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なぜ「10速MT」存在しない?「6速」が限界? ATは「多段化」するのに乗用車のMTが多段化しないワケ

くるまのニュース / 2023年4月30日 18時10分

昨今は9速や10速のATが登場するなど多段化が進んでいますが、MTに関してはほとんどが6速までとなっています。MTの多段化が難しいのはなぜなのでしょうか。

■MTが10速まであったら操作が面倒?

 近年、2ペダルのクルマが新車販売のほとんどを占めるようになり、日本ではCVTの人気が高いのですが、世界的にはギア数の多い多段AT(オートマチックトランスミッション)が増えてきています。
 
 かつては2速から始まったATも今では6速は当たり前で、なかには9速や10速という超多段なものも存在するほどです。

 その一方、MT(マニュアルトランスミッション)は、3速の時代を経て4速と5速の時代が長く、日本製の国内向け乗用車として6速MTが初めて登場したのは、1993年に登場したトヨタ3代目「スープラ(80系)」でした。

 その後もMT車の多段化は遅々として進まず、6速を超えるギア数を持つのは7速MTを搭載したシボレー「コルベット」とポルシェ「911」程度となっているのが現状です。

 過去を振り返ると、AT車よりもMT車のほうが多段な車種が多かったにもかかわらず、現在ではそれが逆転してしまっています。MTの多段化が6速でほぼ打ち止めになっているのはなぜなのでしょうか。

 そもそもトランスミッションを多段化する最大の理由は、ギア比を細かく刻むことで変速後のエンジン回転数の変化を小さくすることができ、滑らかな走行や高い静粛性を実現することができるからです。

 また最近のエンジンは最大トルクを発生する回転数域(トルクバンド)を広くもってはいるものの、燃焼効率の良い回転数はある程度決まっており、燃費性能を高めるためにも多段化が有利になるというのも理由のひとつです。

 この理屈を考えると、MT車でも多段化をしたほうがメリットは増えるように思えますが、MT車の場合は「クラッチを切ってシフトチェンジして再びクラッチを繋ぐ」という操作がドライバーに求められることになります。

 もしMTもATのように8速や10速のように多段化が進むと、当然ながらシフトチェンジ操作を頻繁にしなければならず、最初のうちは楽しく感じるかもしれませんが、やがてその操作を億劫に感じてしまうのは間違いないでしょう。

 さらに近年のATのように素早く正確な変速が常にできないと、むしろ変速時のロスのほうが大きくなりかねず、多段化のメリットが皆無となってしまうのです。

 そして通常のMTを多段化するとなると、その分だけギアの枚数が増えることになり、トランスミッション自体の全長が長くなってしまうという物理的な問題もあるため、乗用車向けのMTは現在でも6速が主流となっているといえるのです。

 ちなみに、大型トラックなどには副変速機を用いた12速や16速といった超多段MTも存在していますが、こちらは空荷とフル積載で全体の重量が大きく異なるためで、必要十分なトルクを確保するために細かくギアが刻まれています。

 そのため、頻繁なシフトチェンジが必要となるわけですが、大型トラックはプロドライバーが操ることもあり、乗用車にはない超多段MTが採用されているのです。

 とはいえ、近年は大型トラックも多段MTよりも快適で、ドライバーへの負担が減る多段AT車が増えてきています。

 しかし、これも変速時の空走時間がネックとなっており、MTでもATでも多段トランスミッションはいかに変速ロスを減らすかが今後の課題となりそうです。

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