雨や直射日光から車を守る「ボディカバー」ホントに必要? かけることで逆効果も!? 使うときのNG行為とは?
くるまのニュース / 2023年7月11日 8時10分
クルマをすっぽり覆う「ボディカバー」は、雨や直射日光からボディを保護してくれるという点でメリットがありますが、着脱のさいにボディに細かいキズが入る原因になることもあります。どのようなことに注意したら良いのでしょうか。
■「ボディカバー」のメリット・デメリットとは
最近はあまり見かけなくなったものの、ひと昔前は新車を購入すると「ボディカバー」をかけて大切にクルマを扱ったものです。
しかし、だんだんカバーをかける行為自体が面倒になって、かけるのをやめてしまったりするのですが、そもそもボディを守るためのボディカバーは本当に効果があるのでしょうか。
ボディカバーは古くからある定番グッズですが、常に賛否両論あるようです。
ボディをカバーで覆うことで、降雨や大気中の汚れ、直射日光などから保護する効果が期待できる反面、クルマの「磨きキズ」と同様に、カバーとボディが擦れることによる細かいキズの原因になってしまうと言われます。
ボディや塗装にも詳しいI整備士に聞いてみました。
「確かにボディ表面をビニール系の素材のカバーが擦れることで多少のキズができてしまいます。
ただし、塗装面や樹脂部品などが直射日光(紫外線)で経年劣化が進むスピードを考慮すると、色褪せするより細かいキズのほうが対処しやすいといえます」
また昨今では、雨だけでなく花粉や黄砂なども飛散しており、そういった直接的な汚れを防ぐという意味ではかなり有効だといいます。その一方でボディカバーのかけっぱなしによる弊害もあるのだそうです。
「常に雨風にさらされ、浮遊している砂やホコリなどの汚れも受けているボディカバーは、短期間の使用でも驚くほど汚れが付着しています。
また地面の細かい砂などが風で巻き上げられ、内側に入り込んでしまうことも多いです。つまりきれいだと思っていたカバーの内側も少しずつ汚れが溜まってしまうわけです。
それに気付かず何度も着脱を繰り返せば、保護するどころかわざわざキズをつけているのと一緒になってしまいます」(I整備士)
それ以上に深刻なのが、日本の夏特有の高温多湿な気候です。たいていのボディカバーは防水性があるのですが、裏を返せばそれだけ通気性が悪いということ。つまり内側が蒸れてしまうことも多々あります。
「湿度がサビやカビを発生させやすくする可能性はあります。とくに夏はエアコンの使用頻度も高く、ただでさえエアコンの内部なども結露しやすくなります。
そんな、クルマが蒸れた状態でカバーをかけたままにするのは、機械的にも乗員の健康的にもあまりお勧めできないです」(I整備士)
カビの発生は避けたいところですが、これを防ぐ方法は意外にも単純なことなのだとか。
「湿度が嫌であれば、晴れた日にカバーを外して換気し乾燥させるのが手っ取り早く確実です。
クルマに乗らないからといって何日もカバーをかけっぱなしにするのではなく、1週間に1度くらいはカバーを外して湿気を取ることでカビの発生は減らせると思います」(I整備士)
ではカバーをかけることによる細かいキズをつけないためには、どのようなカバーを選べば良いのでしょうか。
「ナイロン系のペラペラ素材のカバーより、裏地が起毛素材や不織布などのカバーはキズができにくいと思いますが、それでもかけっぱなしはお勧めできません。
やはり定期的に取り外し、少しでも走らせて湿気を取り、汚れは洗車で落とすほうがクルマのコンディションを維持しやすいでしょう」(I整備士)
高級なカバーを数年使うより、数千円の安いカバーを年に1回新品に交換するほうがキズも劣化もしにくいとI整備士はいいます。
「皆さんクルマのボディは洗車されますが、カバーを洗う人はほとんどいないのではないでしょうか。
つまりせっかく洗車でボディをキレイにしたのに、わざわざ汚れが付着したカバーをかけているということです。
それならば、価格が安いもので良いので、内側に汚れが付着していない新品に定期的に交換するほうが得策といえます」(I整備士)
■ボディカバーはどんな状態のクルマに使うべき?
メリット・デメリットがあるボディカバーですが、駐車環境があまり良くない場合は必需品かもしれません。
とくに夏は直射日光が強く降り注ぐだけでなく、木々の樹液などは汚れるだけでなく塗装面を傷める原因にもなりえます。
また、ボディカバーをかけることで車種の特定がしにくくなることから、盗まれやすい高級車に乗っている人などは盗難対策のひとつとして使えそうです。
ボディカバーにはメリットとデメリットがある
「それでも一番のメリットは直射日光を遮ってくれることです。なかでも濃色ボディや赤、黄色など単色系のボディカラーの場合、紫外線によって色褪せしやすく、ボディカバーが有効です。
ボディ以上に直射日光から守る必要があるのがヘッドライトのカバーです。最近のヘッドライトは『ポリカーボネイト』という樹脂製パーツでカバーされるのがほとんどで、これが紫外線の影響を受けやすく、白ボケや黄色く変色しやすいのです。
表面を研磨・コーティングすれば復活できますが、同じ駐車環境ではまたすぐに劣化します」(I整備士)
月に数回しかクルマに乗れない人や、駐車場の近くに木があったり、ネコなどの動物がクルマに載ってひっかき傷に悩まされているという人に、ボディカバーはお勧めできそうです。
一方で頻繁にクルマに乗る人やコーティングしたばかりのような状態は、ボディカバーをしないほうが良さそうです。
「雨などで濡れた状態でカバーをかけるのは厳禁です。ボディに付着した水分がカバー内で蒸気となり、サビの発生原因となってしまうこともあります。
必ずボディが乾いた状態でカバーをかけることをお勧めします」(I整備士)
※ ※ ※
なお、ボディカバーがもっとも必要なのは、「オープンカー」でしょう。幌に耐候性はありますが、紫外線の影響で経年劣化しやすい部分。常時日陰などに停められるなら問題ないのですが、そうでなければ幌の部分だけにでもカバーをかけておくことをお勧めします。
ボディを守るはずのボディカバーですが、着脱回数が増えるほど細かいキズもつきやすいもの。使用するかどうかは、駐車環境や使用頻度などを考慮して考えると良いでしょう。
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