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絶滅危惧の「フェンダーミラー」がタクシーで生き残っているワケ かつての定番装備が持つ強みとは

くるまのニュース / 2023年6月4日 17時10分

クルマのドライバーが左右後方を確認する際に使うフェンダーミラーはかつて「定番」の装備でしたが、今やタクシー車両くらいしか目にしなくなりました。なぜタクシーでは健在なのでしょうか。

■2017年発売のトヨタ「JPNタクシー」に採用

 安全運転に欠かせないクルマの装備の1つにサイドミラーが挙げられますが、そのうちフェンダーミラーのタイプはどんどんと姿を消していきました。

 今ではトヨタのタクシー専用車「JPN TAXI(JPNタクシー)」に標準採用されるくらいですが、なぜ、タクシー車両にフェンダーミラーが使われているのでしょうか。

 ドライバーが左右後方を見るときに使うサイドミラーは、道路運送車両の保安基準第44条により義務付けられている重要な装備です。右左折や追い越し、駐車時などに必要で、安全運転に欠かせません。

 そのサイドミラーは、大きく分けるとフェンダーミラーとドアミラーの2タイプがあります。

 昔のテレビドラマや映画などを見ていると、サイドミラーがドアの付け根ではなく、フェンダーに装着されているのが目に付きます。これが「フェンダーミラー」と呼ばれるものです。

 ボンネットを持つ乗用車はかつてこのフェンダーミラーが義務付けられていましたが、1983年に規制が廃止され、その後は日産「パルサーEXA」を皮切りとしてドアミラーが普及していきました。

 そして2023年現在、ほとんどの乗用車はドアミラーを採用しています。

 しかしその一方で、JPNタクシーは標準でフェンダーミラーを採用しています(JPNタクシーは一般購入も可)。

 JPNタクシーは、トヨタがかつて販売していたタクシー専用車「クラウンコンフォート」の後継として、2017年に発売されたモデルです。

 JPNタクシーがフェンダーミラーを採用していることについて、トヨタの関係者は「タクシー業界からの強い要望があるため」と話しています。では、この強い要望にはどのような背景があるのでしょうか。

■タクシーがフェンダーミラーを採用する理由

 東京都内の大手タクシー会社の担当者は、フェンダーミラーを採用している理由として視認性の良さを挙げます。

 フェンダーミラーは、サイドミラーと比べて頭を動かさずに視線移動だけで後方確認が可能です。そのため、結果的に視認性の良さにつながります。

トヨタが現在販売する「JPNタクシー」はフェンダーミラーを採用しているトヨタが現在販売する「JPNタクシー」はフェンダーミラーを採用している

 また、それだけではなく次のような事情もあるといいます。

「ドアミラーだと後方確認のたびに頭を動かすので、例えば後席のお客さまの会話に聞き耳を立てているように思われる場合もあるでしょう。

 しかし、フェンダーミラーであれば視線だけで確認できるため、そういった紛らわしい動作をする必要がないという点はメリットといえます」

 また、別会社のタクシー運転手からは、ドアミラーだと助手席にお客を乗せた時に体や手でふさがって見えにくくなることがあるが、フェンダーミラーだとその心配がないという声もありました。

 しかし、フェンダーミラーにもデメリットがあります。ドアミラーに比べて遠くにミラーがあるため、鏡面に映るものも小さくなってしまうのです。

 また、JPNタクシーのフェンダーミラーについては、前出のタクシー会社で実際に運転しているタクシー運転手は「左後方の、スライドドアとリアタイヤの辺りが見えにくい」といいます。

 そのため補助ミラーを装着して車体側面を見やすくしているそうです。

 タクシーは、その特性上、運転時はどうしても車線変更が多くなってしまいますが、安全に車線変更するためには頻繁な後方確認も必要です。

 そのため視線移動が少なくて済むフェンダーミラーは、タクシーの安全運行のためにも欠かせない装備の1つといえます。

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