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スバルのターボ車「ボンネットの穴」なぜ必要? “穴ナシ”ターボ車も存在!?「エアインテーク」を設ける狙いとは?

くるまのニュース / 2023年5月7日 10時10分

スバルのターボ車「レヴォーグ」と「WRX S4」のボンネットには「エアインテーク」と呼ばれる穴が開いていて、ターボ車のエンジンに必要な空気を取り込んでいます。一方、ターボ車であってもエアインテークがないモデルもあるのですが、それはなぜなのでしょうか。

■ターボの穴がスバル車らしさを演出

「スバル」というと、四駆や雪道、ラリー、ブルーのボディカラーなど、さまざまな印象を持つ人がいるでしょう。
 
 もしくは、ボンネットに設けられた、大きく開いたダクトが「スバルっぽい」と思う人もいるのではないでしょうか。

 近年、ボンネットにダクトが開いているクルマは減少しているようですが、スバルがあえてダクトを設けるのはなぜなのでしょうか。

 まず、このボンネットに開いているダクトは「エアインテーク」と呼ばれており、エアインテークの主な役割はターボチャージャーの冷却です。

 ターボチャージャーなどの過給機は空気を圧縮してエンジンに送り込む装置ですが、その空気が高温だと膨張してしまい、せっかくのターボの効果が大きく低下してしまいます。

 そこで、「インタークーラー」と呼ばれる装置で圧縮して高温になった空気を冷やし、密度を高めてからエンジンに流入して効率アップを図っています。

 スバル車に搭載される水平対向エンジンの場合、エンジンの上部にインタークーラーが配置されており、そのためボンネットにエアインテークを設けることで効率良く走行風を取り入れて冷やしているのです。

 スバルの現行車種でエアインテークが採用されているのは「レヴォーグ」と「WRX S4」ですが、ほかの国産メーカーはどのような状況なのでしょうか。

 まずは、日本を代表するスポーツカーの日産「GT-R」です。エンジンは3.8リッターツインターボを搭載し、そのパワーはなんと570馬力・637Nm。エアインテークの穴が左右に分かれて三角形をしていることが特徴です。

 また、2021年にフルモデルチェンジしたホンダ「シビックタイプR」もそのひとつ。従来モデルでもエアインテークが採用されていました。

 搭載されるエンジンは2リッターターボ車で、330馬力・420Nmを発揮。スバル車と同様に、ボンネットの中心にひとつ穴が開いています。

※ ※ ※

 スバル以外にもエアインテークを採用しているモデルはありますが、スバル車と比べると、比較的控え目なエアインテークとなっているようです。

 GT-RやシビックタイプRといったスポーツカーに採用されていることからわかるように、エアインテークは高性能なターボ車の証であるともいえそうです。

■エアインテークの有無で視認性に違いがある

 前述のように、現在、スバル車でエアインテークが採用されているのはレヴォーグとWRX S4のみです。

 両車は全車ターボ車なのでエアインテークがあるのは頷けますが、その一方で、ターボ車の設定がある「レガシィ アウトバック(アウトバック)」や「フォレスター」にはエアインテークがありません。それはなぜでしょうか。

ハイスペックな2.4リッターターボエンジンを搭載する「レヴォーグ STIスポーツR EX」ハイスペックな2.4リッターターボエンジンを搭載する「レヴォーグ STIスポーツR EX」

 エアインテークがないと過給機に取り込まれる空気が熱くなってしまうのではないかと心配になってしまいますが、その点は問題ありません。

 アウトバックやフォレスターはグリルから新鮮な空気をフード内に取り込んで、ターボチャージャーに流入する空気の温度を下げる設計になっています。ピンポイントでインタークーラーに空気を送れるようにボンネットの裏側にダクトが設けられており、エアインテークがなくても効率良くパワーを出力してくれます。

 しかし実際に比較をしてみると、やはりエアインテークが開いているほうが新鮮な空気の流入量も多く、より効率が良いのも事実です。

 それならすべてのターボ車種にエアインテークを導入すれば良いのではと思いますが、スバルは一部のモデルのみとしています。

 その理由として挙げられるのは、視認性に関わる問題です。スバルのウェブサイトを見てみると「SUBARUのクルマは、前後左右のどのウインドウからでも1m程度の高さの物が視認できるよう設計されています」との記載があり、視認性にもかなり力を入れていることがわかります。

 エアインテークは走行風を取り込むので、正面から開口部が見えるようになっていなければならず、そうするとボンネットのフロントウィンドウ側が高くなり、前方向の視認性が下がってしまいます。

 実際に筆者(兵頭倫果)の愛車の「WRX」と、エアインテークがついていない車種で運転席からの視認性についてチェックしてみたところ、やはりエアインテークがあるWRXは視界に入るボンネットの面積は大きく感じ、逆にエアインテークがついていない車種の場合は、ボンネットが滑らかにノーズ側に下がっているのでほとんど視界に入りませんでした。

 普段からエアインテークがあるWRXに乗っているので視認性が気になったことはありませんが、比較してみると確かに視認性に違いがあり、これが全車種にエアインテークを導入しない理由のひとつとして考えられます。

 そして次に考えられるのは、スポーツモデルとしての差別化です。レヴォーグとWRX S4はスポーティな走行を前提としているモデルなので、視認性と天秤にかけながら、冷却効率も重視しているのだと考えられます。

※ ※ ※

 WRCを走る「インプレッサ」のエアインテークが強く記憶に残っている人も多いと思いますが、やはりスバル車のエアインテークはスポーツモデルとしてのイメージが世の中に根強く残っています。

「WRブルーパール」というスポーツモデルのみに設定されているカラーがあるように、エアインテークもスバルのスポーツモデルのブランディング効果を発揮しているのではないでしょうか。

※記事本文に誤りがあり、記載内容を修正しました(2023年5月7日17:45)

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