人気のトヨタ「RAV4」何がウケてる? 秘密は“愛車感”高める“カスタマイズ性”か
くるまのニュース / 2023年6月19日 19時10分
1994年に画期的なクロスオーバーSUVとして誕生したトヨタ「RAV4」。3代目が2016年に販売終了となると、4代目は日本で展開されませんでしたが、2018年に登場した5代目で復帰、人気を博しました。今回はそんなRAV4の魅力に迫ります。
■人気のSUVトヨタ「RAV4」の魅力とは
筆者(九島辰也)は、トヨタ「RAV4 アドベンチャー」を3年間乗った。アメリカ仕様の逆輸入車である。日本仕様とは異なりエンジンは2.5リッターに排気量アップしている。
それとギアボックスも別、こちらは1速ギアを組み合わせたCVTだが、あちらはトルコン式を採用しているのだ。よってパワーもドライブフィールも違うといっていいだろう。当然ハンドル位置も左だ。
そもそも5代目となる現行型は、4代目同様日本での販売予定はなかった。ターゲットは確実に北米マーケットで、そこでのヒットを目標に開発されたのだ。そのためアウトドア色の濃いデザインが採用されている。彼の地でのトレンドがシティ派からアウトドア系にスイッチしていたのと関係するようだ。
また、フロントマスクに代表されるデザイン面では、米国トヨタのラインナップとの整合性が必要とされた。兄貴分にあたる「ハイランダー」や「セコイア」、「4ランナー」といった面々だ。
もちろん、「タコマ」や「タンドラ」といったピックアップトラック群とも通じる。アメリカではSUVとトラックのマスクを合わせることでトヨタブランドのアイデンティティを高める戦略を立てている。
そんな新型の開発が終了し社内での内覧会が行われると、トヨタの国内営業部門が興味を持った。「これなら日本でも人気になるかも」と考えたわけだ。特に、5代目RAV4を象徴するアドベンチャーグレードのオーセンティックな装いが、日本人にも受け入れられると解釈したのだろう。
ということで、急遽国内販売が決定。開発陣は慌てて日本仕様の製作に取り掛かった。ハンドル位置を右へ移し、パワートレインを排ガス規制に合わせて載せ替えた。
オーストラリアやニュージーランド、シンガポールなど右ハンドル圏での販売が行われたのもそんな背景が関係しているのだろう。どうせ右ハンドル仕様を作るのであれば、多くのマーケットで売った方がコストは分散される。
そして現行型となる5代目が2019年に国内販売を開始した。アメリカに遅れること半年でたどり着いたわけだ。開発、生産部門共に大変な苦労だったと思う。
個人的にこのクルマを最初に目にしたのは国内メディア向け試乗会のタイミングで、「へぇ〜、かっこいいじゃん」てな感じだった。アドベンチャーマスクはシンプルかつワイルドだし、何よりUSトヨタに通じているのが好感触だった。
現行型RAV4の魅力はそのワイルドさだが、カスタムのベース車両にうってつけと思った。車高を上げ、ファットなオフロードタイヤを履くだけでもさらにカッコ良くなるのが想像できる。
発売からしばらくして、RAV4アドベンチャーにオフロードパッケージが出たのは、そんな会話を当時のチーフエンジニアとたくさんしたからだろう。トヨタとしてはかなり斬新なアイデアだ。特別仕様車というよりも「カスタムの見本としてどうぞ」というニュアンスを感じる。
つまり、アフターマーケットとなるサードパーティの方々とも共存して行こうという考えだ。
■RAV4はカスタムを楽しめる点が人気の理由?
トヨタがモビリティカンパニーとなり、豊田章男・前社長が「クルマには他の商品と違い“愛車”という言葉がある」という考えの答えのような気がする。
事実、これまで200台以上が集まるRAV4のオフ会に何度か参加しているが、こんな声を聞いた。「買ってから色々自分の考えでカスタムしたいから、あえてオフパケは買わなかったんです」と。RAV4乗りの間ではオフロードパッケージは「オフパケ」の愛称で呼ばれている。
いじり甲斐がある…これも「RAV4」が人気の理由の一つかもしれない
これまでのオフ会で見てきたRAV4は皆いい感じにカスタムされている。他のモデルのオフ会に行ったこともあるが、こんなにコアなカスタム車が多いのは珍しい。兎にも角にも十人十色のカスタムが施されている。とはいえ大きく分けると、アドベンジャーを中心としたリフトアップ派とそれ以外のハイブリッド/プラグインハイブリッドベースのローダウン派だ。前者はアーバンカーキーやブラック、後者はホワイト系が主流になる。
タイヤサイズはリフトアップだと16インチでオールテレインを履くのが定番になりつつある。BFグッドリッチかトーヨーのオープンカントリーあたりだ。ローダウン派は大径ホイールのロープロファイルタイヤを履くが、どちらにせよホイールの種類は多く、色々なところからRAV4のサイズが出ている。個人的にはブラックアウトしたビードロック系のシンプルなデザインが好きだ。
その他ではアドベンチャーグリルに手を入れているクルマが多い。センターの楕円形トヨタマークをUSトヨタ風に「TOYOTA」の文字ロゴに入れ替える手法だ。自分のRAV4もそれをおこなっていた。今はパーツがあるのかもしれないが、当初はよく分からぬままショップに頼んでタコマのグリルを移植してもらった。まぁ、安くはないが顔の印象は大事である。
カスタムについては、アメリカでRAV4が人気のおかげでアフターパーツが揃っているメリットがある。カリフォルニアもそうだし、ネットで探すとカナダにもけっこうあった。なので、ショップの人に相談する前に人通りその辺をチェックしておくといいだろう。カスタムのイメージも広がるに違いない。
話は変わるが、今年のオートサロンでRAV4の生産を担当する豊田自動織機が、プラグインハイブリッドにアドベンチャーマスクを装着したものを展示していたのをご存知だろうか。ハイブリッドにあるのだからできないことはないはずだ。値段は高くなるが、走りの面でかなり楽しくなるのは明白。そこを望んでいるカスタマーもいることだろう。
とはいえ、過去のモデルチェンジサイクルを考えると、そろそろフルモデルチェンジが行われるはずだ。そんなタイミングだからか、予想CGが散見されるが、これら見るとデザインはキープコンセプトだが、プラグインハイブリッドは高級感を増すという予想が強いようだ。
もちろん、その方向もありなんだけど、どうせなら「BAJA1000」(編集部注記:メキシコの砂漠で行われるオフロード競技)とか出場しちゃえばいいのに。中身は別物でもガワをRAV4にして。でもってBAJA1000仕様とか出す。RAV4はそんな場所が似合う数少ないモデルなんだけどね。どうかな?
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