実は「海外製」!? トヨタだけど本当は「輸入車」! 知られざる「外国籍」なトヨタ車 3選
くるまのニュース / 2023年5月7日 22時10分
日本を代表する自動車メーカーといえばトヨタですが、実は、国内で売られるトヨタ車のなかでも、日本製ではなく輸入車である場合もあります。それらのクルマの生い立ちについて紹介します。
■需要の変化に対応し輸入車へ切り替わった3モデル
輸入車といえば、メルセデス・ベンツやロールスロイス、ベントレーといったリッチな高級車から、ランボルギーニやフェラーリなどのスーパーカー、大柄でハイパワーなアメ車など、様々なイメージがあるでしょう。
一方、トヨタのエンブレムが装着されたクルマを見たら、日本を代表する国産車のイメージが強いはずです。しかし一部のモデルは海外生産されるケースもあります。今回はそんな「実は輸入車なトヨタ車」3モデルを紹介します。
●タイで生産される「ハイラックス」
ピックアップトラック「ハイラックス」の歴史は古く、1968年に初代モデルが登場しています。
1978年に登場した3代目ハイラックスは、ピックアップトラックをレジャー用途に使う米国ユーザーの需要も考慮され、乗用車的な装備や乗り心地が与えられました。また最低地上高をアップした四輪駆動(4WD)や、ディーゼルエンジン、後席を備えたダブルキャブなども用意され、ハイラックスの展開が広がったモデルとなりました。
次いで1983年に登場した4代目ハイラックスをベースに、荷台部分をワゴンスタイルとした「ハイラックスサーフ」が1984年に登場し、トヨタ初のSUVとして人気を博しています。
その後も商用・乗用モデルを用意しながら、基本コンセプトを維持したままモデルチェンジを続けましたが、日本国内では人気が定着せず、2004年には日本国内での6代目ハイラックスの販売が終了となりました。
米国向けが大きなサイズの「タコマ」に移行する一方、2004年登場の7代目モデルはタイやアルゼンチン、南アフリカなどで生産される世界戦略車に発展。しかし日本での販売はありませんでした。
そして、2015年にフルモデルチェンジした現行型となる8代目ハイラックスは、2017年に日本仕様が用意され、13年ぶりに日本市場に復活しました。このモデルがトヨタ初のタイからの輸入車となりました。
ちなみに車検証上の車名はトヨタではなく、TMT(Toyota Motor Thailand)となっています。
●インドネシアで生産される「タウンエース」
小型商用車「ライトエース」の上位モデルとして、1976年に「カローラ」をベースに商用・乗用モデルとして造られたのが「タウンエース」です。
ワンボックス型のワゴン・バンのほかトラックも用意され、幅広い用途に利用されました。なお、開発・生産をダイハツが担い、兄弟車としてダイハツ「デルタ」もラインナップされていました。
2代目は正常進化したワゴン・バンとトラックでしたが、1996年に登場した3代目になると、衝突安全基準の見直しからフロントにクラッシャブルゾーンとして小さなボンネットを設けた「1.5ボックス」と呼ばれるセミキャブオーバータイプに変わりました。
この時ワゴンモデルは「タウンエース・ノア」となり、「ライトエース・ノア」とともに“ノア”というサブネームが付与され、その後ミニバン「ノア」「ヴォクシー」へ独立していきます。
2008年に登場した4代目は商用車(バン・トラック)のみの設定となり、インドネシアのダイハツの生産拠点であるAstra Daihatsu Motor(アストラ・ダイハツ・モーター)で生産されている「グランマックス」をベースにした輸入車になりました。
兄弟車のライトエースは2020年に販売を終了しタウンエースと統合され、現在日本で発売されているのはダイハツ「グランマックスカーゴ・トラック」、そしてOEM車のマツダ「ボンゴ」の3兄弟となっています。
●オーストリアで生産される「GRスープラ」
初代「スープラ」は1978年に北米で「セリカ」をベースに6気筒化した上位モデルとして「セリカ・スープラ」という名前で発売されました。日本ではスープラという名前を使わず、「セリカXX(ダブルエックス)」という名前で登場しています。
1986年にモデルチェンジした3代目は、日本においてもスープラの名称に統一され、ハイソカーの2代目「ソアラ」と共通のシャシを使い、トヨタの大型スペシャリティカーの双璧をなすモデルとなりました。
1993年には4代目にモデルチェンジ。3リッター直列6気筒ツインターボエンジンを筆頭にした高性能なスポーツモデルで、激しいカーアクションがウリの映画「ワイルド・スピード」にもメインで登場するなど、北米でも話題のクルマとなっています。
しかし厳しさを増す排ガス規制などの対応に迫られたこともあり、2002年に販売を終了しました。
その後、長い間トヨタブランドでは上級スポーツカー不在の時代が続きましたが、17年間の沈黙を破り2019年に復活したのが5代目スープラ(GRスープラ)です。
ただしスポーツカー需要の低下から単独での開発は断念され、BMWとの共同開発により2ドアオープンカー「Z4」とプラットフォームを共用化。製造もオーストリアの自動車製造メーカー「マグナ・シュタイア」が行っています。
このような背景から、現行スープラは欧州からやってくる輸入車となりました。ちなみにスープラの場合、車検証の車名は「トヨタ」と表示されていますが、ウインカーレバーの位置が、国内生産車では標準的な右側ではなく左側に備えられていることで、輸入車であることが分かります。
※ ※ ※
過去にはトヨタブランドの輸入車として、イギリスから輸入された「アベンシス」や、アメリカから輸入された「プロナード」などもありました。それぞれ主に欧米各市場をメインに開発されたモデルでした。
現行型のハイラックス、タウンエース、GRスープラともに、過去に比べ国内需要がそれほど大きくないことから、より効率的な生産体制をとっているものとみられます。
国内随一のワイドラインナップを誇るトヨタですが、今後の需要の拡大を見極めながら、国内生産へ切り替える可能性を探っているのかもしれません。
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