ホンダの技術はなぜ真似されない? 他メーカーが「センタータンク」を採用しない理由は? 軽や小型車の空間拡大に寄与
くるまのニュース / 2023年6月12日 7時10分
ホンダは、初代「フィット」以降の軽自動車やコンパクトカーに「センタータンクレイアウト」と呼ばれる技術を採用しています。このセンタータンクレイアウトとは、どのような技術なのでしょうか。またなぜ他社はこのレイアウトを採用しないのでしょうか。
■ホンダのコンパクトカーや軽自動車を支える「センタータンクレイアウト」とは
自動車メーカーには、各社それぞれの飛び抜けた技術が存在します。ホンダの場合は、初代「フィット」から現在まで採用され続ける「センタータンクレイアウト」と呼ばれる技術が挙げられます。
では、このセンタータンクレイアウトとは、どのような技術なのでしょうか。またなぜ他社はこのレイアウトを採用しないのでしょうか。
自動車メーカーは、自社が築き上げてきた技術を日進月歩で進化させています。
その技術の中にはその自動車メーカー独自のものもあります。ホンダにおける技術のひとつとしてセンタータンクレイアウトというものがあります。
これはホンダの「グローバル・スモールプラットフォーム」に採用されるもので、その名の通りコンパクトカーで用いられています。
グローバル・スモールプラットフォームは、コンパクトカーにおける最大の課題は「空間の確保」です。
その空間の機能性を追求するために考えられたのがセンタータンクレイアウトで、これはクルマの構成部品において大きな空間を占める燃料タンクを前席中央の床下に配置するというホンダの特許技術となります。
従来のクルマの燃料タンクは、後席床下や荷室下など車体後方に配置されるのが一般的だったのに対してセンタータンクレイアウトでは、薄型の燃料タンクを前席中央の床下に配置することで、高い室内高と荷室の低床化を実現しました。
センタータンクレイアウトは、2001年6月に発売された「初代フィット」から採用されています。
この初代フィットではコンパクトなH型トーションビーム式サスペンションの採用や、燃料タンクの四方を囲むようにクロスメンバーとフロアフレームを配置することで、低床化と室内高1280mmの実現に加えて、高いボディ剛性、衝突安全性能なども実現。
こうした特徴もあり、発売から約半年で累計販売台数が10万台を突破するほどの人気を博しました。
初代フィット以降でもセンタータンクレイアウトは採用されており、ホンダは次のように話しています。
「センタータンクレイアウトは、小型車や軽自動車を中心に搭載しています。
これまでの採用モデルでは『フィット』『ヴェゼル』『グレイス』『シャトル』『N-BOX』『N-BOX SLASH』『N-ONE』『N-WGN』『N-VAN』に採用されています」
※ ※ ※
このようにホンダの販売を支えるコンパクトなモデルのほとんどに採用されるセンタータンクレイアウトは、まさに「売れる秘策のひとつ」と言える技術と言えます。
■センタータンクレイアウトはメリットばかり? なぜ他社は採用しないの?
このようにホンダのセンタータンクレイアウトは、コンパクトなモデルにとってメリットが多い技術と言えます。
前述の通り、センタータンクレイアウトはホンダが特許を持っているため、勝手に他社が採用することは出来ません。
しかし、両社が協議の上で技術供与を行うことが可能です。実際に自動車メーカー同士では協業として技術供与による商品展開を行っています。
センタータンクレイアウトに関しては、2006年にホンダから技術供与を受けて三菱は軽自動車「i(アイ)」を販売していました。その理由について、過去に三菱は次のように説明しています。
「2013年まで発売されていた軽自動車『i(アイ)』は、センタータンクレイアウトが採用していました。
駆動方式にMR(ミッドシップ・リアドライブ)が取り入れられていたことが、採用の理由となります。
開発にあたっては、車種ごとに駆動方式や様々な条件などを考慮した最適なレイアウトを採用しているため、現時点では採用している車種はありません」
センタータンクレイアウトはコンパクトなクルマにとってメリットが大きい
過去に三菱車に採用された経緯はあるものの、その後にセンタータンクレイアウトを採用した他社モデルは見かけませんが、なぜ採用しないのでしょうか。
考えられる要因としてセンタータンクレイアウトは、前述の通り燃料タンクの形状やプラットフォーム自体の設計変更にも影響が及びます。
そのため新たに採用するとなるのと、コスト面などで導入ハードルが高いことが予想出来ます。
実際に他社がセンタータンクレイアウトを採用しない背景についてホンダは「センタータンクレイアウトは、大幅に構造変更になることと、特許が理由で他社があまり採用していないと思われます」と話しています。
※ ※ ※
このような背景によりセンタータンクレイアウトはほぼホンダのみが採用する技術となっています。
そしてこのセンタータンクレイアウトはN-BOXが売れている大きな要因とも言え、実際に2022年度まで軽四輪車の新車販売台数においては8年連続の首位を獲得するなど、競合との差別化として大きな要素を占めています。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
ホンダ「ライフ」復活!? 軽から小型車で「既視感ある見た目」 手動サイドも採用!? 現状は? 中国で展開
くるまのニュース / 2024年7月17日 12時10分
-
“日本一売れてるクルマ”ホンダが2年ぶり首位陥落!? スズキ「軽ワゴン」なぜ“単月トップ”に躍進? 王者N-BOXがピンチに陥ったワケ
くるまのニュース / 2024年7月14日 19時10分
-
ホンダ新型「“軽”SUV」まもなく登場!? 超人気「軽スーパーハイトワゴン」に“待望”の「タフモデル」はいつ? 新型「N-BOX“クロスター”」誕生か
くるまのニュース / 2024年7月12日 20時10分
-
ホンダは大丈夫か?
財経新聞 / 2024年6月27日 17時47分
-
ホンダ「N-BOX」に「クーペ仕様」が存在!? 非スライドドア&巨大ウーハー搭載! 斬新すぎる「軽ハイトワゴン」とは?
くるまのニュース / 2024年6月26日 17時10分
ランキング
-
1「土用の丑の日」物価高でも…あの手この手の“うなぎ商戦” 大手スーパーの目玉は「超特大」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月22日 19時59分
-
2小林製薬、会長と社長が辞任へ…「紅麹」サプリ問題の対応遅れで経営責任明確化
読売新聞 / 2024年7月22日 21時37分
-
3「地方に多いホームセンター」が都会進出を狙う訳 人口減少が進む中、大手を軸に再編が進行
東洋経済オンライン / 2024年7月23日 8時30分
-
4世界最大級・ファンボロー国際航空ショー開幕…三菱重工など日本企業14社も出展
読売新聞 / 2024年7月22日 21時54分
-
5「最高益の会社」の株価が上がらない当然の理由 相場に影響を与えるのは過去のデータではない
東洋経済オンライン / 2024年7月22日 16時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)