ただの「ルームミラー」は古い!? カメラで後方を映す「デジタルミラー」搭載車多し! 弱点はあるのか
くるまのニュース / 2023年5月16日 14時10分
最近のクルマに採用されることが増えている装備が「デジタルインナーミラー」です。従来のルームミラーに代わり、後方カメラの映像をモニターで映像として見る装備ですが、メリットやデメリットはどんなことなのでしょうか。
■最近見かける「デジタルミラー」だが…メリット・デメリットは?
クルマのルームミラーはこれまで鏡を使ったものが定番でしたが、最近ではカメラの映像を映すミラーの普及が急増してきました。
ではそのようなミラーの特徴とはどのようなものなのでしょうか。
カメラで後方を映すミラーは自動車メーカーによって名称が異なりトヨタ・レクサスは「デジタルインナーミラー」、日産は「インテリジェント ルームミラー」、ホンダは「アドバンスドルームミラー」、スバルは「スマートリヤビューミラー」、三菱は「デジタルルームミラー」などとなってます。
これらのデジタルミラーは、日本では2016年6月の法改正により認可されたカメラで後方を映して確認するモニタリングシステムです。
また、カー用品店などでは「アルパイン」や「コムテック」、「セルスター」などのメーカーからも数多く販売されています。
では、実際にデジタルミラーにはどのような特徴があるのでしょうか。
デジタルミラーの特徴のひとつには、視野の広さが挙げられます。
従来のルームミラーよりも広い視野で、夜間でも明瞭に映像を表示することができます。
また、カメラ映像が映し出されるため、後部席の人や荷物などで視界が遮られる心配はありません。
そのため、ルームミラーよりも視認性が高まり安全性が向上しているとされています。
とくに最新タイプのものは解像度なども改良されており、液晶画面サイズはそのままながらより鮮明に見ることが可能です。
さらに最近では、録画可能なデジタルミラーも登場しており、あおり運転などの万が一にドライブレコーダーの代わりとしても注目されています。
実際にSNSでは「ドラレコ付きのミラー買った。これで安心」、「何があるかわからないので、ドラレコ付きのルームミラーゲット」など、一体型を検討する人も見られます。
とある国産新車系のディーラーは「最近ではグレードによって標準装備、またはオプションで選べることも増えています」と話しています。
さらに、とあるカー用品店では「最近ではドライブレコーダー一体型のルームミラーも種類が増えており、検討されるお客様は多いです。やはり『あおり運転』などが話題になってからはそのあたりの意識が高まっているようです」と言います。
※ ※ ※
その一方でデジタルミラーは、ドライバーの目がモニター映像に慣れない場合もあります。
モニターは鏡とは違い、全ての情報をクリアに映し出すため、後ろから迫ってくるクルマのスピード感や距離感がつかみにくいことがあります。
また信号機やヘッドライトなどのLED光がモニターに映ると、画面がチラつくことがある他、トンネルを出るときなど映像が一瞬真っ白になることもあり、必ずしもデジタルミラーが見やすいという訳ではなさそうです。
多くのデジタルミラーでは、デジタルと鏡を切り替えることが可能なため、周囲の状況に応じた使い方をするのが望ましいようです。
■デジタルインナーミラーって実際どうなの?
実際にデジタルインナーミラーを後付けした「アルファード」オーナーのSさん(30代・男性)に、使用した感想やメリット・デメリットを聞いてみました。
「一番のメリットは昼夜を問わず、視界良好なことです。とくにミニバンは通常のバックミラーでは車内のシートが干渉する部分が大きく、後方視界はかなり限られたものでした。
それが後方カメラをリアウインドウ上部に取り付けることで、乗車人数や荷物の積載量に影響されずに後方を確認することができます。
あと輝度(明るさ)が調整できるので、夜間でも通常のミラーでは得られなかった明るい映像が見られるのも大きなメリットだと思います」
市販のタイプでもドライブレコーダー付きのものが存在。なかには前後カメラに対応するものもある「デジタルミラー」
明るくクリアな映像が見られると満足度は高いとSさんはいいます。
また、あおり運転などを記録できるドライブレコーダーとしても活用でき、(機種にもよりますが)タッチパネル式モニターでカメラを上下に微調整もできる点も重宝しているそうです(注:左右方向の調整は不可能)。
ではデメリットや弱点はあるのでしょうか。
「私はすぐに慣れましたが、やはり通常のミラーとは見え方がだいぶ違います。映っているものが逆にクリアすぎて、一瞬距離感が掴みにくいときがあります。ウチの父は目のピントが合わないと嘆いていました。
また、これはカメラやモニターの解像度などの問題なのかもしれませんが、信号機やヘッドライトなどLEDの光がチラついて見えることがあります」(アルファードオーナー Sさん)
LEDは実際には速いスピードで点滅を繰り返しており、人間の目では脳が情報処理してくれているので常時点灯しているように見えますが、カメラは正直に映し出すためモニターを通じるとチラついて見えてしまうのです。
今の技術であればソフトなりハードなりで情報処理できるとは思いますが、ほんの一瞬でも処理に時間がかかり、リアルタイムな映像ではなくなってしまう可能性もあります。
「あとはトンネルなどを抜けた直後などは、カメラの性能が追いつかず瞬間的に真っ白になることも。これも慣れが解決してくれるとは思いますが」(アルファードオーナー Sさん)
すでに数多のデジタルインナーミラーが販売されていますが、一体どれを選べばいいのでしょうか。
やはり多少高価でも日本の一流メーカー製は安心です。ただ、昨今の中国製品のなかには手頃な価格で高性能なものもあるようです。
昨今のデジタルインナーミラー事情について、前出の中古車販売店 K店長が教えてくれました。
「やはり製品のクオリティ的には日本のメーカーならば問題ないと思います。しかし最近は、中国製でも2万円から3万円の高性能モデルが増えました。そして、これらの高級モデルは性能が良いみたいです」
かつての1万円以下の格安商品は、新品なのに映像が映らないといった粗悪な商品もあったとういわれていますが、現在ではそれなりの画質を確保しているものも多いようです。
また低価格ではありませんが、ある程度の価格の中国製デジタルインナーミラーでは、日本メーカーのものを凌駕する高画質で高性能なものも登場しているのだそうです。
そんななか、何台も取り付け作業をしてきたK店長が懸念しているのは耐久性です。
「標準装備では問題も少ないでしょうが、まだ新しい装備だけに何年使用できるのかが未知数なんです。
それが個体差なのか経年によるものかは、あと数年かけないと判断が難しいところです。
今後はさらに純正パーツとしての採用がかなり増えるでしょうし、社外品の取り付けは増えていくと思っています」(中古車店 K店長)
※ ※ ※
デジタルインナーミラーは、故障などによってモニターに映像が映らなくなってしまっても、通常のミラーとしても使えます。
デメリットもいくつかありますが、それよりも暗部がきれいに映せたり、ドライブレコーダーとして後方の映像を記録してくれるのは非常に便利です。デジタルインナーミラーは今後さらに普及していきそうです。
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