一時停止で「止まったつもり」になってない?「だろう運転」はNG! 事故を未然に防ぐ運転のポイントとは
くるまのニュース / 2023年5月23日 8時10分
ちょっとした気の緩みで交通事故は起きてしまいます。悲惨な事故を未然に防ぐためには、どのようなことに気を付けてクルマを運転したら良いのでしょうか。
■交通事故が起きやすい状況とは?
最近の交通量だけ見れば、すでにコロナ以前の状態に戻ったといっても過言ではないほど増えてきたようです。
交通量が増加し流れも速くなった現在の交通状況では、運転免許を取得したばかりの初心者にとってクルマの運転が難しく感じられるかもしれません。
一般道路での走行で、交通事故を防ぐために気をつけたいポイントには、どのようなことがあるのでしょうか。
警察庁が発表している「令和2年中の交通事故発生状況」によると、クルマ対クルマの事故類型別事故件数の割合は、「追突」が37%、「出会い頭」が30%、「右折時」が10%、「左折時」が6%と、上位4種類だけで83%を占めています。
つまり、この4つの事故原因を意識しておくことで、かなりの確率で交通事故を防ぐ対策になりそうです。
運転手の思い込みや自己都合による「だろう運転」というのを聞いたことがあるかもしれませんが、これは「動静不注視」と呼ばれており、「安全不確認」や「脇見運転」と並んで交通事故原因のトップ3を形成しています。
たとえば、交差点での右折時は、「自分のほうが先に行けるだろう」「見えているバイクはまだ距離があるだろう」と思い込んだ結果、事故を起こしてしまうというケースです。
または、左折時は横断してきそうな人がいても「クルマより先に行かないだろう」と思ってぶつかってしまうといったことです。
一般道ではクルマやバイクに加え、歩行者や自転車、最近では電動キックボードなども加わり、人身事故に発展してしまうことも多いものです。
そんな動静不注視や、安全不確認、脇見運転はなぜ起きてしまうのでしょうか。
教習所の元教官 I氏によると、「慣れ」が慢心を生み、「今まで通り大丈夫でしょう」という考えが関係しているようです。
「運転免許を取得した当時は、いろいろな意味で緊張しているのですが、徐々に経験を積んで、運転に慣れてきた頃が一番危ないのです。
ある程度の経験を積むと緊張感が薄れ、通い慣れた道では注意力が散漫になってしまうことがあります。
住宅街の路地の一時停止では、停止どころか徐行もせずに進入する人も見受けられますが、そういったときに限って歩行者や自転車が横切ってぶつかってしまうということが多いのです」
※ ※ ※
そこで改めて重視されるのが「かもしれない運転」です。
これは「人が飛び出してくるかもしれない」「対向車が先に来るかもしれない」と、これから起こるかもしれない危険を常に想定する運転の仕方です。
このように慎重に判断することで、事故の発生を未然に防ぐことを心がけましょう。
■事故が起きる原因と対策
具体的に「交通事故を防ぐため」のポイントをI氏に聞いてみました。まず追突が起きる原因と、対策ポイントには何があるのでしょうか。
「一般的に追突事故の多くが、車間距離不足や安全不確認や脇見運転(スマホ操作含む)による制動(ブレーキ)操作の遅れが原因です。
なかでも交通量の多い都市部の幹線道路などでは流れも早く、車間距離は短くなりがちです。
クルマの操作は『認知』『判断』『操作』の繰り返しですから、実際の操作までタイムラグが発生します。
ある目標物を前走車が通過した約2秒後に自車が通過する程度の車間距離がベストと言われています。周囲より多少広くても、安全性を確保した車間距離を心がけてほしいです」(教習所の元教官 I氏)
悲惨な事故の様子
次に、見通しの悪い交差点や脇道から幹線道路への合流などで起きる「出会い頭」の事故。これは主に停止線で止まらないことが原因だといいます。
「停止線の位置で止まったとしても、交差点の左右が見えないこともありますが、それでもまずは停止線で一時停止は忘れないことです。
自分では止まったつもりで徐行したとしても、本線側のクルマや歩行者からすれば飛び出しているように見えます。
最近は一時停止違反の取り締まりも強化されており、交通違反になる可能性もあります。
確実に一時停止し、左右が見える位置まで徐々に出ていくようにすれば、出会い頭の事故はだいぶ防げると思います」(教習所の元教官 I氏)
次に多いのが交差点などでの「右折時」「左折時」の事故。特に初心者がやりがちなのが、左折時に斜め後方から来る自転車やバイクなどの巻き込みです。
加えて、断歩道などで渡ろうとしている歩行者より先に通過しようとすることで起きる接触事故も多いといいます。
「初心者や運転に不慣れの方にとって『内輪差』や『助手席側の車両感覚』はつかみにくいものです。
これは慣れも必要な部分ではありますが、サイドミラーに後方からの自転車やバイクが見えても、そのまま強引に曲がろうとして事故が起きることもあります。
また横断歩道はで渡りかけている歩行者がいる場合は一時停止して待つのがルールです。歩行者や自転車が来ていないか、しっかり目視することも大切です」(教習所の元教官 I氏)
「左折以上に事故が起きやすい右折は何かと焦る気持ちが生まれがちです。直進車よりも先行して右折しようとして起きる『右直事故』は有名ですが、むしろ怖いのは、右折時の歩行者の確認不足でしょう。
対向車を意識するあまり、多くのドライバーは歩行者が見えているのに動静不注視(だろう運転)で先に行けると思いがちです。
焦る必要はなく、むしろ周囲に道を譲ってから、余裕を持って右折するのが安全です」(教習所の元教官 I氏)
※ ※ ※
事故を起こさないポイントは、どれも知っていて当たり前なことです。しかし、この当たり前ができていないときに、交通事故は起きるものなのです。
常に緊張状態でいる必要はありませんが、「自分は(平均より)ちょっと運転が上手ではない」と意識し、「上手くないからこそ気をつけよう」という自己暗示を試してみるのも良いかもしれません。
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