車検の「ヘッドライト検査」厳しくなる? “ギリセーフ”だった「黄ばみ」「くもり」が今後検査不適合の可能性も
くるまのニュース / 2023年6月3日 10時10分
車検時にヘッドライトの検査方法が変わることで、車検に適合しなくなる可能性があります。どういうことなのでしょうか。
■ヘッドライトの検査が厳しくなる?
車検において、ヘッドライトの検査方法が今後変更になります。
これにより、保安基準を満たさず車検を継続できないクルマが増える可能性があります。
車検は国が定める保安基準に満たしているかを数年に1回(車種や用途により異なる)チェックするものです。
さまざまな項目があるなかで、ヘッドライトの検査では明るさや照らし方、色などが測定されます。
従来のヘッドライト検査は、明るさが満たないなどの理由によりロービーム(すれ違い用前照灯)での計測が困難な一部のクルマは、ハイビーム(走行用前照灯)での計測が行われていました。
しかし、2023年4月に自動車技術総合機構 北陸信越検査部は「(車検のヘッドライト検査)を2024年1月から、すれ違い用前照灯(ロービーム)のみの計測手法に変更する」という旨の告知を出しました。
簡単に言えば、「どんなクルマも一律ロービームで計測する」という内容です。では、なぜ計測方法が変更されるのでしょうか。
自動車技術総合機構検査部の担当者は、「計測手法が変更になるというよりは、過渡期の取扱いを終了するというものです」と説明します。
もともと、1995年12月の「道路運送車両の保安基準」の改正により、1998年(平成10年)9月1日以降に製作されたクルマの前照灯検査は、原則ロービームで行うように定められました。
一方で、当時は新型車に対応できる前照灯試験機が普及しておらず、そもそも古い旧型の試験機で対応できるクルマが多く残っていたことから、経過措置としてハイビームでの検査が行われてきました。
その後、新しいモデルのロービームに対応できる検査体制が整ったことにより、2015年9月1日から、1998年9月1日以降に製作されたクルマは原則、ロービームで検査することになります。
とはいえ、それでもまだ検査環境が整っていない検査場があり、一律での移行が難しいため、新体制への移行は各地域の検査場ごとに行うことになったのです。
これまでは過渡期の取扱いとして、ロービーム検査対象車であっても、左右のロービームが他の交通を妨げるものでないことが確認できた場合にはハイビームに切り替えて検査を実施していたそうですが、北陸信越検査部のように、検査体制が整ったエリアから本来の前照灯検査に切り替えているようです。
しかし、新しい検査体制への整備が進んでいけば、これまでハイビームでぎりぎり合格していたクルマでは今後、一律ロービーム検査になることにより検査不適合となる可能性が出てきます。
ライトのバルブ(球)切れはもちろんのこと、明るさや照らし方などに影響をもたらすヘッドライトレンズ表面や内部反射板の劣化、プロジェクター式ヘッドライトのプロジェクター部のくもりなども、車検の基準に満たさなくなる要因として考えられます。
もともとヘッドライトが明るくないクルマでは高光度のバルブへ交換したり、LEDバルブを取り付けるなどが場合によっては必要で、自動車メーカー整備士によると「バルブの交換や安いハロゲン球であれば数千円。LEDへの交換は1万円~2万円ぐらいになります」と話します。
また、樹脂ヘッドライトのクルマは経年劣化と紫外線の影響で、ライト自体が黄ばんでしまうとともに、レンズの表面に細かいヒビが入り、正しい光軸が出ないといったことも考えられます。
こういったケースではヘッドライト自体を交換しなければならない必要も生じますが、先出の整備士は「(安く済んでも)2万円~3万円ほどの費用は必要です」と言います。
今後は新しい計測方法への体制が整った検査場から順次切り替わっていく予定ですが、あまりヘッドライトのチェックをしていない人は、次回車検までに一度点検しておいたほうが良さそうです。
なお、1998年9月1日以前に製作されたクルマでは、これまで通りハイビームでの検査が行われます。
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