルマを選び、車中泊する可能性も考慮しておいてもよいかもしれません。
※ ※ ※
くわえて、前出の担当者はそのほかの注意点について「キャンピングカーにはポータブルバッテリーが設備されているため、しばらく乗っていない場合過放電になる可能性があります。そのため、普段からキャンピングカーを使用したり、バッテリーの残量を確認するなどの対策を行いましょう」と話します。
人気になりつつある車中泊ですが、気軽に出来るという反面様々なリスクも潜んでいるため、事前に最低限の知識やマナーを覚えておくほうが良いでしょう。
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