車の「コラムシフト」なぜ消滅?「ミニバン」で多く採用も最新車は「レバー」すらない! インパネ設置へと変化したワケ
くるまのニュース / 2023年5月28日 10時10分
シフトレバーをステアリングコラムに備えた「コラムシフト」が激減しています。一体なぜなのでしょうか。
■コラムシフトの国産車は「キューブ」が最後!?
クルマを運転するときにギアを選択しますが、そのとき「シフトレバー」に必ず触れることになります。
MT車の場合は、運転中も当然シフトレバーを操作してギアを変えており、AT車の場合も車庫入れなどで前進と後退を繰り返す場合などは頻繁に操作をする部分でもあります。
シフトノブの位置は大きく分けて3種類。フロントシートの間からレバーが伸びている「フロアシフト」(一部車種ではセンターコンソール部分からの場合もあり)、最近増加傾向にある、インストルメントパネルにシフトレバーが備わる「インパネシフト」、ステアリングコラム部分からシフトレバーが伸びている「コラムシフト」といったものがあります。
フロアシフトはハンドルから手を下ろしたところにシフトノブが配備されるため、スポーツカーなどに多く採用されるもの。MT車の多くに採用されているのも同様の理由と言えます。
インパネシフトは、シフトをインパネに組み込むことで、足元の空間を自由に使うことができます。さらに、インパネに位置することで操作性やギアポジションの視認性なども高くなるため、AT車だけでなく、ホンダ「シビックタイプR(EP3型)」や「N-VAN」、スズキ「エブリイ(現行型)」などのMT車でも採用例があります。
そしてコラムシフトはシフトレバーがステアリングコラムから伸びていることで、フロントをベンチシートにしたり、ウォークスルーを可能にしたりと室内空間を有効に使うことができるようになるのがメリットです。
このようにさまざまな種類があるシフトレバーの位置ですが、現在絶滅寸前となっているのがコラムシフトです。
コラムシフトは、前述したように、ステアリングコラムからシフトレバーが伸びていることから足元を広く使うことができ、古くはキャブオーバータイプのトラックやワンボックス、そしてタクシーなどではコラムMTが存在するほど広く使われてきました。
AT全盛になってからもミニバンなどではウォークスルーが可能となるため、重宝されてきたシフトレバーの位置で、ホンダ「オデッセイ」や「ステップワゴン」、トヨタ「センチュリー」「パッソ」、日産「エルグランド」、三菱「eKワゴン」などといった幅広いモデルに採用されました。
しかし、2019年12月の日産「キューブ」の生産終了にともない、国産車でコラムシフトを採用するモデルは消滅。コラムシフトは、なぜ衰退してしまったのでしょうか。
その理由として挙げられるのが、インパネシフトの台頭です。コラムシフトと同じく足元の空間を広く使うことができる上に、操作性や視認性の高いインパネシフトはコラムシフトの上位互換とも言えます。
また以前のシフトレバーは機械的にトランスミッションとつながっていて、物理的に操作が必要となっていたため、インパネシフトを採用するにはスペースなどの制約がありましたが、近年ではシフトレバーをスイッチとすることで、電気信号によってシフトチェンジの情報をやり取りする方式(シフトバイワイヤ)も増えてきたことから、少ないスペースでもシフトレバーを設置できるようになりました。
2022年11月にフルモデルチェンジした日産「セレナ」などはこの最たるもので、シフトレバーは存在せず、インパネに備わるスイッチを操作することでギアの選択をするようになっています。
ホンダも、ハイブリッド車「e:HEV」にスイッチ式のシフトを採用していますが、これらは電子式になったことで実現したものと言えるのです。
※ ※ ※
技術の進化によってシフトレバー(スイッチ)の位置の自由度が上がったことでコラムシフトが消滅しつつあります。
その一方で、メルセデス・ベンツなどは今でもコラムにレバーを備えるなど、メーカーによる違いが明確になってきた印象です。
今後はどんなタイプのシフトレバーやスイッチが主流になるのか、興味深いところです。
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