1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ

「東京都!」なぜ主張する? 道路沿いに現る標識…意味は? 水曜どうでしょうで話題の「カントリーサイン」とは

くるまのニュース / 2023年5月21日 14時10分

「行政境界標識」や「市町村案内標識」というもので、都道府県や市町村といった、行政の境目に立てられています。どんな意味があるのでしょうか。

■都道府県の境目や市や区の境目にある標識の理由は?

 クルマを運転していると、時折目に入るのが「○○県」や「○○町」といった案内標識。
 
 この標識は、「行政境界標識」や「市町村案内標識」というもので、都道府県や市町村といった行政の境目に立てられていますが、どのような意味があるのでしょうか。

 管轄しているのは、国道の場合は国土交通省、都道府県道の場合はそれぞれの都府県庁が担当しており、区や市町村道には、基本的に立てられていません。

 この案内標識は昭和25年3月から全国で導入され始め、昭和61年10月からは標識に都道府県、市町村のマークを入れてもいいことになりました。

 こういった案内標識は全国各地の主要幹線道路に設置されていますが、初めて走る場所ならいざ知らず、普段走り慣れている地域では気にすることすらありません。

 しかも、昨今はカーナビやスマホの地図アプリで自車位置を確認することができ、音声案内でも知らせてくれます。

 こうなると、わざわざ案内標識を立てるメリットがそれほどないように思われます。

 そこで、この案内標識の関係各所に聞いてみました。

 まず連絡したのが国土交通省。担当者は次のように語ります。

「行政の境界を示す案内標識は、ドライバーに自分がどこを走っているのかを知ってもらうために設置しています。

 またドライバーだけでなく、歩行者にも自分の位置を知ってもらえるという目的があります」

 また東京都道路局の担当者も基本的には同じような回答でしたが、「現代の自動車事情の中での意義については、あくまでも自分のいる位置の確認に役立つから」ということでした。

 その後も多くの自治体や道路管理者に取材を試みましたが、「いまカーナビがありますからね」と返されることがほとんどでした。

 中部地方に住む、65歳以上の高齢者ドライバー数名にも話を聞いてみました。

 ここでも「最近はカーナビがあるから、見過ごしていることが多い」という意見が圧倒的。

「平成の市町村大合併の直後は、その地域の自治体や住所を知るのに役立ちましたが、今となっては居住地域の近隣事情を知らない人はいません。

 やはり、見知らぬ土地から来た人が、直感的にここがどこかを知るのに役立っているくらいではないでしょうか」(行政境界の近くに住むドライバー)

■実は役になっているという人も? どんな人?

 一方で、都市部ではこんな人たちに役立っていることが分かりました。

 それは、自転車などでシェアリングデリバリーに従事している人たちです。

 東京23区エリアでデリバリーをしている配達員は次のように語ります。

「デリバリーのリクエストを受けたら、会社の専用アプリを見ながらルートを走っていきます。

 このマップはGoogleマップで最初に配達場所の住所が出るのですが、注文をどんどん取っていると、いつの間にか行政境界をいくつも越えていることがあります。

 気がつくと、自宅から遠く離れてしまい、帰宅するのに苦労することがあります。

 走っている時に案内看板を見ることで、『そろそろ自宅方面に戻らないと…』と気づくには役立ちますね」

フードデリバリーサービスなどの配達員は「役に立つ」というフードデリバリーサービスなどの配達員は「役に立つ」という

 またこうした事例以外でも、スマホを持っていないという高齢者で、自転車や徒歩で移動する際に役立つという人が何人かいました。

 単なる行政境界標識や市町村案内標識が移動時の役に立つという例は稀でしたが、イラスト付きの案内標識については概ね好評のようです。

 再び、地方に住んでいる高齢者ドライバーに聞きます。

「自分の居住地域のことはよく分かっていても、少し離れた町や村のことは意外と知らなかったりします。

 ですので、案内標識のイラストを見ることで『ここにはこんな特産物や観光スポットがあるんだ』と分かることがありますね」

 こうしたイラスト付きの案内標識を「カントリーサイン」といいます。

■「水曜どうでしょう」一躍有名となった「カントリーサイン」とは…

 平成2年から北海道限定で、各市町村の名所や特産物のイラストを描いたカントリーサインが導入され始めました。

 カントリーサインの設置目的は、北海道をクルマでロングドライブするドライバーにどこの市町村に入ったかを知らせ、同時に観光振興を促すためです。

 北海道はひとつひとつの行政管轄地域が広大で、しかも179市町村もあることから、その利用価値は道内のドライバーにあります。

 また、四季を通じて観光客が多い土地柄でもあることから、観光振興の点でも大きな効果があるでしょう。

札幌市のカントリーサイン 画像:国土交通省北海道開発局札幌市のカントリーサイン 画像:国土交通省北海道開発局

 北海道での観光振興の実績にならって、カントリーサインと同様の案内標識が全国に広がりつつありますが、なぜか関東6都県にある案内標識のイラストは、ほぼ区市町村のマーク。

 少し離れた山梨県や長野県には、イラストの入った標識があります。

 国交省の関東地方整備局にその理由について問い合わせてみましたが、期限までに明確な回答はありませんでした。

 おそらくですが、関東6都県を走っていると観光スポットの方向と距離を示す別な案内標識を設置しているケースが多いため、敢えて市町村案内標識にイラストを加える必要がないのかもしれません。

 筆者もクルマでのドライブやオートバイツーリングを頻繁に行っており、イラスト付きの案内標識からは得る情報には有益さを感じますが、ただ市町村が書かれている標識では「県境を越えた!」くらいの感慨しかありません。

 なにしろ制定が昭和25年と古い案内標識ですから、今日のようなGPSを使った技術がその存在価値を覆すような事態は予想がつかなかったのでしょう。

 こうした標識も、新たな価値観で見直す必要があるのかもしれません。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください