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ヤマハが次世代モビリティ「Town eMotion」で描く姿とは!? 4輪車プロジェクト「凍結」を乗り越えた先に見据えた「未来」を探る

くるまのニュース / 2023年5月8日 20時10分

かつて4輪車への進出も真剣に検討されていたというヤマハ発動機(ヤマハ)ですが、現在そのプロジェクトの多くは凍結されたようです。いっぽうで現在「Town eMotion」と銘打った研究が行われています。

■オートバイから自転車、ボートまで! 様々な分野で活躍するヤマハ

 イオンモールつくば(茨城県つくば市)で2023年4月22日、様々なモビリティの試乗体験が行える市民参加型イベントが開催されました。主催したのは、ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)です。

 ヤマハと聞いて、自動車ユーザーはどんな乗り物のイメージを持つでしょう。

 例えば、ライフスタイルに合わせてパーソナルな楽しみを深堀りできる様々な2輪車(オートバイ)の姿が、頭の中に浮かぶかもしれません。

 また、お子さん連れの主婦や、毎日自宅から駅まで通勤するビジネスマンやビジネスウーマンにとっては、電動アシスト自転車がヤマハの主なイメージかもしれません。

 さらには、海ではボート、山ではスノーモービルやATV(4輪バギー)、モータースポーツではレーシングカート、そして電動車いすなど、それぞれの市場規模自体は2輪車や電動アシスト自転車と比べると小さいですが、各分野でヤマハの存在はとても大きい印象があります。

 そんなヤマハが今、新しい研究開発活動「Town eMotion」を展開しています。

 ヤマハのホームページには「ヤマハは、モビリティの意味を変えていく」と表現しており、「暮らしの支えとなる。人とまちの感性に働きかける。まっすぐ、そして、たのしく。人間本来の喜びを大切に、まちのさまざまな課題を解決する」とTown eMotionの目的を位置付けています。

 今回のイベントは、筑波大学やつくば市など産官学で連携する「つくば3Eフォーラム」とのコラボイベントになりました。

 つくば3Eフォーラムは、「つくばエコシティ構想に基づいて、つくば市の省エネルギー・低炭素の科学都市としての構築する研究に取り組む」ことを目的としています。

 今回のイベントでは、欧州で普及している車体前部に大きな荷室をもつ電動アシスト三輪車など、日本ではあまり目にしない、人力を主な動力とするモビリティを来場者が気軽に試乗することができました。

 ただし、ヤマハ製4輪車の新しいモビリティの姿はありませんでした。

■独自の4輪車開発に意欲的な姿勢を示していた時期も

 ここでヤマハの4輪関連事業を振り返ってみましょう。

 その原点は、1967年に市販化されたトヨタのスーパースポーツカー「2000GT」にあります。

ヤマハがかつて構想していた4輪車プロジェクトは、F1の思想が反映された「i-Stream」コンセプトによる軽量・高剛性・高強度なスケルトンフレームがベースとなっていましたヤマハがかつて構想していた4輪車プロジェクトは、F1の思想が反映された「i-Stream」コンセプトによる軽量・高剛性・高強度なスケルトンフレームがベースとなっていました

 トヨタとの技術提携契約によって、ヤマハはエンジンの高性能化、車体やシャーシの細部設計を行いました。

 その後もエンジンでは、直列4気筒の「R」型を始め「S」型、「ZZ」型など、直列6気筒では「G」型や「JZ」型の一部でヤマハの技術が活かされてきました。

 またレース用エンジンでも、国内F2や富士グランドチャンピオンシリーズ、F3000、そしてF1へとチャレンジを続けていたことを思い出す自動車ユーザーも少なくないでしょう。

 さらにヤマハは独自の4輪車量産に向け、これまで様々なコンセプトモデルを発表し、その可能性を世界にアピールしてきました。

 そのなかで、2013年の東京モーターショーで出展した「MOTIV(モティブ)」は、日本でいう超小型モビリティのような発想で、まちづくりの観点でも実用化に向けた世間から期待が高まったコンセプトモデルでした。

 フレームの設計は、F1やマクラーレンの量産車の開発で高名なゴードン・マーレー氏が率いる企業が行うという触れ込みで、技術的には、鋼管パイプと複合材を組み合わせた「i-Stream」を活用していました。

 ヤマハの2輪車用エンジンやEVユニットなど、様々な組み合わせが可能で、当時ヤマハとして正式に4輪車開発を始めたと説明を受けました。

 その後も各種の4輪車プロジェクトが公開されますが、これらが量産される道は閉ざされてしまいました。

 それは2018年12月、ヤマハの日高祥博社長が中期経営計画を発表した際でした。

 4輪車事業の量産化について様々な検討をした結果、採算性が確保できないことなどから、4輪車開発を一旦凍結すると明らかにしたからです。

■新たに始まった「Town eMotion」はヤマハが描くモビリティの近未来図

 一方ヤマハは、電動車いすの分野でもヤマハらしい製品の開発を進めていました。それが「YNF-01」です。

 4輪が独立したサスペンションを持つことで走破性を上げるとともに、ホールド感と開放感を実現したシート形状や、乗る人の冒険心をかき立てるカッコいいデザインが特徴的です。

ヤマハが第46回「東京モーターショー2019」に出展した低速モビリティのコンセプトモデル「YNF-01」ヤマハが第46回「東京モーターショー2019」に出展した低速モビリティのコンセプトモデル「YNF-01」

 筆者は2019年3月、静岡県磐田市のヤマハ本社を訪れ、YNF-01を試乗し開発担当者から詳しい話を聞いています。その際「本気で量産を目指している」とのことでした。

 当時、ヤマハ社内ではLSM(ロースピードモビリティ)開発部が発足しており、ゴルフカートと含めて、新しい領域で4輪形式のモビリティの社会実装を目指していたのです。

 しかし2023年4月時点で、YNF-01を基点とする量産モデルも登場していません。

 このようにヤマハの4輪車、または4輪形態での新しいモビリティについては、今後の方向性ははっきりと見えてこないのが実状です。

 そうしたなかで、新たにTown eMotionが始まったのです。

 ヤマハの関係者によると、Town eMotionには、ヤマハの各種商品ユーザーのみならず、各地の地域住民、そしてヤマハ社内の様々な事業部や開発部にとっても、近未来における「まちなかでのヤマハの存在」に対する気づきになれば良い、という発想があります。

 そんなヤマハが描く未来図の中で、2輪車、4輪車、自転車、電動キックボード、自動配送ロボット、さらに様々なモビリティが、地域の特性や住民ひとりひとりの個性が上手くバランスした、笑顔溢れる日常生活が実現することを期待したいと思います。

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