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トラックがトラックを「ゆっくり」抜く! 高速道の流れを阻害!? 大型車同士の「ゆっくり追い越し」はなぜ起こるのか

くるまのニュース / 2023年7月20日 16時40分

物流車両が多く行き交う高速道路では、大型トラックが大型トラックを「ゆっくりと」追い越すシーンに多く遭遇します。後方の交通を阻害する要因ともなりかねませんが、どういった理由で発生しているのでしょうか。

■今思うと「危険すぎ!」 速度超過も多かった大型トラック

 高速道路の追い越し車線を、大型トラックがゆっくりと走行していることがあります。走行車線にも大型トラックがいると、流れがせき止められたような状態となってしまい、後続車としては困惑してしまいます。
 
 追い越し車線なのだから、もっとスピードを上げて追い抜いていったらよいのに、と思うところですが、トラックがゆっくりと追い越しするのには、ある事情があるのです。

 道路に示されている最高速度とは別に、大型トラックは道路交通法で、総重量ごとの最高速度が規定されています。

 車両総重量が8トン以上の大型トラック及びトレーラーは時速80キロ、車両総重量8トン未満のトラック及び軽トラックは時速100キロが上限です(※法定の最高速度が100キロの場合)。

 最高速度が時速120キロの区間をもつ新東名高速道路でも、大型トラックはこの最高速度に従って走行しなければなりません。

 この最高速度を超えることがないよう、現在の大型トラック(総重量8トン以上)には、アクセルペダルを踏んでも加速ができなくなる「スピードリミッター」の装着が徹底されています。

 この大型トラックのスピードリミッターが導入されたのは、2003年9月のことでした。

 それまでは、高速道路の制限速度を大幅に超えて走る大型トラックも少なくなかったようです。

 特に夜間は、緩い下り坂などで時速130キロ、140キロといった超過スピードで走る危険な大型トラックもいたといいます。

 その結果、大型トラックによる横転事故や追突事故が多く発生したことに加え、重量がかさむため、ひとたび交通事故が起きた場合の被害が非常に大きいことが、次第に問題視されるようになりました。

 こうしたリスクを犯してまで速度超過してしまう要因として、物流業界では納品時間の厳守が強く求められていることが挙げられます。

 そのために当初は、遅れを取り戻すことが困難になることなどの理由から、大型トラックのリミッター導入に反対する声は多かったようです。

 しかし「安全に勝るものは無し」という考えで、スピードリミッターは一気に普及しています。

■「スピードリミッター」義務化で大きく変わった大型車の走り

 ちなみにスピードリミッターが装着されていると、およそ時速90キロまでしか出すことはできません。

 現在の大型トラックの多くは、時速80キロほどでオートクルーズコントロールを使って走行しているといいます。

我々の生活を支えてくれている物流の大型トラック[イメージ画像:AdobeStock]我々の生活を支えてくれている物流の大型トラック[イメージ画像:AdobeStock]

 一定速で巡行走行をすることで、心に余裕をもって運転ができることや、燃費の面でもメリットはあります。

 しかし前方を走る遅いトラックに追いついた場合には、スピードリミッターの設定以下の速度で加速して、追い越し車線から追い越す必要があります。

 ただその場合、速度差がそれほどつけられないことから、一気に追い抜くことは難しく、また長い登り坂などでトラックの加速が鈍るシーンでは、横を走るトラックと並走する時間が伸びてしまいます。

 当のトラックドライバーたちも、ゆっくり追い越したいとは思っていないのですが、追い越す側、追い越される側双方のスピードが近く、また、上限速度にも縛りがあることで、短時間でのスムーズな追い越しができずにいる、というのが現状のようです。

 ちなみに追い越し車線をずっと走り続けることは「通行帯違反」となり、違反点数1で反則金6000円(大型車は7000円)が科せられます。

 取締り対象となる「ずっと」の基準は特に明示されていませんが、多くの警察の取り締まりの場合、2キロ程度の走行を目安としているようです(例外もあります)。

※ ※ ※

 大型トラックによる物流は、我々の生活を支えてくれる非常に重要なものですが、スピードリミッター導入から20年近くが経ち、以前よりも安全かつスムーズな高速道路環境ができつつあると筆者(河馬兎)は感じています。

 高速での平均走行速度が多少低下しても、実は目的地への到着時間の差などほんのわずかだといいます。

 もし前方を走る大型トラックがゆっくりと追い越しするシーンに遭遇しても、イライラせず余裕をもって見守るようにしたいものです。

[編集部注記:2023年7月21日、一部の文字を修正しました]

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